悪役令嬢と魔女の呪い あなざー
前に悪役令嬢ものを書いて
こういう展開もありかなと綴ってしまった。
特に反省はしていない。
とある国のとあるお城で殿様がお嬢様の誕生祝をしていました。
庭に燃えている炎にはよく肥えさせられた牛が串に刺さって炙られており、訪れた者全てに分け隔てなく振舞われるのであります。その他にも用意できる限りご馳走が用意され道端の乞食であっても存分に振舞われるのでありました。
ご馳走を振舞われた者は皆、お嬢様の事を祝い寿ぐのであります。
お殿様は民の幸いなる様を見て喜び、口々に紡がれる祝いの言葉に日頃は緩まない口元が緩んでいました。お嬢様は王様の娘である慈悲深きお姫様を母に持ち殿様も武才にこそ恵まれませんでしたが民を慈しむ事は神々ですらご存知であります。
この二人は政略で結ばれる事となったのでありますがお姫様は殿様を尊敬し、殿様はお姫様の在り方を善い物と愛しむのであります。知り合って程なくして政略とは何であろうかという人々の突込みが草生えるまでになるのは両人にとって幸いなことでありました。
善き二人が結ばれて命を紡ぎました。それはそれでとても良いことです。愛し愛されて子供を作ることを云々する教えというのはくたばってよいと思います。神に童貞を捧げるとかいうのは変態じみているので近寄らないでください。神に処女というのも同様です、処女といっても賞味期限が………げふんげふん。
善き二人から生まれた命にその地全ての者に喜びを言祝がれていくのでした。そしてお嬢様を寿ぎ祝福を与えんと多くの賢女魔女が招かれるのでした。
賢女魔女について知識の薄い人が多いでしょうから簡単に説明いたしますと賢女も魔女も知恵と力を持つ女性であります。力というものは方向性によって悪にも善にもなるのです。彼女達は善き事悪しき事其々に事を為していますが軽んじてはならない者であります。
賢女魔女達は招きに与り歓待を受けお嬢様の幸いなる生まれに感じ入って其々に贈り物をするのであります。
賢女が美貌を与えるならば、魔女は知性を与えます。
魔女が魔力を与えるならば、賢女は自制を与えます。
賢女が財運を与えるならば、魔女が知足を与えます。
魔女が武力を与えるならば、賢女が品性を与えます。
賢女が人望を与えるならば、魔女が威圧を与えます。
賢女が………
魔女が………
お嬢様には数多の贈り物が与えられて将来は安泰と思われましたが、それを捻じ曲げる者がありました。
それは祝いに招かれなかった魔女でした。彼女は招かれなかった事を恨んで、お嬢様に呪いの言葉をはきました。
「生まれいでたる命よ、汝の祝いに招かれなかったので我は呪いの言葉を紡ごう!『娘よ、汝は善を成すたびに育つはずの胸がしぼむように!悪しきを為すならば娘のふくらみは程よきを得よう。』」
魔女は呪いの言葉を紡いだ途端、姿を消しました。
なんという無慈悲な呪いでありましょう、善であろうとするたびに自身の魅力が削られるのであるのですから。但しヒンニュウ教徒除く。
殿様は嘆きました。娘が貧しいままであるのかと。お姫様改め奥方様は嘆きました。娘の胸が平らである事が善であるなんてなんて恐ろしい運命なのかと。
祝いの席にいた者達は幼き娘に降り注ぐ恐ろしき運命に涙しました。
ある娘は善き娘であるためには大平原の小さな………平らな胸であることに。
ある男は嘆きました、このお姫様もとい奥方様の娘であるならばとても将来有望なのにぺったん娘であるなんて……
ある神官は神に祈りを捧げました。胸欲しさに娘が道を踏み外さないようにと。
そんな人々の嘆きの中で贈り物をしていなかった。一人の賢女は言いました。
「嘆くことはありません。私は魔女の呪いの言葉に打ち勝つ贈り物をいたしましょう。」
