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六階の異世界  作者: 駒津榊
4/10

すべて夢だった、んだ

すべてが分からなくなっていて、ふっと気を失う。

草原が衝撃を吸収してくれた。

とても暖かい地面。

目を覚ますと、布団がかけられていた。この重さは、私のいつもの布団。

あの太陽はなかった。

代わりに薄暗い天井と、あの猥雑なテレビの音と、外から聞こえる雑踏。

ああ、東京に戻ってきてしまったんだ、とふとため息を漏らす。

そうだ、すべて夢だった、んだ。

時刻は8時半。出社しなくちゃ。あの案件で上司に叱られるのを覚悟で。

そんなことを思い出しながら仕事場まで歩く。

エレベーターホールについた。

あれ、今日は工事中なんだ。

でもいいや。もう急いだところで変わらないし。

階段で歩いてのぼっていく。

カン、カン、カン、カン、と6階まできてしまった。

会社は4階にあるんだけど、素通りして、ここまできてしまった。

6階の扉を開ける。

でも薄曇りの空と、高層ビルは全く変わらなかったし、地面はコンクリートだし。

結局あの異世界は、私が見た夢、幻、とにかく、何かおかしかった。そうなんだ。

くるりともどって、扉のノブに手をかける。

ひゅう、と風をきる音を耳にする。

「あれ?」

振り向くと、特に何の変哲もない新宿がみえる。

でもあの風は、「あの異世界の」風だった。希望がどこか含まれている、風。

私にはわかる。

やっぱりどこかに、必ず存在するんだと思う。あの異世界が。


やっぱり怒られた。

でもいい。私はあの異世界に行く。もう行って帰ってこないんだ。

こんなクソみたいな会社とも、もうおさらばだ。

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