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サンブルド帝国の物語  作者: 土門一家
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物語の始まり

第1話 世界

誰かが悲しんでいるような強い雨が巨大な高層ビル群が立ち並び、多少の自然がある都市に降り続いていた。

 都市の道路には一般人の車輌が走っているが、そこに混ざり巡回警備している軍用車輌が走っていた。SUV以外に武装装甲車も混ざって走っていた。

 人々は傘をさして歩いているが、中にはささずに走っていく人々もいる。武器を持った兵士たちは傘もささずに自分の持ち場を守っている。

 路地裏には野菜や肉、ジャンク品の金属が売られ、それを買っている者で賑わっていた。

 レストランなどでは兵士や一般人が談笑をしながら食事をしている。兵士はどうも女性の方が多いようで、全面装甲のヘルメットから下ろした長い金髪が見える者もいる。中にはトランプで賭け事をしている者たちもいる。一般人と兵士垣根なくやっており、たった今、一人が所持金を全て持ってかれて笑って終わった。

 空には黒い雨雲とそれに紛れるような漆黒の戦闘ヘリが四機、大型のエンジンを四つ搭載した大型輸送機が一機飛んでいた。

二足歩行の全高十八m前後の黄色の作業用戦略機(戦略機とはロボットのこと)が十機ほど列をなして、車道の中心を歩いていた。

 少し離れた場所には海があり、戦艦や水上飛行船が無数に止まっており、漁船が海に漁に出ている。

 しかし、街を巡回している兵士たちの顔は何かを見つけようとして張り詰めた表情になっている。


 ここはサンブルド帝国と呼ばれる巨大国家だ。周辺にも同じような巨大国家があるがいくつかの国家は協力して端の所に一定の所で壁を作り、いくつかの『小世界』に分けられている。

 小世界には二つ名が必ずついている。

 サンブルド帝国を中心とした小世界は『巨大最強武装国家』と呼ばれる。

 エルトニア共和国を中心とした小世界は『古代騎士国家』と呼ばれる。

 ハマラカ王国を中心とした小世界は『鉱山中心国家』と呼ばれる。

 ヨルナタ諸国を中心とした小世界は『武装機動国家』と呼ばれる。

 アカマハタ共和国を中心とした小世界は『巨大龍国家』と呼ばれる。

 その他にも小世界は存在しているが、主な小世界はこの五つである。

 しかし、この五つの小世界は協力しており、ここの五つ以外にも協力している小世界がある。だが、敵対している小世界も当然あり、領土や資源などの理由で争いが耐えない所もある。

 この世界には人間以外の別の種族がいるが人間に敵対しているのは下位の者たちで、ほぼ全てがサンブルド帝国側にいる。下位といえども侮れず、壁の外で命を落とす者も数多くいる。

 これは、そんな世界での最強武装国家と呼ばれるサンブルド帝国の物語だ。


第2話 最強の武装国家

サンブルド帝国の中心、そこに全長五kmほど、全高一kmほどの巨大な屋敷がある。そこがサンブルド帝国議会兼サンブルド帝国国王の住居である。

 屋敷は『要塞館』と呼ばれる。その周りには厚い壁があり、壁はハマラカ王国で採れるモース硬度二十前後の重金属を何種類も混ぜ合わせて造られた正に鋼鉄の鉄壁である。

 そして壁の上部にはサンブルド帝国軍に正式採用された漆黒の車体に深紅の骸骨が描かれた四足歩行変形機構搭載型対地空用戦車が間隔を空けて配備されている。空いた空間には無人固定型五十口径対空重機関銃と無人対空四連装ミサイルが配備されている。

 壁の外には漆黒の兵員輸送型重装甲車と戦車砲を搭載した重装甲車、回転式六連装弾装型ミサイルを搭載した漆黒の重装甲車が配備されている。監視塔が無数に立ち並び、対物狙撃銃を持ったスナイパーと防弾ガラスシールドをバレルに着けた重機関銃が銃座に固定されている。

 壁の中には戦車が四台並列走行できるほどの空洞があり、壁の開けられる蓋の所に古代の大砲を出すような形で百口径中距離戦用カノン砲が間隔を空けて配備されている。空いた空間には永久型のベルト給弾徹甲弾を搭載した八連装式の電動ガトリングガンが配備されている。