人々は喜びました、お嬢様の二親はとても喜びました。彼女は貧乳の呪いが解かれるものと喜びました。
ふむ、とその少女は己が置かれた境涯を知った。まさか、祖父が手酷い振り方をしたから呼ぶに呼べなくて、更にとばっちりがこっちに来るなんて………
思わず国王である祖父を台所にいる不快害虫を見る目で見てしまったのは仕方がない事だと思う。
「お嬢様、威圧を込めた冷たい視線で陛下を見てから、存在自体を無視するのはどうかと思いますが。あれほどお嬢様を溺愛していたのに『孫娘に嫌われた。』と離宮に引き込まれてしまって政務が滞っているのはどうすれば………って、宰相閣下が嘆いておられましたわよ。」
自分のまいた種でしょうに、私が嘆きたいわよ。
とは言え、降りかかる火の粉は自分でふり払わないとこの美しく完璧な私が真っ平らだなんて………学友の平民娘が
「胸なんて大きくったってろくなことじゃないわよ。重たいし動けば痛いし、男達の視線が気持ち悪いし……」
なんて、ふざけた事言うし、もぎってやろうかしら。取り敢えず平民娘の実家の菓子屋におっぱいプリンを用意させるとしましょう。
「ちょ、お嬢様!また私の胸に視線が………」
「娘、許しておくれ。私達平民はお嬢様に逆らえないんだ。」
「とうちゃん、その売り上げの増加している帳簿とか済まなそうにしている顔の底に隠れている笑顔とか如何いう事よ!」
売れているのは良い事ですわ。少々胸が気に食わないとは言え子分の実家に益がある事をするのはとても良い事ですわ。ああ、こんな事をするから胸が膨らまないのですね。
「お嬢、菓子屋娘を弄るのは兎も角、おっぱいプリンお嬢の婚約者である王子様がにやけて買っているぞ。」
「………うん、おっぱいプリンは封印ね。」
「最初から作らせないでくださぁぁぁい!」
「お嬢様、うちの売り上げが………」
「とうちゃん!」
うむ、平民一家をいたずらに右往左往させる。これはなんという悪!
まさか、王子の野郎が菓子屋を御用達にするなんて………おっぱいプリンが駄目ならばおっぱいゼリーを作るなんてなんとあくどい事を!!所で菓子屋の顔が崩れかけているのはなぜなのかしら?
「お嬢、おっぱいゼリーは菓子屋娘ではなくて菓子屋の女将をモチーフにしていたらしいのですが、上に飾ったのが干し葡萄………モチーフにされたこともあるのでしょうが干し葡萄と表現されたのが女性の………おっと、お嬢には無縁の話でしたね。………取り敢えず怒りを買ってボッコボコに……」
ふぅん、取り敢えず王子の所にでも行ってオハナシをする必要があるかしら?一応婚約者のコンプレックスを論う様な物を購入するなんて………
「自分で作らさせといて、買われたからって理不尽な………王子様に同情申し上げます。」
「何か言った?漁師兄。」
「いえ、お嬢様。何も言っておりません。」
因みに王子様は王城に持ち帰って王様と楽しもうとしたところ王妃様に見つかって王様共々(国家機密)で(検閲削除)な目にあいました。王様は婿養子、立場的には王配殿下なので立場が弱いのです。
王子様はそれを見て将来共に立つ女性は自分を立ててくれる人が良いななんて無駄な理想を持っているのです。一番有力候補であるお嬢様は立ててくれるのかとかこれを相手に夜は立つのかとか本当色々酷い事を考えたりしているのですが他に適当なのがいるかなと言う話であります。出来ないならば出来ないで他の王族の流れを汲む諸侯から養子をとるというのもありなのですが、それは荒れるので勘弁願いたいものです。普通に王妃として勤まる女性と言うのは素質有だけとしても希少なのです。
「父上、どうして母上はこうまでも潔癖なのでしょうか?」
「息子よ、先代王(現在隠居療養中)が魔女の一人とねんころになったのだ、それはたまにある事だし儂も………げふんげふん………」
