ホームレス排除
「おい!今村!お前何でこんなことも出来ないんだよ」
「す、すいません。やり直します」
「もういい!お前この仕事やめろ」
「そ、そんな・・・・・・」
僕はこの日から、ホームレスになった。
公園生活を送っている。
慣れると、楽しいものだ。
どんなに小さなことでも幸せを見つけられるようになった。
周りのおじさんとも仲良くなった。
「佐々木さん、箸、ありがとうございました」
「あぁ、良いって」
「ありがとうございます。また、お願いしますね」
僕は笑いながら言った。
「ははっ!おう」
僕の家は結構立派だ。
電気、水も揃っている。
なんたって公園だから。
この地域は警察が来ない。
ありがたいことにもう二年はここで暮らしている。
僕は今日、とんでもない目に遭う。
「小池さんはぁ〜いつからここで暮らしてるの?」
「あ、はぁ。えっと三年前です」
「寂しいと思ったことは?」
「ありません」
向こうの方で、ホームレス仲間の小池が取材を受けていた。
佐々木さんと僕はその光景を眺めていた。
「いいよなぁ〜小池」
「え?」
佐々木さんは突然言った。
何が良いのか分からなかった。
「取材受けるとな、上手くいくとお礼が貰えるらしい。
そんで、職場復帰した人多いらしいよ〜」
「そうなんですかぁ」
さすがだ。
ホームレスの先輩、佐々木さんは、物知りだな。
「お〜いっ、二人とも〜」
取材を受け終わった小池が走って近寄ってきた。
「何だよ」
無愛想に佐々木さんは言いはなった。
「見てみて、こんなに貰っちゃった」
小池は笑顔を見せながら一万円札の束を見せてきた。
うらやましい。
佐々木さんは見もしなかった。
「冗談じゃねぇよ!新入りのお前に何で取材がくんだよ!」
突然叫んだ。
「そんなおこんなでくださいよ、ほらっ!」
小池は僕と佐々木さんに一万円ずつ渡した。
嬉しい限りだ、と思ったら
「そんなもんいらねぇよ!」
と佐々木さんが言ったおかげで、もらい損ねた。
そんなもめ事をしている時だった。
突然ラジオが流れてきたのだ。
「新首相は金井真二郎に決定致しました」
「お、決まったってよ」
僕は場の空気を入れ換えるためにそう告げた。
「首相の政策を発表します。失業者は全員排除します」
ラジオがそう告げた瞬間空気が凍った。
「どういうことだ?」
鈴木さんは顔をしかめる。
「まさかね・・・・・・」
ダダダダダダダダダダッ
うわっ!ぎゃぁー!
ダダダダダダダダダダッ
嘘だろ。
周りのホームレス達が皆死んでいく。
「なんだなんだ!」
鈴木さんは立ち上がった。
「ぬわっ!」
鈴木さんは倒れ込んだ。
みんなマシンガンの様な銃声と共に倒れていく。
音の出所を見る。
変な装備をした人間が銃を持ち構えている。
とりあえず、僕は走り出した。
「危ねっ!・・・・・・うわっ!」
まさかまさかだ。
銃弾が飛び交ってくるのだ。
僕以外は多分全員やられただろう。
僕はこけた。
こんな時に限って・・・・・・。
見上げると、さっきの変な男らが僕を囲んでいた。
「首相の、政策です」
男は銃口を僕に向けた。
「嘘だろ・・・・・・」
ダンッ!
「排除、終了だ」
ちょっとふざけてしまいました。
これは、ほんの息抜き程度で読んで貰えると助かります。
ありがとうございました。