 壁と屋敷の表の間には百口径の重迫撃砲を搭載した深緑の装甲戦車が至るところに配備されている。屋敷の屋上や木が生い茂る所にサンブルド帝国軍の特殊作戦軍が正式に使用している漆黒のボディに深紅の龍の頭が描かれた大型兵員輸送兼戦闘型ヘリが配備されている。搭載している装備は四連装小型対艦ミサイルと十六連装対地ミサイルをそれぞれ二門ずつ搭載、徹甲弾式の電動ガトリングを横に二門搭載している。対空、対地レーダーを搭載したSUV、スナイパーたちがいる監視塔、ジャミングを広範囲に展開するアンテナタワーが配備されている。その他には白銀のボディに金色の薔薇が描かれた二足歩行大型徹甲榴弾砲搭載戦闘戦略機(榴弾砲を二門、肩に大型シールド)と金色のボディに深蒼の茨が描かれた二足歩行四連装対戦車ミサイル搭載戦闘戦略機(背中に二門、肩に大型シールド、腕部に四連装ミサイルコンテナを搭載)が配備されている。その周りを戦略機用マシンガンを装備し、肩にシールドを搭載した緑色のボディの戦闘戦略機が常に巡回している。門の近くには大楯と柄が長いメイスを持った深紅のボディに機体の縁に白銀の装飾の戦闘戦略機が並列している。

 屋敷の中には使用人の他に全身に装甲を着け、軽機関銃を持った漆黒の兵士が巡回している。メイドは背中に短機関銃を持っている。執事も同様である。全高五mほどの戦闘戦略機の亜種型、淡い青色の強化外骨格(パワードスケルトン)を着けた兵士も重機関銃を持って巡回している。 各エリアにいるメイド長は五十口径対物ライフルを背中に持っている。執事長はアサルトカービン(グレネードランチャー付き)を背中に持っている。

 要塞館は十階までに区切られており、一階と二階は帝国議会があり三階と四階は厨房と食糧庫、五階から九階は国王の家族がおり、十階には国王の部屋と女王などの部屋がある。

 中はとても広いため、移動には屋内型のバギーを使用している。使用人や兵士が使うバギーは後部に銃座搭載型軽機関銃がある。パワードスケルトンには脚部に移動用の折り畳み式の車輪がある。

 屋敷の裏には車庫と滑走路がある。車庫は国王専用の車輌や戦略機などが格納されている。SUVは黒い車体に金色の装飾が施されている。戦闘機は黒いボディにコックピットの下部に金色の剣の装飾が施されている。戦略機は黒いボディタイプには紅い装飾、白いボディタイプには金の装飾が施されている。その他にも数多くの物が格納されている。

 滑走路には現在、全長二十五mの錆び付いた銀色の大型戦略爆撃機が発進準備をしている。周りには戦闘ヘリ、戦闘機が配備され格納庫にも数多く格納されている。周りには対空ミサイルを搭載した装甲車、戦略機用マシンガンを両腕に持った戦略機が配備されている。

 そして今、漆黒の戦闘ヘリと大型輸送機が三本ある滑走路のうち、真ん中の滑走路に着陸する。他の二本の滑走路で発進準備をしていた大型戦略爆撃機がエンジンを始動させ、順番に飛び立っていった。

