第6話 魔凶少女べリアル♦ユキナ
ドバンッ!!
「……見つけた」
突如の乱入者……それは、裕樹が見知った顔だった。
「君は……確か、東城と一緒にいた」
「……白河ユキナ。貴方確か、先生の……同じ釜の飯を食ったっていう」
「まあ、もとは同じ保安部所属だったから、その表現はあってるけど……てか、その恰好はずかしうわっ!!?」
突如の裕樹へ、ユキナが顔を真っ赤にしながら手に持っていた杖を振り回した。
何せユキナの格好は、ミニスカートをまとっているが基本ピッタリのレオタードで、上にはマントを羽織りブーツと、かなり露出度の高い恰好をしているために。、
その手には裕香のエリアルに近いデザインの、ダイヤを模した先端に蝙蝠の羽がつけられた杖が握られている。
「……朝霧、お前初等部相手にまで」
「え? いや……あの格好さすがに」
「……先生が、この格好が新技術を活かす基盤になるっていうから、仕方なく着てるだけ!」
「……東城に一体何が!?」
「それより!!」
まだエリアルを出していた裕香を見て、きっと敵意をあらわにする。
「……私?」
「気に入らない……先生がユキナ以外に力を与えたのが、気に入らない!」
「ちょっ、ちょっと待ってよ。私は別に……」
「うるさい!! --べリアル、テイクオーバー!」
『パスワード承認、システム起動、モード・レッドスカイ起動!』
ユキナの杖が突如分解され、ユキナの腕に虎の手のグローブ、背に翼の形となって纏われる。
虎の手グローブが爪を出し、裕香にとびかかった。
「テイクオーバー!」
『パスワード承認、システム起動、コード“ブレイドドラグーン”実行!』
裕香も咄嗟にエリアルを起動し、ユキナを迎え撃つ。
「やっ、やめてよ! 戦う理由なんて……」
「こっちにはある!」
翼をはためかせ、宙に浮かぶユキナを、裕香は剣を構え対峙する。
「--はい、そこまで」
息を切らせ、その場に割り込んできたのは……
「--! 先生」
「……ユキナ、その子が先だっていうのが気に入らなかったんなら謝る。だけど、あまり勝手なことはしないでほしいな」
「--ごめん、なさい」
「説教は後……さて」
太助は裕香たちに目を向けーー頭を下げた。
「すまなかったね。こちらの不手際で」
「いっ、いえ……それより」
「いや、それは君が持っていてもいいよーーそれと、これ」
太助の右腕に電子の羅列が現れ、その手で裕香のエリアルを掴むと、電子の羅列がエリアルに注ぎ込まれていく。
「ユキナと同様、変身機能を追加した--あいにく僕には服飾デザインの才能はないから、そこの子たちに頼んでね」
「--はい?」
「重要だそうだから、急いで作ったんだ。まあ基盤はユキナと同じになるけど」
「……その恰好、ですか?」
「その恰好って何!!?」
顔から火でも噴出さんばかりの勢いで、ユキナが翼で体を隠しながら猛抗議を上げた。
「……女の子って難しい」
「いや全く」
「……揃って変な意味なのが雰囲気壊しているがな」
凪のツッコミに、その場全員がうんうんと頷いた。




