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中二病国家の後継者 《漆黒の魔王》の教育結果が俺です。この国にはバカだけど最強の三人がいる!  作者: shiwasu
Ep1.中二病国家の《闇夜の創造主=ダークナイト・クリエイター》
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02.青春期の少年をからかう大人二名様

 全室バリアフリー、全邸天然温泉付き――ホテルさながらの高級マンションは俺が高校の一年の時に購入したものである。

 中学三年の夏あたりから親父の作品〝ユー・レティシア戦記〟が大ヒット。増版に増版を重ね、漫画化、アニメ化、映画化……と、次々メディア展開され稼ぎまくっていた。

 購入の際、親父は愛梨さんとの同居を希望し部屋は3LDKになった。

 親父に間違われて襲われかけた例の事件より、俺は愛梨さんをなんとなく避けていた。そのため親父から『愛梨と三人の生活は大丈夫か?』と念を押し確認されたのを覚えている。

 しかし当時の俺は〝高校デビューする〟と変な方向に意気込んでいて『中学生時代のラッキースケベ失敗と、その苦手を克服する』と快諾した記憶がある。……今思い返してみると若気の至りとか、黒歴史としか言いようがない。

 そんな青二才特有の妄想を抱きながら共同生活が始まったのだが、イチャイチャするカップルを目の前に飯を食わないといけないし、喧嘩した時は両方の話を聞いて仲直りさせないといけないし、色々と大変だった。

 その程度ならまだ優しいもので、最大の問題は別にあった。――親父たちの部屋から漏れ聞こえる〝声〟である。

 お熱い恋人達が同じ部屋、同じ布団で寝ているのだから、その先は安易に想像できる。しっかりとしたマンションにおいて壁が薄いはずもなく、聞こえることはない――と思っていたが、何故か漏れ聞こえてくるのだ。喘ぎ声とか、どこの薄い本だよ! と、突っ込みたくなる破廉恥なセリフを言う声が。

 どこの薄い本というか親父達の場合は本業であるため、非常にたちが悪かった。

 最初はなんとか我慢していた。

 けれども、来る日も来る日も〝声だけ〟聞こえてくる。

 次第に〝見えない〟という障害が必要以上に俺の嫉妬と妄想を掻き立てる事に気付き、せめてもの反抗として親父たちの部屋の壁をドンドン叩き続けた。

 そのうち親父から叩いたタイミングで、『お前のGスポットはそこなのか』『仁ちゃんって、妄想だけで満足できるのね……すごい! 草食系ってエコなんだ!』と憐れまれる事になる。最低じゃねーか、この夫婦!

 ……種明しをすると〝レンタルビデオ店から借りてきた親父チョイスのアダルトビデオやら、愛梨さん推しの声優による乙女の過激な妄想が詰まったすてきなドラマCDをわざわざ俺の部屋の壁際に置いて大音量で流す〟というカラクリだった。毎晩毎晩、人の部屋の前で何をしていたんだろうね!

 日々ラッキースケベのラの字もないセクハラ、もとい性被害を受け続けた思春期の俺は心に深い傷を負い、同世代が興味津々の実写エロ本や、ポルノ映画に拒絶反応を示すようになった。

 そりゃ当然だ。

 結果、俺は二次元に逃亡した。

 もちろん〝現実からかけ離れているシチュエーション〟が最も重要になり、現実世界の学園系や異能バトルとかはあまり得意ではない。辛うじて女性向けのティーンズラブ作品なら読めるという、何とも情けない結果となった。

 色々と悔しいが、そうなると選択肢はSFとかファンタジーぐらいしか残らない――つまり、親父の得意ジャンルになってしまったのである。

 今思うと、ラッキースケベ克服宣言をした俺に対して『そうかそうか』とニヤニヤしていた親父は惨劇の前フリだったように思えてならない。俺はその件に関して親父を未だに許せていない。トラウマが無ければもう少し爽やかな青春を送れていた気がするのだ。

 思い返せば返すほど、親父が死んで少なからずショックを受けていたのに惜しむ気持ちがどこかにいってしまった。湿っぽいのはあまり好きじゃないが、少しぐらい真面目でいようと思ったのにいつも通りになってしまった。

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