エピローグ 君を想い、君を描く
久々に訪れた中学校では見知った顔は殆ど居なく、でも幸いな事に元担任の先生が残っていて美術室を借りれる様に手を打ってくれた。
美術室から眺める景色は本当に綺麗で、僕は此処から見える風景をいつもキャンバスに描いていた。特に理由も無く。最初はそう思っていたけど、今はハッキリと行動理由が分かる。
海と空が一緒に見えるこの景色こそ僕が描きたかったものだ。僕の絵にはいつも海があって、その上には何時も空があった。
「これ、ずっと同じ体勢じゃないと行けないの?」
「出来ればね」
僕の曖昧な返答でも彼女は律儀に応えてくれる。モデルなんてやったこと無くてぎこちない表情を浮かべているのはあれだが、まぁそこは目を瞑ろう。
何せ、彼女たちの笑顔は今でも僕は覚えているから。あの日描けないと思っていた笑顔は単に欠けていただけ。一人の笑顔だけでは完成しなかったのが正しい。
僕の描く絵は、肩を寄せ合う二人の笑顔だ。
タイトルの二つの『君』。
これは、同じ人を入れてもいいし、違う人を入れてもいい。
人それぞらの捉え方があるよう『君』という言葉にはいろんな言葉を当てはめてもいいと思います。
作者は『過去』と『未来(今)』を当てはめます。思いはせるのは過去だけにして、描く《行動する》のは未来(今)やるべきことだという感じでね。
それでは今まで閲覧ありがとうございました。次回作は決まっておりませんが二月中に投稿を始めます。