第四章 地上離出す
私たちが向かおうとしているロウトは、現在地から北東の方向に位置しているのに対し、フェリディゲン王国はこれから目指す場所とは全く逆の方向にあるからだ。鉱石を手に入れた後、会長に借りた恩を返さなければならないしな...
そして二日後、私たちは帆を上げて出航した。海路を経てロウト近くの小さな港に向かい、そこまで約1日を要した。到着した頃にはすでに夜になっており、波風が穏やかな岸辺に船を停め、一息つくことにした。
「今夜の月は、本当に丸いな」
焚き火のそばで、私は頭上に輝く満月を見上げながら、ふと考えにふけっていた…この月は、この惑星がかつて経験した破滅的な衝突や、その後の生まれ変わるまでにずっと見守って。この星の運命を、なんと波乱に満ちたものだと思っているのだろうか?
「ん?」
私は近づいてくる足音に気づき、振り返った。すると、ヤグナがこちらに歩いてきていた。ただ、彼女の表情を見る限り、どうも体調が良くなさそうだ。
「大丈夫か?顔色がひどく悪いよ」
「大丈夫...妾はただ少し頭がくらくらするだけで...」
「それは調子が悪いってことじゃないか!? 早く休みなさい!」
ヤグナは苦笑を浮かべると、そっと私の隣に腰を下ろしながら言った。
「まず妾から感謝の言葉を言わせてほしい。もしあの時、汝が妾を見つけてくれなかったら、は今も行き場を失っていたかもしれない。本当にありがとう」
「いええ、そんな大したことではないさ。感謝はいいから、早く休んだほうがいいぞ、ヤグナ?」
ヤグナは意図的なのか、それとも無意識なのか、彼女はぼんやりとした目で月を見上げていた。
「......」
彼女が静かに月を見つめる姿を見ながら、先ほど体調が悪いと言っていたことを思い出した。再び休むよう促そうとしたその時だった。
「唔...ああああああ!!」
「ヤグナ、大丈夫か!? 一体どうしたんだ!?」
彼女は突然頭を抱え、地面に丸くなった。その騒ぎを聞いて、ライラとサイバスも船室での眠りから目を覚まし、次々に姿を現した。
「一体何が起こったんだ?」
「ヤグナ...」
ライラは激しい痛みで苦しんでいるヤグナを見て、身をかがめて彼女の様子を観察した。
「わからない。ヤグナが月を見ていたら、突然こうなったんだ」
ライラはこの時、何かに気づいたようだった。
「ヤグナの頭に…角が生えてきている…」
「何だって!?誰かどういうことか分かるのか?」
私は視線をざっと周りに巡らせた。すると、サイバスが何か心当たりがあるような顔つきで口を開いた。
「まさか...彼女は“亜竜族”なのか」
「亜竜族?それなら、今の彼女の状態は分かるのか?」
サイバスは、ヤグナの頭にゆっくりと生成されていく、周囲から集まった粒子によって形作られた、緑色の輝きを放つ角を見つめ、そしで月を見上げた後、こう答えた。
「おそらくこれは、亜竜族特有の『竜変化』の過程だ」
「竜変化?それで、彼女を元に戻す方法はないのか?」
「どうやら、今日は霊魔の夜のようだな……亜竜族はこの日、通常より多くの霊力を受け取り、再び龍の姿に戻す。その角も、実体化するまでは手出しできない。今はまだ力を蓄えている段階で、実体化していない以上、干渉することは不可能だ。彼女が完全に龍化した後、龍角を切り落とすしか方法はない……」
「彼女が完全に龍化するの待でいられん。エネルギー粒子だっていうなら……これをどうだ!」
もし光粒子に似た構成なら、不安定な配置の状態で、同じく粒子構成の武器を介入させたらどんな反応が起こるか試してみよう。
「止まれ!!」
私はビームサーベルを取り出し、短剣モードに調整した後、ヤグナの額に繋がる光粒子に一刺ししました。お推測通り、異なる粒子構造の影響を受けた光の角が不安定になり始めました。そこで、私は短剣モードをその状態で維持し、粒子が彼女と結合するのを阻止し続けました。
「AI、指定対象の状態を診断せよ。」
「了解」
AIはゼリー状の形態に変化し、ヤグナの手首にブレスレットのように付着した。
「監視分析を開始します」
「もう少しだ!」
ヤグナの額の前で集まっていた粒子が、ついに崩壊し見て、ほっと下ろした。
「AI監視状態報告を」
「現在の生命反応は安定しており、観測対象体内のエネルギー値は下降し、安定値に達しました」
そう言いながら、私はヤグナの額に元あった光粒子の角を見つめた。それは完全に消散し、先ほどまで激しい苦痛に苛まれていた彼女は、今では穏やかに眠り、静かな呼吸を繰り返している。
「グダス、一体何をしたんだ?まさか龍化の進行を止めることができるとは…」