 サンブルド帝国の要塞館の滑走路から飛び立った大型戦略爆撃機は二十機が二列形態で空を飛んでいた。そして、協力国の空を飛んでいき、壁の外を飛んでいく。

 大型戦略爆撃機の隊長機に乗っている隊長は機嫌が良くはなかった。椅子に座り腕を組み貧乏揺すりをしている。椅子の近くにアサルトライフルが置かれている。

 「隊長殿、今日は調子が良くないようですな。」

 大型戦略爆撃機の操縦をしているスキンヘッドに剣の刺青を入れた兵士が隊長に話しかける。

 「あぁ、わざわざ地上にいるモンスターを駆逐するのになぜ、私の部隊を使うのか!」

 隊長は女性のようですぐに機嫌が悪くなるタイプだ。金色の短く切られた髪がキラキラと光を反射する。それに対して、紅い瞳がいつもより暗くなっている。

 「それは国王様に聞かないと分かりませんよ、我々は命令を与えられただけなのですから。」

 隊長の座っている隣に立っていた完全武装した副官の兵士が言う。

 「く…面倒くさいな、地上部隊はなぜ使わないのか…」

 隊長が歯軋りしながら疑問を言う。少し長い犬歯がさらにキリキリと鳴る。それを見て、諦めた副官が、

 「隊長が国王に出撃したいと言ったからでしょう、それにこの部隊は爆撃機の集団。地上部隊が爆撃に巻き込まれる危険だってあるのですから。」

 それを聞いて隊長はため息をついて疲れたように言う。

 「あぁ、めんどくさぁ…」

 副官は知らんがなとでも言いたい顔を一瞬するがすぐに顔を戻す。

 その時にレーダーを見ていた額に角の生えた兵士が叫ぶ。

 「レーダーに感あり!十二時の方角に…百近くいます!」

 隊長は一瞬で生気を取り戻し、「待ってたぞ!」と歓喜の声をあげ、通信機を掴み他の爆撃機に指示を出す。

 「全機のレーダーに反応があった筈だ!一列目がまずナパームを投下する。その次に二列目はクラスター爆弾を投下する。全速力で一列目が行く!一列目が爆撃して離脱する瞬間に二列目が爆撃できるように全速力で来い!行くぞ!」

 隊長の指示通りに一列目の爆撃機がエンジンをフル稼働させて爆撃態勢に入った。レーダーに写った反応は集団行動していたスケルトンだった。

 隊長はタイミングを考えて爆撃機がスケルトンたちの斜め四十五度に入った時に通信機に叫ぶ。

 「ナパーム落とせ!」

 爆撃機はナパームを積んだハッチを開き、一機が何千ものナパームを投下する。ちなみにこのナパームは通常タイプより強化されており、鉄を簡単に炭にできるほどだ。ナパームは隊長の読み通りスケルトンたちの中心に着弾し、炎を撒き散らして炸裂する。

 スケルトンの半分ぐらいが逃げようとした瞬間に上空から二列目の爆撃機がクラスター爆弾を何百個も投下していった。クラスター爆弾はスケルトンたちの六mほど斜め上の場所で幾万もの小型爆弾を撒き散らした。そして着弾した瞬間に連鎖爆発を起こし、スケルトンたちを吹き飛ばした。

 「よっし!やったね?」

 隊長がガッツポーズをする。

 「はい、レーダーに反応なし。」

 レーダー兵はレーダーに反応がないことを確認した。

 「じゃ、帰ろっか。」

 隊長が伸びをしながら言う。

 「そうですね、報告もしないといけないので。」

 副官が落ち着いた口調で隊長に言う。

 爆撃機たちは方向転換をして自分たちの基地に撤退していった。そして基地に着いた爆撃機たちは滑走路に着陸していく。彼らが飛び立つ前に着陸した大型輸送機から中にあるしゃがんだ戦略機をトラックが運搬していく。

 爆撃機から隊長や兵士が降り、整備兵や補給兵に指示を出す。

 「報告に行くから…副官と副隊長は同行して。」

 隊長が一列目の副官と二列目の副隊長を国王に報告するためについて来させる。二人は指示に素直に従う。

 三人は要塞館の裏扉から入る。そして上に行く用のエレベーターに乗り、十階に行くように設定する。しばらくの間待ち、到着したので三人は降りる。

 「そういえば…国王様は今日いらっしゃいましたか?」

 副隊長が思い出したように隊長に言う。それに隊長は、

 「いるはずだよ、多分ね。」

 と答える。

 三人は国王がいる部屋の扉の前に立つ。隊長が扉をノックすると中から入っていいぞと聞こえた。

 「失礼します。」

 三人は扉を開けて、中に入る。

 中には厳格な精神を思わせる風格のある男が座っていた。無精髭がさらに彼に威厳を持たせていた。机の上には報告書と命令書が整頓されて置かれていた。近くにある灰皿の上の葉巻が細い灰色の煙を上げている。

 「作戦は成功です…今回はスケルトンを排除しました…討ち漏らしはありません……」

 隊長が報告する。しかし、その声は震えていた。なぜなら、国王の機嫌があまり良くなかったからだ。めったに機嫌が悪くならない国王が機嫌が悪いので恐怖したのだ。

 国王は腕を組んでただただ聞いていた。そして、

 「ご苦労だ…ただやはり気に入らないな……」

 国王は何かが面白くないから機嫌が悪いようだ。

 「あの……国王様…何が…お気に召さないので……?」

 副隊長が聞く。

 「……国の中にどうも他国の諜報員どもが入ったらしい……」

 国王が苦虫を噛み締めたような顔をする。

 「…え…確か諜報員たちは他の国にいたはず……」

 「なぜか入り込んだらしい……気に入らないな………丁度いい…お前らが国王が全軍を派遣して諜報員どもを炙り出して排除しろと伝えろ…街の巡回兵には言ってある……戦略機も全て使え…」

