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2話:一条家は容赦ないです

「何グズグズしている! 早くそいつ等を殺せ!」


 国王が混乱している騎士と兵士に檄を飛ばす。


 武器を構え、俺達一条家は包囲される。


「さて。殺すことは出来るが親父、どうする?」

「流石に殺すのは……」


 父さんも殺すのに抵抗が有るみたいだ。

 そんな親父の問いに舞と母さんが反応する。


「でも命が軽い世界だよ?」

「そうね。でも流石に殺しは良くない気がするのよ……」


 俺も殺すのは避けたい所でもあったが、家族で異世界に召喚されたら覚悟は決めている。そう話していたからだ。なら──と俺達一条家は口を揃えて言う。


「「「「後悔と恐怖を叩き込んでやるまで!」」」」


 恐ろしい家族である。

 そこに、十数名から弓が放たれた。


「親父!」

「おうよ! 範囲結界!」


 父さんを起点とし、半球状の結界が展開される。それにはユニークスキルである絶対防御(イージス)が上乗せされている。

 放たれた弓は全てが結界に阻まれて地に落ちる。


「出て来い!」


 俺は地面からナイフと刀、棍棒を人数分取り出す。

 各々の武器を手渡す。


「息子よ……何故俺だけ棍棒なのだ?」

「親父なら斬るより殴る方がいいと思って」

「俺も刀に憧れているんだよ!」

「どんまい」

「おい伊織──」

「行くぞ!」


 父さんを放置し三人で攻める。

 そこからはもう一方的であった。


 盾を構えても切断され、浅い切り傷を体中に無数に刻まれ気絶させられる。

 父さんも参戦し、棍棒で骨を折るなどしてから気絶をさせるといった、敵からしてみれば地獄そのものだった。


 それらを見ていた国王は……


「は、はは早く殺せっ! 女も殺して構わん!」


 その言葉に騎士や兵士達が再び包囲する。

 俺は邪悪な笑みを浮かべ口を開いた。


「かかって来てもいいが、痛い目見たく無かったらそこの国王をボコボコにしろ」

「そんな事出来るわけないだろう! 貴様ら陛下をお守りしろ!」


 俺の言葉に警戒を強くする騎士達。


「お兄ちゃん、流石にそれは外道のする事だよ……」

「伊織よ。それはちょっと……」

「母さんそんな子に育てた覚えはありません!」


 散々の言われように、俺は言い訳をしようとする。


「いや、だって、な?」

「「「だってじゃない!」」」


 騎士達は互いを見て頷き合う。

 その隙に襲おうとする算段なのだろう。だが、相手が悪かった。


「その前にさ……」

「「「「その首、オイテケ!」」」」


 目をギラ付かせる俺達一条家に、騎士達は足を止め一歩また一歩と後ずさる。


「先に胴体とオサラバしたいのは誰だ?」


 幽鬼の様にゆらゆらと歩み寄ってくる俺達に、騎士達は震え出す。

 完全に俺達の目付きが変わっているからだ。それはまるで獲物を見る目。


「ひ、ひぃぃぃぃっ!」


 一人が武器を捨て背を向けて逃げようと走り出した。


「一条家からは逃げられない」


 俺がそう言って逃げようとした騎士を魔法で足止めする。何も出来なくなった所に追い討ちで、父さんが後頭部を棍棒で殴り飛ばす。

 前のめりになってそのまま男は動かなくなった。


「奴は死んだか?」


 父さんの発言に俺は答える。


「大丈夫だ。後頭部の骨にヒビが入った程度だろう」

「ならいいか……で、次は誰だ?」


 それを見た騎士達が、逃げようと背を向けた所を再び俺が足止め。


「お料理しちゃうわよ?」


 刀を持って駆けた母さんは、騎士達の足の健を的確に切って行動不能にする。


「私も勇者だから悪即斬よね!」


 駆ける妹の舞に、騎士達が立ち向かおうとし剣を振りかぶったのだが。


「脆い剣ね」


 舞の剣閃により、騎士達の剣が中間からパッキリと折れ地面へと落ち金属音を響かせた。


「ま、魔法を放て!」


 国王のその言葉に魔法隊が魔法を放とうと呪文を詠唱するが、


「そこも効果範囲内だ」

「「なっ!?」」

「いいスキルが沢山あるね~ご馳走様」


 俺は魔法隊へとそう告げ走って近寄る。

 一瞬で懐に入られた魔法隊は、魔力が消えているので、何も出来ないでいた。

 そこに俺は、魔法隊の人達が動けないようにと、手足の健を切って動けなくする。


 そして、この場には国王と俺達一条家以外、誰も残っていなかった。

 残った国王に一条家は近寄る。


「く、来るな! 近寄るな下民ども! ワシを誰だと思っている!」


 その言葉に俺達一条家は各々に思った事を告げた。


「ゴキブリ以下のクソ野郎だ。いや、そこいらに落ちているゴミ以下だ」

「お前には豚箱がお似合いのクソ野郎だな」

「女の敵で国王じゃなくて〇〇〇(ピー)じゃないの?」

「そうね~〇〇〇(ピー)〇〇〇(ピー)〇〇〇(ピー)じゃないかしら?」


 誰にも聞かせられない言葉の数々である。


「おい。舞に母さん、流石に〇〇〇(ピー)は不味いだろ?」

「いいじゃない。別に〇〇〇(ピー)だって」

「そうよ。〇〇〇(ピー)以下だものねぇ」


 舞と母さんの言葉に俺と父さんは震えた。

 女性にそこまでの言葉を吐かれる国王は、果たしてどれだけクソ野郎なのだろうかと。

 俺はその言葉が自分に飛んできた事を考えると、震えが止まらない。


「……息子よ」

「……ああ、分かってるさ親父」


 女って怖いな、と呟いた俺と父さんであった。

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