「正直に言うと、私も驚いている。まさか自分の推測が通じるとはな。エネルギーでエネルギーの集束を打ち消すなんて方法が使えるとは…」
とは言え、これで今の状況を一時的に和らげただけだ。次に発作が起きた時、もし俺が側にいなかったらどうなるか分からないな…
「AI、継続的に監視を行い、異常があれば直ちに報告してくれ」
「了解」
それから、ヤグナを船室に移して休ませると、私たちはその夜を過ごした…
翌朝、ヤグナの様子を見ようと思って船室を訪れたが、彼女は既に起きており、皆のために朝食を準備していた。
「ヤグナ、もう大丈夫が?」
彼女は元気いっぱいの声で私に答えた。
「大丈夫じゃ。しかしなぜか身体が軽くなった気がする。そして…妾の手にこの腕輪はいつから?」
「そうか、大丈夫ならはなりより、AI」
「ご命令は何でしょうか?」
ヤグナの腕輪から声が発せられた。それを聞いた彼女は目を大きく見開き、信じられないという表情でその腕輪を見つめた。
「監視を解除して戻ってくれ」
「了解」
AIはすぐにヤグナの手首から離れ、私のウエストバッグの状態に戻った。
「あれってスライムが変化したのですか?スライムにそんな変装能力が凄いのは始めで見だ…」
ヤグナは感心した表情でそう言った。
「では、今日の体調に問題がないようであれば、予定通り先に進みましょう」
すると、ヤグナは元気よく「問題ないじゃ!」と返事しだ。
その後、サイバスたちが現れた時、ヤグナ異常の回復速度を、最初に少し心配そうな表情を浮かべたものの、でも、彼女が元気いっぱいの様子を見て、「問題ないのだろう」と考え、ほっとした。
「諸君、準備がいい?」
私が一声問いかけると、皆それぞれ「準備完了」そうなの返事しだ。
「では…船の処理を放置するわけにはいかないな」
私は皆を一通り見渡した後、まずはライラに視線を向けた。
「私は皆を前領主にお連れでの役目あた、船のことは他の人に任せるのはしかない」
そして私はヤグナに一瞥を送り、その後サイバスに目を向けた。
「申し訳ないが、今回も君に留守番を頼むしかなさそうだ…」
「この件についてですが、私は一つの提案がある」
サイバスはそう言うと、何やら呪文のようにぶつぶつと唱え始めた。
「造物主の力によって、魂の源を導き、速やかにその命令に従え、イリュージョンミラー」
停泊していた船がその場で完全に姿を消し、まるで最初から何も存在しなかったかのようになった。その光景に驚いたライラは、サイバスに向かって問い詰めた。
「この呪術、一体どこで学んだの?こんな呪文、聞いたことない!」
「その件については、お教えできません」
「まあまあ、ライラ。サイバスが話したくないなら無理に聞かないであげて。今回の依頼で君がしっかり活躍してくれたら、その時に私が代わりにサイバスと話してみてもいいかもね」
「グダス!お前が決めることじゃない!」
その時、私はサイバスの肩に手を置き、彼をそっと脇へ連れて行きながら話し始めた。
「考えてみてくれ。もし鉱石を手に入れたら、飛行船が完成するんだ。そうすれば、お前を連れて空に行ける。これってお互い助け合うことになるだろう?彼女に感謝の気持ちとしてお返しするのは、そんなに理不尽な話じゃないだろ?」
「そ...それはまあ...」
「ほら、彼女はとても敬虔な信者のようだ。確かにずっと私を天使と誤解してるけど、君が自分の正体を明かせば、きっと感動して君にも丁寧に接するようになるかもしれないぞ」
「待ってくれ、俺には人から敬意や畏怖を持たれる必要なんてない。私の上には主神様がいるんだから、信徒たちは主神様に対してだけ敬虔な心を持てばそれで十分だ」
こいつ、ほんとに固いだな…ならば…
「考えてみろよ。お前が私を手助けして船を完成させれば、それによって主神に危害を及ぼす事態を防ぐことができる。つまり、お前自身が主神を助けたことになるんだぞ。それで得られる信頼は、計り知れないものになるだろう」
サイバスはしばらく考え込んだ後、ため息をつきな後を、こう言った。
「わかった、引き受けよう」
私は後ろを振り返りだ時、ヤグナとライラちょっと話している、私はライラに声をかけた。
「ライラちょっといいが?」
「出発するですが?」
ライラはこう返事で。
「うん、こちらも準備完了。それに、サイバスも了承してくれた。君が任務をしっかりやり遂げれば、彼がいくつかの呪術を君に教えることも問題ないだろう」
「本当?!」
私は彼女に微笑みながら頷いて返事をした。彼女の顔にはやる気が満ち溢れているのが見て取れた。
「では皆さん、私が案内をしますので、私の足元をしっかりとついてきてくださいね」
ライラがそう声を上げると、私たちは前領主の居所へ向けてことになった....
