才色兼備な変態さんは好きですか?
思い付きで書きました。
「おはようユキ!そして私と付き合え!!」
登校中の俺、相澤由希の朝の始まりは、家を出て直ぐに遭遇する一人の女子生徒(先輩)の挨拶と、とって付けたような《告白》から始まる。
ちなみにだが、俺の名前は《由希》と書いて《よしき》と読む。断じて女ではない。
「おはようございます先輩。そしてお断りです」
目の前で返事を待つ先輩に返す言葉は《毎回》同じ内容である。
「何故だ!?」
そりゃ俺だって男だ。告白なんてイベントならドキドキするし、相手が自分の理想である“年上で美人”な女性なら、否応なしに《OK!》の返事を出す。
だが、もちろん例外と呼ばれる相手もいるわけで、今、俺の目の前で驚愕という表現が似合うほど驚いている“年上で美人”であるこの先輩こそ、まさしく《例外》という言葉が相応しい人だ。
「一つ目の質問。何故、先輩が学校とは真逆の方角にある俺の家の近くにいるのか」
「理由は簡単だ!私がユキの家の近くで待ち伏せをしていたからだ!!」
ユキ言うな。
「二つ目。何故俺が返事を断った事に驚いてんですか?」
「ユキの理想である“年上で美人”という言葉にピッタリと一致しているからだ!ちなみに私の成績は学年ではトップ3に入っているし、部活は弓道部の部長兼生徒会副会長。加えて男子生徒が選ぶ“彼女にしたい女子”No.1に2年連続で選ばれてもいる!!これで断られるはずがないと確信していたからだ!!!!」
自分で言うな。そしてその自信はどこから来た?
「最後に。今までに俺に何度告白しました?」
「む?え〜と…………236回目だ!」
うん。いい加減に諦めてほしい……。
「何故だ、年上であり美人であり成績も優秀ならスポーツにおいても万能!しかも実家は金持ち!将来私の旦那さんになれば、資産も遺産も私もユキだけのもの!!断る理由がわからない!!!!」
再び自分で言うな。たしかに先輩は年上であり美人であり成績優秀でスポーツ万能という才色兼備な人である。
「こんなにもユキを想い、携帯でこっそり撮ったユキの写真に毎晩キスしたり、いつ求められてもいいように下着は常に勝負用!そしてユキに好意を寄せている女子生徒を金で諦めさせたり………」
「理由はそれだよ!!!!」
お分かりいただけただろう。先輩はストーカーと自信過剰な変態なのだ。つか、金で諦めさせたって……は!まさか!?
「俺が告白してOKをもらった彼女が、翌日に別れてくれって言ったのは…」
「ああ、私が裏で別れるように金を握らせた。2万だった」
安いな!俺への気持ちは2万円程度かよ!!いや、むしろフラれて良かったのかもしれな……って待て!!
「その前に!携帯で写真撮ったって……」
「ああ。中々苦労したぞ!ほら、これだ!!」
……寝顔だ。間違いなく寝顔である。だが、背景が教室ではなく、見覚えのある風景ってか俺の部屋じゃねえか!!!!
「不法侵入は警察行きだ!!」
「勘違いするな。私は不法侵入などしてはいない!偶然にもユキの部屋の窓が開いていたから、私はきちんと《おじゃまします》と一声かけて中に入ったんだ!」
窓から入って来る時点で不法侵入だよ!!
「勘違いするな!わ、私だって好きで部屋に入り込んだわけじゃないんだからねっ!!」
「なぜツンデレ!?」
「む?男はギャップ萌えというのを好むと親友から聞いたのだが」
変態+騙されやすいんだな先輩は。
だが、
「俺にツンデレ属性は利かない!」
「なにぃ!?な、ならばこれはどうだ!!」
「好きになってくれないんなら、ユキを殺して私も死ぬわ!!」
「ヤンデレかよ!!そしてナイフをどっから持ってきた!?」
ヤンデレ怖ぇよ!
「ぬぅ!まだ堕ちぬか………」
「堕ちねえよ!!ってか字が怖ぇよ!!!!」
堕ちるって何だよ!?
「こうなったら……」
「好きだ。私にユキの子供を孕ませてほしい」
「クーデレかよ!ってか予想通りだな」
いや、変態要素たっぷりな言葉は先輩のまんまだが。…見ろ、周りの反応を。
「朝から大胆ねぇ」
「最近の若者は……」
「お母さー「しっ!見ちゃダメよ!!」
俺がコツコツと積み上げてきたご近所付き合いの信頼も、目に見えて急落(現在進行系)。
「いい加減、私の彼氏になれ!」
「なるか!」
こんな先輩、好きですか?
ひっじょーにくだらなかったでしょ!?書いた私がそう思うくらいですから。非現実的な要素を含んだ内容の文を書いてみたいと思い、こうして書いた次第です。最後までお付き合い頂いた皆様へ。
「本当にすみませんでした!」