「あなた、そういえば私と一緒になる前に賢女の一人と仲良くなさっていましたわね………」
「それは昔の事でお前と知り合う前だ………」
「男っていつもそう、種を蒔くだけ蒔いて後はほったらかしなんだから。息子、貴方はお爺様やお父様の様に女性にだらしないのになってはいけませんわよ。」
王子様は『はい』という答えしか許されていなかった。ただ、その胸中にはせめて相手はおっぱいが大きいのが良いです、アレを女性(あはーんな意味合いで)として見ることができるかどうか疑問があるのだが賢明な彼は言葉にすることはなかった。自ら墓穴を掘るマゾい趣味はないので。そして王妃様はスレンダーである。
お嬢様は王立の学園に通っている。取り巻きやら眷属筋の子女も集まり一大勢力となっている。そこだけ聞くと悪役令嬢っぽく見えるが派閥の力を使った品のない行為を嫌い、常に行いの貴族たれと有能な平民とその周囲を庇護下に置いたり才能の発掘に余念がない。
先の菓子屋の娘とか漁師兄なんて言うのもそれぞれに才を見出されて囲い込まれた者である。
「お嬢!北の将軍家のバカ息子が食堂を無理やり占有して悦に浸っておるんでどうしやしょう?」
「それは本当かい漁師弟?あの金豚の分際がお前達!頭数揃えな!北の豚野郎をしつけに行くよ!」
「「「「おうっ!」」」」
「ふっふっふっ!あの豚野郎め『女性は胸だ。貧乳は人ではない。』と言ってくれたわね。我等貴族は学園においては平民との差はなく、能力でのみ比べられる。だけどね、貴族というものは例え如何なる世であっても美意識を持ち民の牧人・剣の身分でなくてはならないのよ。あんな品位のない行いをするなんて同じ貴族として許せないわ。豚を〆に行くから皆付き合ってちょうだい!」
「お嬢、豚は食えるし革は細工物になりますぜ。アレと豚を一緒にしちゃ豚に対して失礼と思うんだが。」
「そうね、お前にしてはなかなか良いことを言うね。豚が気を悪くするかどうかは知らないけど、礼儀を守るのは淑女たる嗜みだね。謝意を示すとしよう、夕食のパテか朝食のラルドかは知らないけどね。まぁ、あの貴族たる美意識を失ったバカを食膳の運動代わりに〆るとしましょう。」
「お嬢様、そういって集まった者達が活躍する場を全部平らげるのはやめてください。」
「漁師兄、保養地の島を占有しようとした南のバカ女を叩きのめした時に参加し損ねたことを妬んでいるのね。本当にしょうがない子だねぇ……ちゃんとお前の分も残しておいてあげるからいじけるんじゃないの。」
「俺の分………じゃなくて!皆の分もあるでしょうが!」
「ああ、何と苦労すること。口を開けばビーチクパーチク、私の可愛い子分達は何かしら強請っているんだから、まるで親鳥の気分だわ。まだ、恋も結婚もまだだというのに……」
「お嬢様、親鳥の様って言われましても雛鳥達は皆お嬢様より大きいから郭公のような………ひぎゃ!」
「菓子屋の娘、生意気なことを言うのはこの胸かしらこの胸かしら………もいでやろうかしら?」
むにゅーんむにゅ!きゅ!
「ちょ、ちょっとお嬢様!そ、そんなご無体な…………」
「なぁ、大工の息子(父親は大工である)なんで座ったまま立ち上がらないのだ?」
「天幕職人の子、あの光景を見て自分の世職が建てることなのに自分が立ってしまったよ。」
「それは男としてわかる。」
「ねぇ、貴男達何が立ってしまったのか私に詳しく教えてくださる?」
「「「お、おじょうさま!」」」
男達がお嬢様に説明できたのかは不明である。ただ、その光景をたまたま見た王子様は事態の急に慌てつつも自身も立ってしまった立てなくなったのは別の話(お下品)。その間に北の将軍のバカ息子はお嬢様に〆られるのであります。
ぼぐっ!どすっ!どかっ!げしっ!
