01 序章
教会暦三○○○年、光の都に我が力を受け継ぎし男児誕生す
「陛下!王妃様が無事ご出産なさいました!」
「おお、そうか!で、どちらだ!?」
「男児にてございます!」
かの男児、名を《炎の子》とし肩に我が紋様を印す
ミリアルド王国に永劫の繁栄をもたらす者なり
「父上、これを見てください」
「これはゼシルの紋様……。シュウ、最近変わったことはないか?」
「最近変な夢を見ます。暗闇の中に光が現れて、待っていたって」
「待っていた……」
教会暦三○○七年三の月、母親の死をきっかけに炎の子は自らに宿る我が力の一端を知る
「何事ですか!?」
「王妃様、お逃げください!アロナクス軍が……ぐあぁ!」
「王子は馬車の中だ!邪魔する者には容赦するな!」
「シュウ!早く逃げ……あぁ!」
「母上!」
「いたぞ!」
「母上……母上ぇぇ!」
「な、なんだ!?うわぁぁぁぁ!」
教会暦三○○七年九の月、炎の子は記憶を失いミリアルドとアロナクスはこの力を巡り、争いを始める
「王子を守れ!指一本触れさせるな!」
「あの子供は異端の子供だ!世界の為に消さねばならぬ!」
教会暦三○○九年、二年に渡った争いは疲弊したアロナクスが終戦を申し立て、炎の子は警護の為城内に軟禁とする
そしてしばしの平和の後、炎の子は再び世界の光を見る
時に教会暦三○一七年、炎の子一七才