グダスたちが到着する前日、ロウトの教会地下空間では、眩い光があふれていた。教会地下の転送用部屋を満たすその光の中から、ほどなくして二つの人影が現れた。光り輝く転送魔法の中から姿を現したのは、細縁眼鏡をかけた男性だった。その男性が隣の人に話しだ。
「ジャクス、今回が君にとって最後のチャンスだ。次に失敗したら、ラトディット様は無能な者に対して相応の罰を下すだろう。今回は、君がしっかりと追跡を果たしたことを考慮して見逃してくださっただけだ。ラトディット様の期待を決して裏切ることのないように」
「わ、分かっています、ケンドット様」
ジャクスに続いて話していた細縁眼鏡の男は、第三序列の使徒であるケンドットだった。肩に届く深い青色のストレートヘアと、何の感情も感じさせないポーカーフェイスが特徴で、その内心を伺うのは困難だった。彼の濃い茶色の瞳は、しばらくの間ジャクスをじっと見据えままの後に、続きを話だ。
「そうか、分かっているのならいい」
二人が部屋を出ると、外には鎧を身にまとった騎士たちが入口近で待機していた。
「これは今回お前の指揮下に置かれる戦力だ。ラトディット様の期待を裏切らぬよう、努めることを期待している」
「ご助力に感謝いたします、ケンドット様。今回こそ、必ずや成果をラトディット様にお示しいたします」
ケンドットは無表情のままじっと話を聞き、ただ静かにうなずいた。
今度こそ、タスト、お前の命運もここまでだ…
ジャクスは心の中でそう呟いた。
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長い時間を経て、私たちは馬車に揺られながらついに前領主の居城に到着した…
「馬車乗せるとは歩くより速いとはいえ、腰が痛くなるのは困りものだな」
「本当に申し訳ありません。予算が限られていなければ、天使様にもっと快適な馬車をご用意したかったのですが、ただ…」
「気にしていません。それと、外ではその呼び方を使わないでください」
「あっ、失言でした。グダス様」
「ああ…この呼び方、本当に慣れないな。何度もグダスだけでいいと言ったのに、彼女はどうやら敬称を付けないのに慣れていないようだな…」
私がそんなことを考えている間に、ライラは屋敷の門前にいる警備員に招待状を差し出した。確認が取れた後、屋敷の鉄製の門がギシギシと音を立てながらゆっくりと開いていった。同時に、一人の中年の男性使用人が執事服を身にまとい、前庭で私たちを待っていた。
「お待ちしておりまし。ようこそお越しくださいました、皆様。私はご主人様に遣わされ、皆様をお迎えする執事でございます」
そうおっしゃると、執事は指を一つ鳴らし、両側に待機していた使用人たちがこちらに近づき、荷物を運びました。
「では、皆様、どうぞこちらへお進みくださいませ」
執事に案内されながら邸宅の中を進んでいき、最後に赤褐色の木製の扉の前で足を止めた執事は、扉を軽くノックした。
「旦那様、お客様をお連れしました」
「入れ」
執事が扉を開けると、ライラが先に部屋の中へと足を踏み入れた。
「領主様、お久しぶりです。お元気そうなお姿を拝見できて、とても嬉しく思います」
「おお、ライラ、本当に久しぶりだな」
「はい、領主様のおかげで、当時私たち孤児は命拾いすることができました、今も貴方の恩びに感謝します」
「いえいえ、これは私の善意に過ぎない。ただこれ以上、私の目の前で民が命を落とすのを見たくなかっただけだ」
「領主様は本来、私たちに手を差し伸べる必要はなかったのに、他の貴族とは違い、私たちを救う道を選んでくださいました。本当に感謝しています」
「そうだ、私はもう領主ではないから、領主という呼び方はやめて、グルード旦那と呼んでがいい。さて、話は戻るが、彼らが君の手紙に書かれていた一行かね?」
「はい、彼たちは手紙言いましだの商団代表です。そしで、彼たちをラレル石の採取許可を求めるため、グルード旦那様と現領主様の面接を頼み、ここで来ました」
この時、私はライラの隣で前任領主に向かって自己紹介を始めました。
「こんにちは、グルード旦那様。私は煌龍商会所属の運送業者、グダスと申します。あちらにいる二人はそれぞれヤグナとサイバスで、私の助手を務めております。どうかご配慮のほど、よろしくお願いいたします」
「グルード旦那様は、私の自己紹介を聞いた後、真剣な表情に戻りました」
「煌龍商会か…君たちの会長は最近お元気かね」
「はい、会長は商会のためにあちこち奔走しており、とても元気です。旦那様を会長に知り合いですか?」
「知っているどころか、あの娘がまだ商会を今のように大きくする前から、彼女の商才には感心させられていたよ。まさか冒険者だったとは信じがたいほどだ」
えぇ...会長、あなた一体昔何をやらかしたんですかよ?目の前の貴族がこんなに頭を抱える表情をしてるなんて...これで話がうまく進むかどうか心配だなぁ。不愉快な出来事とかじゃなければいいんだけど...