「ぼ、ぼくちんをだ………いたっ!やめっ!ぼくちんは北の将軍家の正当………げふっ!」
「食堂は占領目的地でありませんことよ!皆さん少々荒っぽくなりますから苦手な方は離れていてくださいね。」
すでに北の将軍のバカ息子は死にかけ君です。取り巻き達もお嬢様の支持者達によって死なない程度に説教(物理)されております。公共の場所を不当に占有するのは宜しくないことです。
「よろしくて、公共の場所を使用で占有するのは貴族として美しくないことですわよ。我々は民の牧人、如何なる時であろうとも民の範たる事を律して行かねばならないのですよ。」
「お嬢様、白目向いて意識失っておりますが。」
「あら、つまらないこと。」
北の将軍のバカ息子は意識不明の重体です。
「お嬢、やりすぎでは?」
「あらあら、貴族たる者自ら範を正す事が出来なければ民はついてこないでしょう、本当貴族って面倒な生き方よねぇ………」
そんな事真面目に行うのお嬢様(お嬢)だけだろうと思っている漁師兄弟(多神教徒です)はさておき、おっとり刀で駆け付けた王子様と学園教師陣やら衛士達によって騒動は収束に向かい、北の将軍の息子は処罰されるのであった。
「我が婚約者殿よ、少し加減と言うものを覚える気はないのかな?」
「我が君よ王族というのは舐められたら終わりでございますわ。それが何時か貴族の横暴と内乱の芽となって民を疲弊させるのです。やるならば芽が出る前にしっかりと潰しておきませんと、本当ならばきっちりと一族郎党………」
「…………粛清とかそれこそ内乱の元であろう………」
「王子様、なんかお嬢様の方が………」
「いうな、戦時の覇王としてならアレは有能だろう。って、あの将軍の子息だってかなりの使い手なのにあそこまで叩きのめすなんて御しきれるのか?」
「王子様頑張ってください。私には可愛くてか弱い婚約者がいるからその苦労は分かりませんが。」
「護衛騎士、南の島と北の山どっちが好みだ?長い休暇を与えてやるぞ。」
「では、南の島で。海を眺めながら婚約者としっぽり………」
「あら羨ましいですわね護衛騎士さん、王子様の護衛は大変ですの?」
「無茶なことは言わないし守られなれているので楽なのですが休みが中々取れないのが……王子様の護衛だからある程度信用できる者でないとと言われて勤められるものが少ないのですよ。」
「なるほどね、当家から腕利きの者を送りましょうか。」
「やめぇい!王家が乗っ取られそうで怖いではないか。」
「大丈夫ですわ、当家も王族のうちですから。」
「余計にシャレにならんわ!」
「でもこの婚姻って………」
「普通にお嬢様に乗っ取られてしまうのでは?」
「そこは空気を読んで言わない。」
「王子様の私生活はともかくとして普通に善政はしますよねお嬢様なら。美意識がとか何とか言いながら。」
お嬢様一派も学園内で暴力行為を行ったという理由で奉仕作業を命じられましたが数の暴力とお嬢様の権力で手早く終わらせましたのを併記しておきましょう。
その件で孤児院の慰問に行った際
「あら、貴方達ちゃんと食べてますの?朝は何をたべました?」
「はい、お嬢様麦の粥を水で伸ばしたものと市場でもらった野菜くずを………」
「あらあら、孤児院の担当は何をなさっているのかしらねぇ………菓子屋の娘、お前は何人か連れてこの子達においしいものを食べさせなさい!漁師兄弟!ちょっと孤児院の院長を呼びつけてもらえるかしら、丁寧にね丁寧に。天幕職人の子と大工の子、孤児院を担当している者の情報はあるのかしら?後、徴税人の息子いたら呼んできて貰える?」
取り巻き達はそれぞれにお嬢様の命令を実行いたしました。菓子屋の娘(美乳)は実家に連れて行き子供達を鱈腹食べさせました。費用はお嬢様が立て替えてくれるのでウハウハです、庶民はこういった縁を上手く使って儲けを出さないと大変なのです。
漁師兄弟は孤児院の院長を丁寧に丁寧にお連れいたしました。貧しい漁師の出である兄弟は飢えという物はとても辛い事だと知っているので子供達を飢えさせるのに対しては少々荒っぽくなってしまうのは育ちが出てしまうのでしょう。
