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中二病国家の後継者 《漆黒の魔王》の教育結果が俺です。この国にはバカだけど最強の三人がいる!  作者: shiwasu
Ep1.中二病国家の《闇夜の創造主=ダークナイト・クリエイター》
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12.落ち着く訳がない

 本日何回目の天井だろうか?

 目を開けば植物模様の天井があった。自分から寝そべったのもカウントすると三回目の天井を拝んだことになる。朝の起床も含めたら四回? まぁそれはどうでもいいや。今度は背中が柔らかく、ベッドに寝かされていたようだ。後頭部や背中に鈍い痛みが残っている。


(ああ、もう、何なんだ一体……)

「――あ、気付きました? 君、ここがどこか分かりますか?」


 目を覚ました俺に話しかけてきた人物はふわっとした雰囲気の二十代後半ぐらいの男だった。茶金色の髪で片目が髪で隠れている。紫と黄の装飾が映える黒い騎士服を着ていた。


「僕はダンカンです。医療係みたいなことをしています。えっと、倒れる前の状況など覚えていますか?」


 ちょっと優顔のイケメン男子は、ダンカンというらしい。所々意識の無かった俺に現在地が分かるはずもない。それに突っ込みをいれてもしょうがないので、状況を確認するために今一度振り返る。

 たぶんこのユー・レティシアに転移して、その後見たものといえば――。


「――黒」


 麗人の黒髪と下着であった。

 ハッと我に返るが〝黒〟だけではただの色だ。黒から下着の色には結びつかないだろう。


「うん?」


 黒と聞いたダンカンは頭に疑問符を浮かべている。分からないのなら、そのままでお願いします。


「いや――なんでもない。……しかし、あのじじいは何なんだ」


 ――確か麗人の手を取ろうとしたところに、空からじいさんが親父に対する恨みを叫びながら、息子である俺に跳び蹴りをし、それで倒れたはずだ。


「ジンは起きたか?」


 涼しげな声が響き目を向けると、黒髪麗人と白髪の老人――先ほど出会った二人がいた。

 下着同然だった麗人は、黒紫色のタイトシルエットのドレスを着ていた。動きやすさを考慮してなのか、元々のデザインなのかスリットが大胆に入っており、すらっとした脚が覗かせている……これはこれで、目のやり場に困るが許容範囲である。

 老人は俺を見るなり、顎鬚を撫で意味有り気に言い放った。


「ジン。おまえも――すけべだね」

(あ、そうだ。関係者だ)


 何とも言えない視線を老人に送ると、ウィンクで返してきた。厳格な軍人かと一瞬思ったのだが、跳び蹴りの件といい、茶目っ気があるようだ。


「ラング様、第一声が『すけべ』ですか? 彼にきちんと謝罪してあげてくださいよ。彼は異世界に訪れてすぐ、ミカ様とのハッピータイムを妨害された挙げ句、バカ扱いされたんですよ? 確実に人権を失っています! 物事には順序があると思うんです。それに言葉も分かってないみたいですし……」


 言葉は分かるな。これはユー・レティシア言語だ。

 どうやらここにいる人たちは、俺が異世界から来たということを理解しているようだ。


「う、ううむ。順序か……」

「俺が思うに、然るべき段階を踏んで人権を失ったら、社会的信用が無いと明言していることになると思うんですよ」

「えっ、ええええっ!? 言葉が分かるんですか!」


 俺の発言にダンカンは大層驚いたようだ。確かダンカンの問いに〝黒〟と答えたはずなんだが。


「先程発したのは、ワシらの使っている言語とは別だったな」


 察した老人ラングがダンカンの動揺を説明してくれた。無意識に日本語を――というのも変だな。どちらかというと、無意識にこっちの言語で会話に混ざれた俺の方がおかしいはずだ。


「あーと、日本語ってやつです。俺は日本人なんで」

「お主、ユー・レティシア人じゃぞ?」

「はい?」


 当然のように言われ反射的に聞き返すが、俺よりもダンカンの理解が追いついていなかった。


「ラング様、二本? 二本ってなんです?」

「――そりゃ、ニホンだよニホン。ニッホーン。アレだよアレ。えーと、ごく一般的な家庭の台所に一つはあるやつ。庶民的で国民の味方!」

「いやお前、絶対日本のこと分かってないな」

「あ、いや――むしろ、成金一族が必ずと言ってもいいほど所持している物ではないでしょうか? センシティブな内容を含んでいる例のアレ」

「……逆に言えばそうだな」

「何の話をしてるんだよ、一体!?」


 絶対に噛みあってないと確信したが、俺としては二人が勘違いしている物の方が気になってきた。本当になんだそれ。


「ラングにダンカン、少し落ち着け」


 麗人が俺を含めた男性陣を制す。ラングとダンカンは一度口を閉じ、各々状況を整理している様だった。

 麗人はふっと表情を柔らかくし、俺の顔を見つめて――いや、近付いてきた。急接近した麗人はベッドに腰を下ろし、唐突に俺の頭を撫で始める。


(な、なんで? なぜ頭を撫でられているんだ)


 まるで幼子をあやすように、ゆっくり優しく撫でられる。何て返したらいいか分からず、固まる俺を麗人は流れる動作で抱きしめた。

 柔らかさと体温と良い匂い。麗人からは香水と言うより、普段使っている石鹸だとか、そういうふわっとした良い匂いがした。


「……ジン、これで落ち着いたか? どこか痛いところはないか?」

「あ、あの、落ち着かせるのは向こうの方です……」


 本気で心配しているらしい麗人に対し、なんとか言葉を捻りだす。麗人の行動のおかげで俺の心は先ほど以上に乱れようとしていた。


「そうか。お前は優しいのだな。遠慮することはない」

「~~っ!」


 ――大変申し訳ございませんが、落ち着きませんでした!

 「よしよし」と背中を撫でられてしまえば、もう黙る他ない。

 母親が恋しい子供ならともかく、成人した男に軽率に行ってはいけない行為だと俺は思う。切羽詰まって誰かに助けてを求める状態ならいざ知らず、素面ならそりゃ、余計なことばかり考えてしまうのだ。

ダンカンの容姿ちょいっと描写修正

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