「あの…失礼ながらお聞きしますが、会長は一体何をされたのでしょうか?グルード旦那をそこまで驚嘆させるようなことを…」
「それについては、いずれ君の直接会長に聞いてみるといい。正直、あの時のことはあまり思い出したくないんだ」
「会長!一体何をやらかしたんですか!!」そう叫びたい気持ちを必死に抑えるが、不安は募るばかり…冷や汗が額から頬を伝い落ちるのを感じた。
「過去の話は置いておくとして、君たちの会長があんたらをここに派遣して、鉱山の件を話し合おうとしているのか?」
「この件に関してですが、これはあくまで私個人の判断であり、会長の指示によるものではありません」
グルード旦那は、疑念をわずかに含みつつも、興味深そうな視線で私をじっと見つめていた。
「で、その鉱石を何に使うつもりなのかね?」
「正直なところ、信じてもらえないかもしれませんが、その鉱石こそがこの世界を救う鍵なのです」
「救うだと?一体どういうことだ?」
「実は、天から降り立ったあるお方がいらっしゃいまして、その方は天界で起きている災厄を鎮めるために、この地に降りてきたのです。そして、その災厄を鎮めるためには、その鉱石で作られた鋼鉄の翼を再び天に戻りが必要なのです。」
「はぁ?……失礼、では君が言うそのお方、本当にその話が真実であることを証明できるのかね?」
「では、失礼します、サイバス、お願いしてもいいですか?」
前領主の居宅へ向かう前、馬車の中でサイバスと話し合っていた。「自分の正体を明かさずに、いかにして領主に信じてもらうか」という課題だ。その結論は、使徒だけが使用できる呪術を用いることだった。それによって信頼を得る狙いだ。
サイバスは私にうなずいて応じると、領主の前で用意していた羊皮紙を手に取り、それを細かく引き裂いた。
「造物主の力によって、魂の源を導き、原初のものよ、我が命令に従え、組織を再構築せよ」
サイバスの呪文に合わせて、破り捨てられていた羊皮紙が裂け目から自ら接合し、元の姿に戻っていく様子が目の前で展開された。そして、完全に修復された紙を手に取り、グルード旦那に差し出して確認を求めた。
「これ...物品を復元する呪術を見るのは本当に初めてだ。それに、この呪文も聞いたことがない」
前領主は眉間に深い皺を寄せ、サイバスが行った呪術について考え込んでいる間、私はこ言いました。
「これがそのお方から一時的にお借りしている力です。私たちの話を信じていただけますでしょうか?」
「しかし、それほどまでにすごい術式を持っているのなら、あなたが言うそのお方が自ら創造してしまえばよいのではありませんか?」
「残念ながら、そのお方は神ではなく、使徒です。使徒が可能な術式は、せいぜい元あったものを元通りにすることまでです。ちょうどその方が必要としている『鋼鉄の翼』は、回復の術では完成できません。そのため、私が特別に依頼を受けて、取引のためにここへ参ったのです。」
「では、君たちの会長はこの件をご存じますか?」
「その方からの指示で、必要のない人にその存在を漏らすと命の危険を招くと言われています。ですので、現時点ではあなたにのみお伝えしました...」
前領主は、重い表情で言葉を口にした。
「つまり、私が今この話を聞いたことで、私自身も巻き込まれたというわけか……これはなんとも厄介な取引だな。ならは、もし私が拒否したらどうなる?」
「この件については、あの方から特に何も聞いておりませんが……それとも、拒否するおつもりですか?」
「知ってしまった以上、殺される危険があるというなら、拒否しても逃れられないだろう……仕方ない。君たちを領主に引き合わせる手配をしよう。ただし、私の今の立場でできるのはそこまでだ」
「それで十分です。あとは私たちが領主様との交渉を試みます。ご協力に感謝するとともに、このような形で交渉に及んでしまい深くお詫び申し上げます。どうかライラのことは責めないでください。事が成った暁には、必ず厚礼を準備いたします」
「いや、静かに余生を過ごせるのならそれで十分だ。贈り物なんて、命がなければ意味がないさ」
そう言いながら前領主は手を軽く振り、早く立ち去るよう促した。それを見て、私たちは静かに部屋を退出した。そして、領主との連絡に関する手配が整うまで、客人用の部屋で待機することとなった。
「どうやら完全に嫌われたようだね。悪いことしじまた、すみませんな、ライラ」
「大丈夫です、グルード様には私がまた機会を会おうて説明しますから」
「それでは本題に戻ります、グダス、領主をどう説得するつもりですか?こんな強制的な理由は、通用じない可能性があるどころか、犯罪者として牢屋に入れられる危険性さえあります」
「もちろん、今回は魅力的な取引を準備しており、それを交渉の切り札にするつもりです」
サイバスはそれを聞くと、真剣な表情で問いかけた。
「まずは、私に聞かせてもらおうか、その取引材料とやらを…」
「それなんだけどね、ある鉱石がここでは結構価値があるって聞いたんだ」
これは、暇の間に利用して調べた合成物質に関する資料に基づいているんだ。貨幣以外で宇宙法の規制を受けずに合成できる物質だよ。結局のところ、それは単純な物質で、その価値はこの文明で暮らす人々自身が決めるものだから、合理的に合成出来るだ。
「これは…彩幻岩か…」
「ああ…なんて美しい宝石なんだ…」