大工の子と天幕職人の子は貴族様との取引がある実家を持つので色々と情報を手に入れられるのです。機密?なにそれおいしいの?大得意のお嬢様の実家の権勢の前ではそんなもの吹き飛びます。少々黒い噂とか出てくるのは貴族ならば仕方がないことです。
汗をかきかき呼びつけられた徴税人の息子は孤児院の財務報告書を見るなり、あまりの適当さにブチ切れて問題点の洗い出しては叫びをあげています。彼は有能なのですが少々几帳面すぎます。
「こんな、適当な書類が通ると思っているのかぁぁぁぁぁぁぁ!誤魔化すならばもう少し綺麗にやらんかぁぁぁぁぁぁ!こんなクソッタレナもんだと後に続く者がやりづらくなるだろうがぁぁぁぁぁ!!!」
「徴税人の息子、貴方ちょろまかしとかする積りあるのかしら?」
「お嬢様、ばれるようなへまは致しませんのでご安心ください。」
「本当、有能な配下を持って私は嬉しいわ。」
「はい、お嬢様の誇りとなれるべく日々精進致します。」
徴税人の息子は面の皮が厚かった。ちなみにやっているように見せかけて何もやっていません。やや、食糧費とか接待費は多めですがこれは誤差の範囲です。
孤児院は担当の王領と監督帰属家の監督不行届きが問題となりお嬢様の担当となってしまいました。お嬢様仕事が増えてと悩むかと思いきや………
「これはこれで配下が増えてよろしいですわ。」
「お嬢、食わせる口が増えるけど大丈夫なのかい?」
「漁師弟、無駄に置いとくから金がかかるのですよ、放置するなんてもったいない。社会訓練とか奉仕作業として働きに出すのですよ。自分の食い扶持は自分で、それに育ててみて筋の良さそうなのは取り立てるのも良いですわね。小さい頃から育てるとそれはそれで忠実な者が出来ますわよ。徴税人の子、子供達の為の教育は出来ています?」
「はい、お嬢様。読み書き算盤その他に会計、文官に仕立て上げて王国の下から食い荒らして見せましょう。」
「別に食い荒らさなくても良いですわ、私の物なのに如何して損なう必要があるのです?」
「浅慮でした。」
「徴税人の、一々悪役ぶってるのやめないか?」
孤児院の孤児っ子達はすくすく育ちお嬢様に忠誠を誓うのでありました。
「なぁ、我が婚約者殿。孤児院の子らが私兵化していないか?」
「我が君大丈夫ですわ、私の私兵は貴男の力になりますから。」
「そういう意味じゃなくて、5対1とはいえ我が騎士を倒すのはどうかと……子供相手に手を出し辛い面は否定しないが……」
「ちゃんと学んでいますわね、強い相手には常に多数で囲んで疲弊させてから確実にしとめるなんて。」
「いやいや、どこの軍学だ!それ以前に『知性』の祝福をもらっているだろうにそれはどうした!」
「『知性』を働かせて相手に勝つ術を磨いておりますわ。力なき政府に正当性はないも等しいですからね。」
王子様が突っ込み役というか良識派になっています。奉仕作業が粛清劇に………ああ、国をきれいにする奉仕作業ですか………
「ところで薬師に料理人、例の実験は順調?」
「はい、お嬢様。孤児っ子達の栄養状況の改善と成長の記録は取っております。」
「こっちも特定の食べ物と成長の関連を、ただ、個人的体質の差が大きいのかあまり芳しくありませんが。」
「よろしいわ、続けて頂戴。何もかも手探りなのだから最初からうまくいくとは思っていないわ。それにこれが失敗してもこの子達は幸いなのでしょう。」
「それに関しましてはこの薬師、治療者の誓いと己が魂の名誉にかけて」
「同じく、料理は幸いへの道でありますゆえ。」
そして場所は変わって学園、北の将軍(のバカ息子)一派を懲らしめてから風通しがよくなっている。比較的温厚なお嬢様を頭とする一派が牛耳っていれば無体をしようとするバカは………
「本当に憎たらしい胸だこと。」
「お嬢様やめてくださいいくら大平原の小さな………いやぁ!」
むにゅ☆
因みにお嬢様の場合だと 無乳☆ となるのだろうか?
