ただの学園ラブコメ…だと思います。
タイミングよく桜が舞い散り始めた四月の上旬、私はめでたく私立都雅高校に入学することとなった。
都雅高校は、私が住んでいる地元から見ても進学校に入るぐらい偏差値が高い。その分私立だけあって部活動が盛んで、特に運動部に力を入れている。
と言っても、友人関係や恋愛に対して過剰に期待や不安を抱いていし、余り運動が得意じゃない私にとっては、正面玄関にて胸に新入生の証であるリボンで出来た花飾りを付けた時点で、余りの新入生の多さにゲンナリしていた。見た感じ、大半の新入生が中学の時スポーツをしていた感じだ…中学の頃は文芸部に所属していた私にとって、彼らや彼女らから発せられるエネルギッシュな雰囲気は正直つらい。
花を付けた時に教えられた教室にすぐさま移動すると、そこには既に何人か居た。
入試の時も思っていたが(そして入試の時に比べたらある程度人数が削られ、複数のクラスに分散しているが)、男女ともに凄い数の人数が、緊張に耐えかねてなのかは知らないが、近くの席の人や知り合い同士で会話している。
人混み自体は平気だが、この部分的に高い人口密度は止めていただきたい。て言うか、私の席を勝手に座らないで頂きたい…席に座れないではないか。
今私が居る教室の一番後ろからも見えるぐらい、ちゃんと机に名前の札がセロハンテープで止めてあるのに…まだその席に座る予定の人が来ていないと思っているのか、話に夢中になって気付いていないのか…はたまたその両方かは私の知るよしもないが。
「あ、菊理〜!!」
席に着けずに軽くイライラし始めた頃、不意に自分の名前を呼ばれ振り向けば、知り合い――と言うか、小学校からの友人である宮代 咲夜がそこに居た。
「ああ、咲夜か。…咲夜も都雅高受けてたのか…意外だな。咲夜の学力なら余裕だろうが、他にも選択肢はあっただろう?」
「それもそうなんだけど…ここの高校が、学力的にも家からの距離にしてもベストだったからさ〜。…て言うか菊理のその言い方だと、まるで私と一緒の高校が嫌みたいにも聞こえるよ?」
む、単純に気になったから聞いただけだったんだが…そこまでは考えが回らなかったな。
「気を悪くしないでくれ、咲夜。私は、咲夜とまた同じ学校に入れて嬉しい。」
「…もうっ、そう言う所は昔から変わらないんだからっ…私も、菊理と同じ学校で嬉しいよっ!」
フワリと笑いながら、咲夜は私にギュッと抱き着いてくる。…相変わらず、咲夜は抱き着くの好きだな…。
「そう言えばさ、菊理が席に着かないで立ったままって珍しいね。席に着かないの?」
おお、咲夜に気をとられて忘れていた。
私に振り分けられた席に視線を移すと、私の席にに座っている男子生徒とバッチリ目が合った。…目が合った所で、だからどうしたという話になるが…取り敢えず、まだ私の席に座っているのだけは確かなようだ。
私の視線で何かを感じ取った様なその男子生徒は、そそくさと自分の席へと戻っていった…これは都合が良い。
「いや、今から座ろうと思っていた所だ。」
すっと歩いていき、私は自分の名前――鐘田 菊理の札がつけられている席に座った。
「へぇ…入り口側の一番前から二番目か。五十音順だけど、菊理からしたら黒板見やすくて良いね。」
「そう言う咲夜はどこの席なんだ?」
「一番前の列だよ。でも、結構菊理と席近いから良いかなぁ~。」
私からしたら、ノートを取りやすいから好きなんだが…他の人からしたら、前の席とは嫌な席と言うか不人気な席らしい…不真面目に転た寝とか落書きとかしなければ良いのに…まぁ、まだ前者なら分からなくもないが、わざわざ授業中に携帯電話やスマートホンでメールやSNSの書き込みをする意味が私には分からない。そもそも、携帯電話やスマートホン自体、校則で校内で持ち込んで扱う事を禁止されているのにも関わらず…だ。まぁ、正直…バレなければ携帯電話やスマートホンを持ち込むのは良いとは思う。でも、それを校内で使うとなると…疲れないか?それとも、ある程度までいけば慣れてくるモノなのだろうか?
…まぁ、先程考えた内容以外にも、単純に先生に指名されやすいと言うのもあるのだろうが。
「菊理…お〜い、菊理〜?」
「…は、すまん、咲夜。ボンヤリしていた。」
「お、おっかえり〜。あともう少しで入学式だから、廊下に出席番号順に並んでおいてってさっきアナウンスがあったから、廊下に出よ。」
兎にも角にも、今日から色々新しい日になる訳だから…気合い入れていかなければな。