 「え…し…しか…」

 「さっさと行け!まだ言わせる気か!」

 机に人間なら一撃で破壊できると噂の拳が落とされる。国王の怒りにおののき、分かりましたと言って逃げるように立ち去る。



 三人が立ち去った国王の部屋に恰幅の良い袴を纏った五十歳ほどの男が扉の前に立つ。袴の背中には丸印に門、その中に土が書かれている。

 「…入るぞ…」

 男が扉を開けて中に入る。国王は男の顔を見て「あぁ、お前か」と言う。

 「ガロン……全軍出撃とは本当か?」

 男が国王に自分の疑問を言う。国王のガロン・ルーダーは灰皿の葉巻を口にくわえ、吸った煙を吐く。

 「…あぁ…本当だ。俺の国に入って生きて帰れると思われては困るからな……不安な種は取り除く…しかし、そこに事実があり結果がある……なら、どうするか分かるよな?土門。」

 ガロンの考えていることを聞き、男、吉本土門は答えた。

 「お前の言っていることは正しい。ならば、お前の親友である俺は今回の出撃に俺の土門一家、他の一家を連れて出撃する。」

 「頼んだぞ。土門。」

 ガロンと土門は自分たちの拳を合わせ、土門が部屋を出ていく。

 また一人になったガロンは立ち上がり、窓の方に歩いていく。そして窓から見える自分の屋敷の壁の上部とその奥に見える彼が何年掛かったか分からないほどに成長した街が見える。

 「俺の愛した国に入ったのは許し難いこと……だが…今回のことで分かったな、この国は今までのようにはいかない。ならば強くするだけだ…」

 ガロンは扉の方に歩き出し、扉を開けどこかを目指して歩いていく。


第3話 全軍出撃命令

雨を降らしていた雲はもうすでに形無く、熱く輝く太陽が都市に光を与える。そんな中でサンブルド帝国にある大小様々な軍事基地から出撃した数多くの戦略機や戦車、兵士が都市を囲むように展開する。そして都市の中にいる兵士たちも侵入者を炙り出すために完全武装している。他の国からも援軍が出撃し、完全警備態勢が出来上がる。しかも国王が戦略爆撃機部隊の三人に指示を出し、その三人が全軍に通達した一分後にはすでにこの形が出来ていた。こういった国王の命令に迅速に従うというのもこの国が最強と呼ばれる所以だろう。



 ある一ヶ所を守っている兵士たちは巨大な龍たちと協力している。他にも龍がいる所はあるが、ここの警備区画には龍だけで作られた龍軍と呼ばれる部隊の隊長がいる。隊長の名は、ロルナ・アーテ。常にはサンブルド帝国にある古代遺跡の神殿にいる。この龍軍の驚くべき所は全ての龍が人間となれることだろう。ロルナが人間になると角が五本生え、背中に四枚の翼が生えた女性になる。髪は銀色、瞳は深紅と金色のオッドアイ。他の龍が人間になると二枚の翼が背中に生えただけの姿になる。

 そのロルナが兵士たちと話しているようだ。武装のことで話しているのだが龍専用の武装だと建物に被害がでないかということに兵士は心配しているようだ。それにロルナはどうにでもなるといった反応を返す。

 「ロルナさん、どうしますか?」

 話している二人の所に無反動砲を肩に担いだ兵士が話しかける。

 「どうするじゃと?次の指示があるまで我らも動けぬ。」

 ロルナの口調は長く生きている者と感じさせる喋り方だ。

 「そうですね。国王様は他国の諜報員の排除と言ってましたが……」

 兵士は少し呆れたような言い方だ。ロルナは彼の言いたいことが分からなくもないため、何も言わない。全員が思っているのはなぜ全軍を出撃させ少ししかいない敵を倒すのか、と。