「うるさいわね!」
「お嬢様如何されたのですか?」
「なんか叫ばないといけない気がしたのよ。それよりもまた無駄に乳を増やして私に対するあてつけかしら?」
むにゅ☆むにゅむにむに………
バカはいました。お嬢様でした。取り巻き娘達が成長期でお嬢様を差し置いて駄肉を育てていたのです。
もみもみもみもみ☆
「本当憎たらしい胸だこと!」
「お、お嬢様痛いです!ひゃ☆」
「こんだけ育ってまだ成長途中だって!許せないわね。」
お嬢様の暴挙に男達は誰も手を出せません。色々な意味で立とうにも立ち上がれなくなっているのです。
「俺大工なのに立てる前に立ってしまった。」
「大工の誰がうまいことを……」
「そういう漁師兄弟、お前らは立てるのか?」
「さすがにこの状態では……お嬢、何たる大悪党だ。」
「男どもガン見してないで助けてよぉ!」
思春期の男共には刺激が強すぎたようで………これでどれだけご飯が……(お下品)
一応公の場でありますのでお嬢様自重してくださいという声は小さいながらもあるのですが
「私の胸を自嘲するのね………ちちしょー!」
と取り合ってくれず、女性ならばおっぱいを鷲掴みされてしまうのです。お嬢様は王族として数えられております。故におっぱいを揉まれた子は泣き寝入りするしかないのです、被害的にはおっぱい揉まれた、ブラずれた、男子共から拝まれた……
お嬢様の胸を見る目は確かなので揉まれた娘は婚約者のないのから出来ていたりするのはどうでもよい話。取り巻き達も揉まれた娘を慰めるふりをして中々いい仲になっております。誰かの好い人になるには悪い人であることも必要そうです。そうでないといい人どまり…………げふんげふん。良い人で止まっているのは漁師弟将来的には大工の母親の世話をする羽目になるのかもしれませんね。
そんな中、お嬢様に対して声を上げる少女が一人!
「なんという事!公の場で王太子様(王子様のこと)の婚約者ともあろうお方が何たる破廉恥な!これは由々しい事でありますわ!こんな破廉恥な者が我が国の王族の一人と数えられて後の国母になられるなんて!恥を知りなさい!抵抗もできない者のむ、むねをも、もみしだいて………喘がせるなんて……………こんな破廉恥な者はが国母の資格があるはずありませんわ!王太子様も何故、このような乙女に対する暴挙をお見逃しになっておられるのでありますか!」
声をあげた乙女、東の大領地の領主のご令嬢。どっちかというと委員長気質がみられるので委員長令嬢とも称しましょうか、彼女は良心的な叫びをあげるのでした。
お嬢様一派はあまりに正しい発言に顔をそむけて誤魔化します、ところで王子様まで誤魔化すのはどうかとお付の方は其処を窘めませんとって………あんた等もかい!
諫言耳に痛し、この委員長令嬢の叫びは場にいる一同の心をこれでもかと打ちのめすのでございます。
その場の皆が委員長令嬢に呑まれているその時、お嬢様はおもむろに委員長令嬢に近づくと
「貴女、揉まれてないから羨ましいの?」
と、委員長令嬢のおっぱいをムンスと鷲掴みにしてモニュモニュと揉みしだくのであります。
「あう、あう、うっ、あっ……………やめっいぇめてくだしまし………そ、そんな破廉恥なこと…………」
委員長令嬢の喘ぎに男共は前かがみであります。一部例外は男色家である騎士団長の孫息子であるのでした。彼は平然とお嬢様に向かって
「お嬢様、令状に対する無礼はおひか…………ぶべらっ!」
お嬢様はお胸様を楽しむ………事を邪魔する(?)騎士団長の孫息子を裏拳ひとつで壁のシミに変えて………
「ちょっと黙れ!こ、この感触は………委員長、少し私に付き合ってもらうよ。女共ちょっと付き合いな。」
と女性陣を連れて委員長をどこかに連れ去るのでした。
あっ!という間に委員長令嬢を連れ去られた王子様と男共(前かがみ)、流石に委員長令嬢が連れ去られるのは色々と問題がございます。主に百合の花咲き乱れる展開的に、王子様は男達を率いてお嬢様の後を追うのでした。
それって、委員長令嬢の貞操的な名誉に対して大丈夫なのかと思う者がいましたが今彼は壁のシミになっているので諫言をする事が出来ませんでした。(全治3か月)
「ほた、これが……胸の柔らかさで……」
「女同士で………」
「女同士だから遠慮することがあるの?次は自分の胸を…………」
「あっ、はずかしい……」
「なにをし……………ぐはっ!」
「なにデバガメしているんですかぁぁぁぁぁぁぁ!」