サイバスとライラは感嘆の声と驚きの声を上げながら、この宝石の周りを囲んでいた。そして、その石は不思議な虹色の輝きを誇示するかのように、見る角度によって色が変化していった。多分このかけで、この石は世間で彩幻岩と呼ばれている。しかし、合成の説明欄によれば、この石はどうやらこの世界のある種の巨大な獣が脱皮した際に落ちた外殻の破片であるらしい。
「彩幻岩……これはまさに貴重な宝物だ。この世界でこれを持っている者は、片手で数えられるほど少ない……」
「でしょう?こんなに価値のある宝石なら、領主様も交換に応じてくれるはずだ」
しかし、その時サイバスが私の調子に冷や水を浴びせた。
「ですがね、この宝石はあまりにも希少であるため、所有している人はしばしば余計なトラブルを引き起こすものある。そのため、この宝石を所有できる人間は、王族か、それとも武力を誇る貴族に限られるの多い。ですので、この宝石の存在はあまりにも危険だと私は考えています。領主様は、この件がなかったことにする選択をするかもしれません…」
「何ですって!? じゃあ私の努力は一体何のために…」
「価値があるからといって、誰でも欲しがるわけではない。安全にでぎるの価値を持つことこそ、この世界で長い生きるの原則なのだ」
「では、サイバス、君は何か考えがある?」
サイバスはしばらく考え込んだ後、口に開いた。
「お前は自稱宇宙人だろう?この世界には存在しない知識を持っているはずだ。それなら、この世界で価値があるとされる知識を提供するのはどうだ?」
「知識か…確かにその通りだな。それなら、この世界では怪我や病気をした人はどうやって治療しているんだ?」
「その件については、ライラに尋ねた方がいいかもしれませんな」
私はライラに目を向けて尋ねました。
「ライラ、この世界の人々は病気やけがをしたとき、どうやって対処しているのか教えてくれますか?」
ライラは少し考え込んだ後、ゆっくりと話し始め、最後には次のようにまとめてくれた。この世界には呪術で病気を治療する方法があるものの、それが万能というわけではない、呪術は症状を柔るだげ、後は自身の再生能力を加速させること、ですので、根本的な病気の治療にはやはり医者さんの助けが必要です。
しかし、医者さんは知識高いな専門職であり、治療費用も非常に高額なだ、貧しい家庭ではその費用を負担することができず、不幸な結果を招くことも少なくありません。
「なら、伝染病の予防と治療方法を伝授するのも悪くないの取引。民んの健康が保たれれば、税収も増える可能性があり、領主にとっても良い提案となるでしょう」
サイバスは私の言葉を聞きながら、表情にはあまり信じるが見えないが、それでもこの考えに賛同した。
こうして私たちは元領主の邸宅で一晩を過ごした。
だが、どうやら元領主は早く私たちを追い出したいと思っているらしく、翌朝の朝食中に執事を通じて私たちに知らせた。現領主が私たちに会ってくれることになった。朝食を済ませた後、私は執事を通じて感謝の気持ちを渡した上での後、私たちは急いで出発したが、その道中でライラは先ほどの返礼について少し気になる様子だった。
「天使様、一体何を前領主様にお送りしたのですか?」
「確かに、あなたが言っていましたよね、前領主様は今、引退生活を楽しんでいて、植栽に興味をお持ちだって?」
「え、そですが」
「それでね、昨日領主との取引について話し合っている時に、旦那の助けに感謝の気持ちを込めて、栽培に必要な知識や記録をいくつか贈ることを思いついたんだ。きっと内容を見て、喜んで手を動かし始めるんじゃないかな」
「なるほど、感謝します」
「大したことはないよ。もしこれが原因で、あなたと元領主様の関係が遠ざかるようなことたら、こちの方は心を気まずいな」
私たちはおよそ半日ほどかけて領主の居城に到着し、到着するとすぐに領主に謁見するよう案内されました。
「前任から話は聞いているが、鉱山を少し貸してほしいということらしいな?」
銀色の髪を持つ青年が、冷だよな鋭い視線をその美しい顔立ちに浮かべ、じっと私を見据えながらこう言った。
やはり警戒されているか…それも無理はない。あのような話をした以上、誤解されない方が不思議だろう。
「むしろ、取引をお願いしたいのです。必要な分の鉱石を採取させていただければ、それで十分で」
「その件については、悪いが、できません」
「理由を教えていただけますか...?」
目の前の領主は、まずテーブルに置かれた紅茶を一口飲み、続いて深いため息をつくと、椅子の背もたれにもたれかかりました。
「実は、私たちも再開を検討していましたが、鉱山を運営する資金がなくてね、だから鉱山をそのまま放置していたのですが、ようやく最近になって再び鉱山を復原つもりだた。が、そこ付近に怨霊が徘徊していると人々が噂し始めました。
無理やりに人を雇って工事を進めようとしても、作業員たちが怖く過ぎ、ある日の夜るにうちに逃げ出してしまた。今では鉱石をあなたに売ることすら不可能なのです。」
「それでは、ぜひ私にお手伝いさせてください。この幽霊騒ぎの噂を解決する代わりに、必要な鉱石を採取させてもらうという条件でいかがでしょうか?」
「置いておいても仕方がない。誰かが問題を解決してくれるなら、それに越したことはない。ただし…本当に少量の鉱石だけで十分なのか?」
領主の視線が再び鋭さを帯びた。
「本当です。今回は私個人の事情で来たもので、商業的な利益のために特別来たわけではありません。この点はどうかご安心ください。それでも気が済まないようでしたら、商会への一部開放についてご検討いただいても構いません。私は特に反対しませんので」
