表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/15

7話:冒険者ギルドのテンプレ

 俺達一条家がギルドに入ると辺りは静かになり、俺達を凝視した。

 だがそれも一瞬で、再び会話などに戻った。


 周りを見渡すと、どれもアラクネ者ばかりだ。

 酒を飲む奴や喧嘩をする奴らがいた。


「と、取り敢えず受付に行こう」


 父さんの言葉に俺達は頷く。

 俺達は受付に並ぶ。

 周りを見るに家族で依頼を出しに来たように見えるだろう。

 だが違う。俺達は冒険者になるのだ。


 前の人が終わり、俺達の番が回ってきた。


「次の方どうぞ。依頼ですね?」


 受付嬢の言葉に父さんが答えた。


「いや、冒険者の登録だ」

「……はい?」


 受付嬢は俺達を見て口を開いた。


「……あの、どう見ても家族ですよね?」

「そうだな」


 俺達もうんうんと頷く。

 俺が周りを見渡すと、冒険者達が「は?」といった間抜けな表情で俺達を見ていた。


 そこで、近くのテーブルで酒を飲んでいた冒険者が立ち上がった。


「家族揃って冒険者だぁ? 笑わせんじゃねーよ! ここは遊びで来ていい場所ではなんいんだよ!」


 俺達にそうガンつけてそう言った冒険者。

 他の冒険者達も「そうだそうだ」と連呼する。

 次第に「帰れ」コールが始まった。


「親父どうすんだ?」

「伊織の言う通りテンプレか……」

「お母さんはテンプレは大好きよ」

「私も!」


 いや、そう言う問題ではないのだが……

 いかにも「帰られねーなら今から殴るぞ?」的な雰囲気なのですが。


「伊織に任せよう。こういう展開は伊織のお得意だからな」

「えぇ……」


 親父、それはあんまりだ……


「分かったよ」


 俺は受付嬢に聞く。


「なるのは自由でしょ?」

「そ、それはそうですが……」


 振り返って冒険者に告げた。


「だ、そうだが?」

「舐めやがって!」


 怒り任せにズンズンと近寄ってくる冒険者。

 冒険者が何をするか察したのだろう受付嬢が慌てて口を開いた。


「いけません! ギルド内での争いは禁止です!」

「……分かってる。だがこういう連中には、ここがどれだけ厳しい世界かってことを教えないといけない。わかるよな?」

「そ、それは……」


 黙ってしまう受付嬢。

 俺は父さん達を見ると、笑顔で頷いた。


 あっ、やっちまうかってことね……


 受付嬢に聞いてみる。


「正当防衛はありですよね?」

「え? あ、はい。殺さないのとやり過ぎなければ」


 そして──冒険者は父さんに殴りかかった。


 王城で手練の騎士を相手出来た俺達。

 騎士を相手した事でレベルが少し上がっている。

 レベルアップのお陰で俺達は少し強くなったのだ。


 しかも騎士より劣る冒険者の相手なんて朝飯前。


 父さんは殴りかかった拳を避けずに手の平で受け止めた。


「なっ!?」


 驚く冒険者達。

 同席していた冒険者達も立ち上がり俺達を囲む。


「いきなり殴りかかってくるとは」

「どうやら教育がなってないようね?」

「そうだな。躾も必要かな?」

「いいね。私達が教えて上げる」


 俺達一条家の表情は一変した。


「「「「教育のお時間だ!」」」」


 それから少し。

 冒険者達はボロボロになっているのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