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一人で留守番した日。


初めて一人でお留守番をしたのは、多分五才の頃だった。


その時まで私は、お父さんやお母さんやお兄ちゃんやお姉ちゃんに引っ付いて回って、絶対に一人になろうとはしなかった。


何で一人にならなかったのは、


ただ、良く分からないけど、怖かったのだ。


一人になったら、誰も頼れない。もし何かあったら、私一人でどうにかしないといけない。


当時の私はまだ、何も知らなかったし何も出来なかった。


だから、怖かったのだ。


でも、一人になるのに好奇心もあった。


と言うか、「お兄ちゃんもお姉ちゃんも出来ているんだから、私だって一人でお留守番出来る。」と言う意地を張っていたのかもしれない。


そんな時、お父さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも居ないタイミングで、お母さんが出掛ける事になった。


「お母さん、用事で出るけど…一人でお留守番、出来る?お父さんは仕事だし、お兄ちゃんもお姉ちゃんも学校だけど…。」


「私だって、一人でお留守番、出来るもん。」


そう言って、何の気なしの様な返事をして、私は意地を張った。


心配そうな顔をしたお母さんを玄関で見送った後、急いで二階に駆け上がって、敷かれっぱなしのお布団に潜り込み、幼い頭で一生懸命考えながら、お母さんを待った。


何分間そうしていたかは忘れたが、多分もうお母さんは戻っているだろうと思い、家を歩き回ってみた。


そこには、誰も居なかった。


部屋を隅から隅まで見渡したが、誰も居なかった。


誰の気配も、しなかった。


「お、お母さーん。」


恐る恐る大きな声を出してお母さんを呼んでみたが、当然ながら返事はない。


もうお母さんは戻ってきている…と、何となくそう思っていた私の心は、みるみる内に恐怖に染まっていった。


気付いた時には、「お母さん」や「お兄ちゃん」や「お姉ちゃん」と、大声で泣きじゃくりながら叫んでいた。


暫く泣き叫んでいたらお腹が空いてきて、でも、何を作って良いか分からなくて…取り敢えず、お茶碗に温かいご飯をよそい、手短にあった塩昆布を適当に掛けてから水を掛けたモノを、食べた。


温かいご飯に水を掛けたらぬるま湯になるのは知っていたし、当時はお湯を沸かす事がまだ出来なくて、あんまり好きな方ではなかったけど、グズグズ鼻を啜りながら、私はそれを食べた。


食べている途中で気を紛らわす為にテレビを付けて、全く興味のないチャンネルをボンヤリ眺めていたら、お母さんが帰ってきた。


泣きわめいていたと悟られるのが、何となく悔しかったので、私は必死に澄まし顔をして、


「一人でお留守番出来たよ。」


と言った。





そんな澄まし顔をした私を見たお母さんは、苦笑いしていた気がします。




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