1話:フラグを立てるからこうなった
異世界に召喚されたと分かった一条家は取り敢えず目の前の人の話を聞くことに。
「よ、よくぞ召喚に応じてくれた。勇者達よ」
現在は召喚の間から移動して謁見の間に来ている。
目の前のオッサンは国王だ。
名前は長くて誰も覚えていなかった。
一条家の代表は父の東となっている。
父さんが率先して話しているだけだが。
「その前に先にお尋ねしたい事があります」
「どうした?」
「私達は元の世界には帰られるのでしょうか?」
父さんが定番であり重要な事を聞く。
その言葉で一条家の行動は決まるのだ。
ちなみに移動時にスキルの確認は皆が済んでいる。
最初に「ステータス」と念じたら開いたのだ。家族のスキルは共有済み。念話みたいな事が出来たのでそれでしていた。
これからの対応も一条家は済んでいた。
魔王を倒せとか行ったら逃げ、悪徳召喚なら力ずくで逃げること。それと王がクズなら逃げること。
ほぼ逃げの一択であった。
国王が口を開く。
「それは無理なのだ。こちらからの一方的な召喚なのだ。申し訳ない。そなたらにはやってもらいたい事があるのだ」
一条家は目を合わせて察した。
「……魔神を倒して欲しいのだ」
そして驚愕し想いは一緒、すなわち「魔王じゃないのかよ!」と。
そんな事を思っているとも知らずに国王は続ける。
「安心して欲しい。女には戦わせない。二人共美しいからワシの側室にしてやろう」
「「「「…………」」」」
一条家は無言になり国王を道端のゴミを見るような目で見て蔑む。
一条家は既に王への敬意などありはしない。
王に対してはただのクズを見る目だ。
「ひぃっ!」
一条家から殺気と怒気が溢れ出す。それも尋常では無い程に。
殺気と怒気に気づいた護衛の騎士、兵士が武器を構える。
「おま──」
父さんが喋ろうとした所を遮って伊織が口を開く。ドスの効いた声音で。
「おいお前等。家族をそんな目で見てたのか?」
「そ、そんな事は──」
「ない、とは言わせないぞ? おいゴミ。討伐の件は却下だ。俺達を召喚した対価を払え。お前の命で払うか金を寄越せ」
国王は一条家にビクビクしながらも口を開く。
「な、何を言ってる。わしは国王だ。お前等、こいつ等を捕らえろ。女は手足を縛ってワシの部屋に連れてこい!」
「「「はっ!」」」
騎士達が遅い掛かって来るも、
「親父頼むぜ。手筈通りに。二人は下がって援護を」
父さんが唱える。
「チェーンバインド!」
すると。虚空からチェーンが伸びこの場に居る全ての者を拘束し動けなくした。
「ナイスだ親父!」
「魔法ってのは思ったより簡単だったな」
「そんな事より後はいいか?」
「ああ。だが国王は一発殴らせろ」
「それは俺もだ」
俺と父さんは不敵に笑う。
「悪いな」
瞬間、騎士達は急に“体から何かが消えた”のを感じただろう。
「な、なに!? 魔力が無い!?」
「ほ、本当だ!」
驚愕な顔をする騎士達。
「伊織、何をしたか聞いても?」
母さんが尋ねる。
「いいよ。俺のユニークスキル“愚者”で一定の領域だけ魔法を使えなく──いや、消失させるんだ」
ここで俺はステータスと唱え家族に見せる。
名前:一条 伊織
レベル:1
種族:人間
年齢:17
職業:<大賢者>
ユニークスキル:愚者
スキル:火魔法Lv1 水魔法Lv1 風魔法Lv1 土魔法Lv1 闇魔法Lv1 神聖魔法Lv1 並列思考 高速演算 錬成Lv1 身体強化Lv1 鑑定
称号:異世界人、愚者、大賢者
<愚者>
一定領域だけ魔法を使えなくさせる。
自身や仲間の発動は可。自身と仲間は基礎身体能力増加。魔力を分け与えることも可能。
使用制限時間は10分。
それと職業とは、この世界の住人に課せられた役割でしっかりと効果もある。
俺の職業〈大賢者〉とは、全魔法が扱える。魔法系統スキルが手に入りやすく、スキルレベルが上がりやすい。その変わり武術系統のスキルが上がりずらい。
「な、なにこれ? スキル多くない?」
「え、それはチート過ぎない?」
「息子よ。立派になったな!」
母さんと舞、父さんがそう呟いた。
「みんなも同じチート持ちでしょうに……」
俺の言葉に三人にツッコミが入れられた。
「「「伊織(お兄ちゃん)よりは弱いわ!!!」」」
「……反省はしてない」
「「「しろよ!!!」」」
三人のステータスも見せてもらう。
名前:一条 東
レベル:1
種族:人間
年齢:42
職業:<守護者>
ユニークスキル:絶対防御
スキル:結界魔法Lv.1 地魔法Lv1 身体強化Lv1 金剛Lv1 拳闘術Lv1 鑑定
称号:異世界人、肉体派、守護者
名前:一条 佳澄
レベル:1
種族:人間
年齢:37
職業:<剣聖>
ユニークスキル:剣神
スキル:剣術Lv1 家事Lv1 身体強化Lv1 縮地Lv1 鑑定
称号:異世界人、剣聖、主婦
名前:一条 舞
レベル:1
種族:人間
年齢:15
職業:<勇者>
ユニークスキル:聖魔剣使い
スキル:神聖魔法Lv1 剣術Lv.1 身体強化Lv1 鑑定
称号:異世界人、勇者
<絶対防御>
このスキルを使用すると、結界魔法は大幅強化される。自動防御システムがある。
結界魔法、身体強化、体術系統のスキルレベルが上がりやすい。
<剣神>
このスキルを上乗せした武術、身体能力は大幅強化される。動けない場合でも自動で体を動かし回避等も行う。剣術系統と身体強化のスキルレベルが上がりやすい。
<聖剣使い>
全ての聖剣、魔剣を使用できる。このスキルを使用した聖剣、魔剣は大幅強化され、デメリット効果はメリットとして変換される。神聖魔法、剣術、身体強化のスキルレベルが上がりやすい。
身体能力の大幅強化。
かなりのチートである。
「さて……」
俺は周りわ見渡し口を開く。
「親父、コイツらは魔法を使えない分かなり弱いと思う。俺達でも余裕で倒せる。平均のレベルは40と高くもない。油断をしなければ余裕だ」
「……お、おう。だが伊織、少しやり過ぎじゃないか?」
「イライラしたからやった」
「なら良し!」
「「良くないわよ!」」
舞と母さんから同時にツッコミが入るのであった。