「それならいい。この貧しい田舎では、商会に食い荒らされるわけにはいかないからな」
「それはご安心ください。今回こちらに来たことは会長には話しませんので、彼女は私がここに来たことを知らないはずです」
「それなら、あなたたちに任せる。片付いだらは、必要な量を自分で取ってでいい」
「許可をいただき、感謝いたします。」
その後、私たちは雑談ながら紅茶とお菓子の話題を楽しんだ後、領主の邸宅を離れ、すぐに鉱山の所在地へと向かった。
私たち、やっと目的地に到着、同時に私はライラここの景色見ると辛くなる、心配しで彼女に話しかけだ。
「もし、かつての故郷を見で辛くなれば、近くの町で待機していても構わないよ」
「天使様、この件に関してはご心配なく。これは私自身の試練です。たとえ辛いがあっても、もうこれ以上逃げ続けるわけにはいきません」
彼女の目に宿るその決意を見ていると、それ以上何か言うのは無意味た。もし何か起こったとしても、その時は何とかする。
間もなくして、私たちは部分に破壊された遺跡がまだ残っている村に到着した。そこは、領主が先日の雑談で言っていたように、この村はただ簡単に片付けでのよにみえる。
しかし、建物の残骸はまだ一部がその形を留めており、一目で長い間放置されていたことが分かる。
だが、心に傷を負った者にとっては、記憶の中では最もに残る姿であるかもしれません。
「は...ふう...」
ライラは自分の感情を抑え込もうとし、微かに震える手を強く握り締めていた。
彼女が必死に感情を抑えの姿を見ると、周囲の人々に余計な気遣いを受けたくないの様子。そこで、私はヤグナに尋ねた。
「ヤグナ、ここが君が言っていた故郷だ。こんな姿になってしまったけど、何か思い出すことはあるか?」
しかし、彼女はただ小さな丘をぼんやりと見つめていた。目の前には何もないはずなのに、その瞳には何かを思い巡らせているような様子が浮かんでいた。
「皆さん、お腹は空いていませんか?お昼ご飯を用意してきましじゃぞ」
その時、ヤグナが突然こう言だした。
「いつの間に準備したんだ!?」
サイバスがそう尋ねると、ヤグナは自慢に答えた。
「領主の屋敷にいた時に、厨房を借りたのじゃ」
こんな緊張感のない会話を聞いていると、私はライラに声をかけた。
「それじゃあ、ここで少し休憩しよう」
「はい...わかりました、天使様...」
そしで、ヤグナは口を開き、同時に先ほど見ていた小高い丘を指さした。
「あっちに座りだいじゃ」
私とサイバスは互いに顔を合わせ、その小さな丘を見ましたが、特に脅威はなさそうた。
そこで私たちはヤグナの要望に従い、この村のやや外れにある場所へ向かいました。
同時に少し距離を取ることで、ライラが景色に心を痛めることも少なくなり、気持ちを落ち着かせる助かになるはずです。
「では、この時間を使って作戦計画を立てましょう」
サイバスは意気揚々とそう言い放ち、一方をヤグナは自分が作った料理をゆっくりと味わい続けている。
も一方を、ライラは魂が抜けたような目付きもない、仕方なく私は代わりに返事した。
「じゃあ、まずは君の計画を聞かせてもらおうか?」
「私は、藪をつついて蛇を出すならないように、このチームでこの周辺地域にキャンプを設営する。
夜が訪れたら、二人一組で交代しながら廃鉱を見張る形がどういい、何か異常があれば、一人が通報を担当、もう一人が追跡するほうか良いと」
「そうなれば、キャンプ地はあまり遠くに過ぎると。連絡に支障が出てしまったら損失だ」
「それなら確かに防備がより万全になりますね。そうしましょう。ところで…そちらに照明に適した特殊な道具はありますかな?」
「申し訳ありませんが、この星の文明レベル低いので制約により、私の文明の技術製品をお貸しすることはできません」
「制約?技術?それはどういう意味ですか?」
「では、こう説明しましょう。この星の物質文明と、私が属する星の文明との間には遥か低い、だから制限がかかり、貸し出すことができない」
「そんなことか?」
「ええ、本当に申し訳ないですが、できる範囲内で、できる限り協力します」
「では、サイバス、君は使える呪術が何かあるの?」
「それなら、これを試しよ」
サイバスは一枚の紙を取り出した。その紙には、墨で描かれた不思議な模様が印されている。
「これは何ですか?」
「これは私たちが使う霊符です。この上に書かれている呪術は対話の能力を発揮するもので、これを持っていれば会話ができる」
「おお~それは本当に素晴らしい。それなら、私も使えますかな?」
そこで私はその紙を手に取り、それに向かって話しかけてみます。が、その紙は何の反応も示しませんでした。そのため、私はそれをヤグナに渡して試してもらうことにした。
すると、その紙は光を放ち、通話ができるようになりました。どうやら、私に欠けている何かがあるようです…
「さでは、さっき話の照明道具についてですが、この文明レベルに合った道具と言えば、やっぱりあれでかな?」
そう言いながら、AIに物質合成を任せ、提灯を手に取った。しかも、この提灯には内部に鏡が取り付けられていて、底部のつまみを回すことで光の屈折角度を調整できる。これにより、蝋燭の光を遠距離照射のような効果に変えることができる。更に、中身の上部には地面を照らすための反射鏡も取り付け、安心して提灯を持ちながら歩くことができる。
「この提灯は本当にすごいです、こんな設計は初めて見ました」