 だが、そんな疑問も次に来た指示で全てが分かった。

 指示の内容は「全軍は国民を避難させ、対異形軍用制圧麻酔銃を装備せよ、準備ができ次第通達しろ。異形軍を出撃させる。」ということだ。

 その指示にロルナは国王が本気でやるということと、私たちだけでは討ち漏らしがでる可能性があると考えたからのことと感じた。

 「分かったの?我らの国民を避難させるぞ。検問を作り、子鼠一匹たりとも逃がすなよ?」

 兵士たちは指示を聞き、検問を作る部隊と国民を避難させる部隊に別れて行動を開始する。


 そのころ、サンブルド帝国に潜入している諜報員たちは避難を促すアナウンスを聞いて自分たちのことが敵にバレたことを悟った。

 「…おい、このアナウンスは避難勧告だよな?」

 一人の男がそわそわして落ち着きがない。

 「そうだな…避難勧告だろう。」

 もう一人の男は隊長格のようで比較的落ち着いている。

 「もしかしたら、避難に紛れて逃げれるかもしれない……」

 「そうだな…しかし、手に入れた情報が今まで持っていた分しか手に入らなかったんだ。このまま逃げるのはここに潜入した意味がない。」

 二人が話している途中に外を見ていた仲間が、

 「逃げるのは無理そうだ……」

 「なぜだ?バリケードなどがあった所で逃げるのにはバレないはずだ。」

 「…近くの建物にいた他の仲間が検問を通ろうとした瞬間、兵士に捕まったんだ……」

 隊長格の男が驚く。なぜバレたのか、変装も何もかも完全に偽装したというのに…と思う。

 「…国民の避難が完了したみたいだ……ん?……なんだ、あの武器は?」

 外を見ていた男は双眼鏡で兵士たちの装備を見る。装備には青い布が巻かれており、非殺傷のマークが書かれている。

 「……なぜ奴らは非殺傷の武器を持っているんだ……」

 男は困惑する。隊長格の男は嫌な予感がする。

 そして、彼の嫌な予感は的中する。兵士たちが大型の盾を持った戦略機の後ろに隠れる。それと同時に空に全長五十mほどの大型輸送艦が飛んでくる。大型輸送艦は空中でハッチを開く。中から大小様々な“何か”が降りてくる。

 「あれは……なんだ?」

 外を見ていた男は護身用のサイレンサー付きと短機関銃を出す。

 そして、“何か”たちは地上や建物の屋上、側面に降りる。

 「…………!?」

 男は“何か”を見て、絶句する。“何か”とは異形な形をした人間だったのだ。ギロチンの台を背中に担ぎ、両手にギロチンの刃を持った女、全身から腕が生えた女、戦車と融合したような男、腰に金属の枷とそれにぶら下がる鎖と先端についた頭蓋骨と腕が四本付いた女など、本当の異形な集団が諜報員の彼らを見つけるためにあちこちを探る。

 「…お…おい…あれに勝てるのか…?」

 短機関銃を持った男は声を押し殺しながら、隊長格の男に聞く。隊長格の男はサイレンサー付き拳銃を出す。

 「……分からない。だが…危険なのは明白だ。」

 落ち着きのなかった男はこっそりと他の部屋に行き、窓のカーテンをゆっくりとどかす。

 窓のすぐ向こうに縦に線の入った顔が現れる。そしてその線が左右に開くと巨大な一つ目が出てくる。

 「う…うわぁぁぁぁ!!??」

 男は護身用の拳銃を腰のポーチから出して、震えながら構える。しかし、窓の向こうには何も居なかった。男はゆっくりと窓に近づき、開いて周りを見るが先程までいた一つ目はいない。男は安心して、窓を閉め、部屋を出ようとした。後ろに振り返った彼は見た。

 男の前に口が耳元まで裂け、人間を喰らうためだけに特化したような鋭利な刃が口を覆い隠し、腕には野太刀のような刃が円をかいて付けられている。足は鳥のような形をしているが金属で爪は床を軽く抉っている。全身は赤黒い染みで満たされている。

 「うわぁぁぁぁ!!」

 男は拳銃を撃つが、弾は化物の皮膚に当たると甲高い音を出して、どこかに飛んでいく。今度は化物の攻撃で爪を床に突き刺し、床の木材を切り取りその木材を男に発射する。男は木材に飛ばされ、外に投げ出される。

 そして、男は外にいた異形の集団に排除される。他の仲間たちも同様に排除された。そして、国民たちは自分たちの生活に何事も無かったように戻る。そうして、サンブルド帝国の日常のヒトコマとして人々に記憶される。

今回のこの作品は初めて投稿する作品です。まだまだ拙い部分がありますがこの作品を読んでどれか一つでもカッコいいや面白いと思えていただけたら幸いです。

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