8話:テンプレ後はもちろん・・・
「あの、登録してくれますか?」
「……え? あ、はい!」
俺が受付嬢にそう尋ねると、テンパりながらもそう答えた。
ちなみに絡まれた冒険者達は脱兎のごとく逃げ出した。
終始見ていた冒険者達は「やるじゃねーか」と言って酒を煽っていた。
「ではこちらの用紙に記入お願いします」
受付嬢から用紙を渡された。
受け取った俺達は記入をする。
「あの、ここの戦闘方法って?」
「はい。そこは戦い方を書いて頂ければ大丈夫です」
書き終わり用紙を受付嬢に渡す。
受けった受付嬢は一枚一枚確認をする。
「……はい。確認が出来ました。説明をお受けなさいますか?」
「お願いします」
「はい。では──」
話を聞くと、冒険者にはランクが存在する。
上からS>A>B>C>D>E>Fとなっている。
パーティは大きなランク差が無ければ申請は必要無いらしい。基本的には上下の差が一となっている。
依頼に関しては、例えばEランクの者がCランクの依頼を受ける事が可能。
ただし、BランクがAランクの依頼を受けるのは難しいらしい。実力が無ければ受ける事は出来ないとのこと。
次に買取だ。
倒した魔物の部位をギルドに持っていき、受け取りで買い取るらしい。量が多くなると、受付で済ませてから裏庭で職員に渡すらしい。
最後に禁則事項だが、冒険者同士の争いは禁止。
もし、殺人があった場合は冒険者カードの永久剥奪。
倒せない魔物を、近くの冒険者に擦り付けるのは禁止。
「大体はこんな感じとなっております。後はこの説明書をお読み下さい」
そう言って受付嬢からパンフレットを受け取る。
「ありがとう。そうだ、この街に来る途中でゴブリンを倒したから買い取って欲しいんだ」
「分かりました」
俺は普通のバックと見せかけて、マジックバックからゴブリンの耳が入った袋を取り出して渡す。
「……はい。確認しました。上手く剥ぎ取れていますね。初めてですか?」
「はい」
「そうですか。これからも頑張って下さい。買取の値段が500ルピになります」
「確かに受け取った。ありがとう」
そう言って俺達はギルドを後にするのだった。
ギルドを出た俺達は顔を合わせた。
「なぁ、ちょっと聞きたい事があるんだ」
「伊織もか。奇遇だな」
「母さんもよ」
「舞も」
「「「「なんでギルドマスターが出てこないの!?」」」」
そうだ。あれだけ争い事が起きたのだ。
ギルドマスターが出てこないのは可笑しい。
いや、これが日常茶判事なのか?
テンプレ後の展開として、ギルドマスターが出てくることを予想していた俺達一条家。だが、その期待は裏切られたのだった。
「宿を探すか……」
「そうだな……」
「そうね……」
「そうしよ……」
俺達は宿を探し行くのだった。