サイバスが興味津々の表情で提灯の構造をじっくりと眺めている時、私は他のメンバーに問いかけた。
「では、チーム分けをしましょう。みなさん、どのように分けたいですか?」
私は彼ら3人を見渡したが、ヤグナは特に意見を示さず、ライラは手を挙げた。
「もし私がよげなら、天使様と同じ組になりたいです…」
「サイバス、君がどう思う?」
「現時点の状況では、ライラと君、俺とヤグナという組み合わせが悪くないかもしれ」
「それなら悪くないかもしれませんね。私とヤグナはこの世界についてそれほど詳しくありませんから、それぞれに詳しい人がパートナーになるのは確かに適しています」
そうは言っても、私が何か言おうとした瞬間、ヤグナが先に口を開きました。
「それならば、妾とライラが同じ組になる方が良いのではありませんか?だって、どちらも女の子からじゃ」
「そう言われればそれも一理あり。できれは男女の組み合わせなら、緊急事態の際に男性が時間を稼いで脱出を助けるだが、ま...それもいいかもな」
ライラはサイバスの言葉に対してなだか不満を抱いているようだった。
「どうやら私は舐められているよう。それならヤグナの意見に賛成する。女だからといって、私は一応傭兵の一員として働いての現役なのさ」
「なんだか、君のやる気満々気がするけど…」
サイバスがそう言ったがでも、無理でもない。この文明ではまだ男性主義的な社会だから、あの発言でライラを怒らせたのだろう。でも、これで彼女が気合いを入れ直したのなら、悪いことではないかもしれない。
「分かりました。それでは、ライラとヤグナ、私とサイバスがチームでということで、これで決定だな?」
女性チームは元気よく頷き、サイバスはどこか諦めたような表情で私を見つめていた。
「問題ないようなら、さっそく準備を始めよう」
このようて、私たちはある場所にキャンプを設営し、夜間の見張りに必要な準備を整えた。準備が一段落したところで、私はヤグナに尋ねた。
「ヤグナ、どうしてここを休む場所に選んだのか聞きたいんだ?」
「うん……何とも言えない感じだ。かつて夢の中で、この景色を見たことがあるの。夢の中の妾は、この丘で誰かと一緒に、のんびり空を眺めて楽しんでいたような気がするのよ……」
そう言いながら、彼女は穏やかな表情で青く広がる空を見つめていた。その時、風がそっと吹き抜けていった。
「この風、確かに心地いいね。」
敬愛する天使様のおっしゃる通り、持ってきた物をすべて丁寧に確認し終え、ようやく今夜に備える準備が整いました。ちょうど天使様を探しに行こうとテントを出たところ、天使様がヤグナと何やら話している様子が目に入りました。挨拶をしようと近づいて行ったその時……
ヤグナが語ったその思い出を耳にしたとき、私は息を飲みました。あれは……私と、すでに亡くなった幼馴染だけが共有していた記憶のはずだた…何故か?
「彼女が記憶を失っているとはいえ、名前も記憶もここまで似ているなんて……これは一体どういうことなのか?」
「大丈夫ですか?ここに立ち止まってぼんやりしているように見えますけど?」
「サイバス?! いつからそこにいたの?」
「呼び捨てで... 私は一応使徒なんだぞ...」
サイバスは諦めように低い声で呟いた後、やる気なしの表情で草地に横たわりながら言葉を続けた。
「ここの景色は本当にいいなあ。昔聞いた言葉を思い出した」
'ん?この人、急に自分で話し始めたけど…'
「とにかく、心配してくれてありがとう。私は大丈夫です」
私が立ち去ろうとしたとき、サイバスが話しかけてきた。
「呪術の秘密を知りたくない?まあ、これから話す内容は約束を果たすためにここえ来ましただ。聞きたくないならそれでも構わないけどな」
その言葉を聞いた瞬間、私は思わず動き止めだ。頭の中は混乱し、一瞬迷ったが、とりあえず彼が話す秘密を聞いてみることにした。
「それでは、お言葉に甘えさせていただきます。」
私は彼から少し離れた芝生の上に腰を下ろすと、彼は話を続け始めた。
「この世界の術法がの知識を、知っているか?」
「確か、自然界に存在するエネルギーを借りて、術式で骨組みを作り、言葉で命令を指示するもの、そうなです」
「それは君たちが理解できる方法でしかない。しかし、私たちにとっては、この世界のすべての生物が死後、エネルギーに変わるんだ。そうして、この地でエネルギーは循環し、新たな生命が生むする際、そのエネルギーが空の身体に宿り、新たな個体となる。それがこの地の生物の循環過程なんだ」
それが呪術とどう関係に?彼の説明にどう繋がるか?なので、彼は私理解不能の前提に話し続けだ。
「呪術とは、亡者なるのエネルギーを操ることだ。自然の声に耳を傾け、術式で詩を紡ぎ、亡者たちのエネルギーを導く。そして口に語りで願いを伝えれば、彼らは自然とお前の期待に応えてくれる」
「術式が歌にだって?それならどうやって作り出すんだ?」
「それは自分で悟らなければならない。口で説明しても実際に体感することはできないからな。
だが…この世界には亜竜族のように、彼らは、彷徨う亡者の残留意志が、周囲のエネルギーを吸収し、この世界に突然現れた産物だ。このヒントに、よく考えてみるんだ」
そう言い終えると、サイバスは跳びで立ち上がり、何かを口の中でつぶやきながらも、内容ははっきりと聞き取れなかった。そしてそのまま別のテントの中へ入りた。
亜竜族……待てよ!もしかして、あの記憶を持つヤグナがいるのは、これが原因なのか……?
