5話:一条家、初めての野営
日が暮れ俺たちは野営をする事に。
「伊織、この世界での初めての野営だ。夕食はどうするんだ?」
父さんが俺に聞く。
野営は干し肉やパンがいいだろう。
それを提案すると、三人ともそれでいいようだ。
「でも栄養ある食事の方がいいわねぇ」
「お母さん、それは無理があるよ。次の街まで我慢しよう」
「そうね」
金は沢山あるから、次の街でしっかり食べればいいだけだ。
「野営だし、焚き火をしないと危ないだろう。またゴブリンの様な魔物が襲ってくるかもしれない」
「親父の言う通りだな。そうしようか」
俺は近場で乾いた木を集めに行った。
その間に、夕食の準備を母さん達が行う。
乾いた枝を拾っていると、木の幹にカラフルなキノコが生えていた。
「……明らかに毒、だよな?」
鑑定があるので確認してみる。
名前:おっキノコ
説明:食べると数時間「おっ」しか言わなくなる。
「……」
なんかヤバいキノコだった。
キノコはスルーして、帰りながら枯れ枝を拾っていると、またキノコを見つけた。
今度は筋肉質の様な松茸に似たキノコだった。
「……取り敢えず鑑定だな」
名前:勃キノコ
説明:数時間は男の股間が元気になる。
興奮状態になる。(男限定)
「び、媚薬ならぬ、媚キノコ?」
俺は見なかった事にした。
そこでまた見つけた。
「おいおい。またヤバいキノコか?」
見た目は椎茸。色はカラフルである。
名前:カラフルキノコ
説明:激レアなキノコ。凄く美味い、はず。
はずってなんだ!? どう見てもヤバいキノコだろ!
「キノコの群生地かここは……」
集めながら戻ると、三人が囲んで何かを見ていた。
「おーい、戻ったぞ~」
俺に気づいたようだ。
「伊織。こっちに来てくれ」
「お兄ちゃん早く! 変なキノコ!」
「食べれるのかしら……」
「は? キノコ?」
母さんが手に持っているキノコを見てみる。
……とてもカラフルだった。
「……鑑定はしたの?」
「う、うん。したんだけど美味いのかな?」
「どれ俺も見てみようかな」
名前:虹色キノコ
説明:激レア。多分美味い、はず。
俺は口を開いた。
「皆、拾ってる間にいくつかキノコを見つけたけど……」
「けど?」
「ヤバいキノコしなかった……なんだよ。食べたら「おっ」しか言わなくなるって……」
その瞬間、母さんが虹色キノコを森に投げ捨てた。
「まあ、食べない方が一番だな」
その言葉に、みんなが頷くのだった。
それから、早い段階で夕飯を食べ終わり、拾ってきた枝に火をつけた。
焚き火を囲み、俺たちはこれからの事に付いて話していた。
「目指す場所は次の国の王都。この世界には冒険者があるらしい」
「冒険者? お兄ちゃん。もしかしてよく小説に出てくる?」
「そうそう。軽く本を読んで見たが、魔物を倒したり手伝いとか、何でも屋って感じかな」
「お父さん、お母さん! やろうよ、冒険者!」
父さんと母さんは迷っているようだ。
そこで、父さんと母さんが口を開いた。
「……危険な職業だろ?」
「そうよね。死ぬかもしれないし」
冒険者とは死と隣り合わせの職業だ。
そう言うのも分からなくはない。
だけど俺も憧れていた職業でもある。
「俺も舞と同じでやってみたいんだ。どうかな?」
「……やってみるか。俺達はチート持ちだからな」
「そうね。少しでも強くなっておかないといけないし」
冒険者になると言うことが決まり、夜の見張りの順番を決めて早々に俺達は寝るのだった。