委員長令嬢と女性陣がいる所に助けに来た王子様はお嬢様の一撃で壁の花(比喩的表現)になるのでした。男共はお嬢様の容赦ない一撃にひゅとなって後ずさるのです。
「あんたらもなんかよう?」
お嬢様の一瞥に男共は後ずさる。
「これ以上来るならば遠慮しないわよ。」
男共は王子様を残して逃げ去って行った。
「委員長、自分の胸をどう思う?」
「あれっ、こりっとしたのが………」
「これは確定ではないけど…………のおそれがあるわ。帰ったら治療者と話してみて、もし、バカなこと言うのがいたら私の名前出してこっちに連絡ちょうだい!同じ女として見過ごせないわ。」
委員長令嬢はおっぱいに性質の悪い腫瘍が出来ている疑いがあるとお嬢様に言われて調べてみると胸に悪いものが………委員長令嬢の父親は
「そんな悪いものが出来る娘なぞ利用価値がない、捨て置け!」
と、治療もせずに僻地に追いやろうとしたのですが、お嬢様は
「治療すれば治る病に対して親として何たる態度」
と私兵および支持者及びその他諸々の手勢を率いて委員長令嬢の引き渡しを求めるのであります。最も武術の才だの戦略の才を持つお嬢様は一人でも蹂躙できるのですが撃ち漏らしとか手が及ばずというのがあるので囲んで正面から質すのであります。幾つかの条件はありましたが委員長令嬢を確保したお嬢様はそのまま馴染みに治療師達の群れに委員長令嬢を放り込むと治療を命ずるのでありました。
「お嬢、敵対陣営なのに良いんですかい?」
「ふんっ!あんな良い乳を無碍にするのはよくないわ。あれはあれで王子の乳狂いに与えるえさにちょうど良いわね。」
「そうなると、お嬢様の立場が…………」
「うるさいわね菓子屋の娘、そんなふざけた事を言うのはこの乳があるかしら捥いでやるわ!」
「お、お嬢様おやめください………いやぁぁぁぁ!」
これはいつものやり取りなので周りからは生暖かい目で見られております。妻帯者の近衛騎士なんかは
「女性の価値は乳じゃないのに………乳に男がというのに惑わされてほほえましいねぇ………うちのなんかは………」
と部下に語りかける二次被害がありましたがどうでもよい話です。件の近衛騎士は奥さん(スレンダー系)に(検閲削除)で(夫婦関係なので取りあえずヒミチュ☆)な事をされるのですがどうでもよい話であります。
娘の治療を強行したお嬢様に委員長令嬢の父親は表向き再利用できるようになったかといっておりますが、実の娘が治療されて戻ってきたことに対して喜びを隠しつつも娘に対して利用価値があると寿ぐのであります。そんな様子を見ていた口さがない平民連中は
「ツンデレ親父乙。」
などと軽口をたたいて追い回されたのは幸いなことなのでありましょう。口さがないのはほとんどはお嬢様配下の面々なのでお嬢様は放置しております。
お嬢様は委員長の父親に対して拳を御馳走したのは最もな事です。お嬢様は悪ではあるけど品のないことに対しては嫌悪感を示します。それに対して懲罰の意を示そうとする王家の兵に対して無双をして
「王太子妃様こそ万夫無双の大強者である!しかも病の倒れし乙女の為にその剣を振るわれるとは義は彼女の為にこそ………」
と王家直属の兵団の隊長に云わしめるほど見事であるのでした。(隊長さんは左遷させられました。)
お嬢様はとりあえず兵隊たちを軽くなでて王様に直談判をしました。少々謁見の間の調度が壊れたりしましたが平和的に事は収まりました。王妃様もお嬢様を支持して王様(婿養子)に対して説得(物理)を行いました。王子様は絶望しました。とてもとても絶望しました。
事が終わって、お嬢様は女王様になりました。王子様は王配に収まって国は栄えるのでありました。病が癒えた委員長令嬢は王配妃として国を支えました。
王子様の胃袋が色々大変でありますけど民草は幸いでありました。
「ところで御姉様、御姉様が最後にもらった祝福って………」
「そういえば聞いてませんでしたわね。」
賢女に聞いてみると
「ああ、女王様お美しくなりまして……質問の答えでありますけど馬鹿な王族が干渉した時無条件で彼等が負けるようにする呪いですわ。」
「貧乳に対する対抗策じゃないだろうぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
お嬢様改め女王様の拳が賢女の顔面の到達するのでありました。
お付き合いいただきありがとうございました。