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夕暮れが訪れるにつれ、それぞれの心にはさまざまな思いが巡り、そのまま夜を迎えることとなった。
「さで、幽霊の正体を見せてみよが」
夜が訪れ、私はサイバスと共に第一陣を担当した。私たちは目撃地点付近の岩場に身を潜め、それぞれ適した隠れ場所を見張りて待機した。私たちは鉱坑の元々の入口に集中して目を凝らしていた。
やがて、薄霧のような気体が現れ、ゆっくりと足元を覆い始めた。
何もなかったはずの鉱坑の跡地に、白い螺旋状の霧が立ち上り、その中から私たちの想像を超えた人物が姿を現した。
「ジャクス…あいつがどうしてここに?」
サイバスだけでなく、私も予想外の人影に驚いた。しかし、まるで私たちの居場所を知っているかのように、奴の視線がこちらを一瞥し、呪術を発動した。
「造物主の力によって、魂の源を導き、炎爆!」
奴の言葉が落ちると同時に、私たちの隠れ場所の周囲が突如として爆発した。
「戦闘モード!」
私はすぐに装甲を装着した。その時、彼の背後の扉が消え、私の後方には多数の鎧をまとった教会の騎士たちが現れた。そして、サイバスの方の状況も同様に最悪だった。
「ハハハハ!! 意外だったか、ネズミども!教会の追跡から逃れられると思うなよ!」
「いつの間にここまで追ってきたんだ?」
「俺たちは使徒だってこと、お前も知らないわけじゃないだろう?」
ジャクスは嘲笑を浮かべ、サイバスは何かを思い出したように悔しそうな表情で彼を睨みつけた。
「すまない、みんな。どうやら、俺の油断が原因でこんなことになったみたいだ」
「それはどういう意味だ?」
「俺たちが常に天の目に監視されていることを忘れていたんだ」
「目?」
「ハハハハ!審判者の眼は常に背信者を見張っているよ」
ジャクスはもったいぶって態度で、大げさに言った。
私は考えると、結論に至った。
「つまり、GPSのような追跡監視システムか…」
サイバスのやつ、追跡装置を付けられていたのか?
「俺はお前たち二人だけじゃなく、同行している仲間たちも把握している。さらに、別の部隊がそちらへ向かい、も逃げるのこともないよ」
やばい、これも当然だ。GPSトラッカーがある以上、俺たちの行動は当然、すっかり丸見えになってしまっている…
「サイバス、ここは君に任せいい?」
「できるけど、あまり引き延ばさないでくれ」
「おいおい!人を舐めるのにも限度がある。今回があの時と同じだと思うな!」
ジャックスは一瞬にして複数の幾何学模様の光陣を展開し、口の中で呪文を唱えた。すると、彼の姿に変化が起こり、特殊な外甲が体を覆い始めた。
それは不気味な深紫色の輝きを放つ装甲へと変貌し、その異様な光景に、サイバスも驚きのあまり呆然と立ち尽くした。
「あっはははは!これは主神様の力に最も近い、あの方は俺を解放された力だ!」
ジャクスの鎧の外見はまるで変異した魔物のようだった。Vの字に分かれた頭部、大きな鳥のような金属の翼、そして鳥の脚を思わせる支えを備えた足。その異様な姿は、不気味に満ちた。
「これは鎧とは言えないな……どちらかというと、機械装甲と言った方が正しいか…」
「何かはどうでもいい、こんな状況で俺一人で持ちこたえるのは無理そうだな」
「じゃあ、ここは私に任せろ。君は早くライラたちに知らせに行け」
「わかった。本当に大丈夫か?」
「見た目はだいぶ変わったが、まだ大丈夫だと思う」
私たちがまだ話し合っている最中、ジャクスは謎の呪術を発動した。
「くそ!」
サイバスは慌てて通信用の符紙を取り出し、連絡を取ろうとしたが、そこで気づいた…
「使えないだと...」
「バ~カ〜私が何も準備せずに現れると思ったの?タストよ」
そう言った後、ジャクスは他の騎士たちに「やれ!」と命令し、騎士たちは手に持っていた槍のような武器を地面に突き刺し、淡い黄色の薄膜を作り出した。
「さあ、処刑台も準備できた。お前たち鼠ども、ここから逃げることはできないぞ!」
次の瞬間、装甲の口部から強烈な白光が放たれ、直撃した場所はまるで溶けるように赤熱し、焼灼の痕跡を残した。
「この威力!冗談じゃない!?」
サイバスは不機嫌そうに眉をひそめて叫んだ。
「この威力…衛星砲に匹敵するエネルギーを持っている。まさか、使徒は皆こんな力を使えるのか?」
「こんな状況で冷静に分析してる場合かよ!?」
「あはははは!無駄だ、この力の前ではどんな手段も俺には通じない!」
師匠の教えには、どんなに強大な敵であっても絶対無敵ではない。
この世界を創造した存在を除けば、必ず巧妙に隠された弱点があり、強さを誇張している部分があるはずだ。
「サイバス、まずは情報収集に専念しよう。ライラたちがこの危機に対処できると信じる」
「情報収集って…」
「この力を前にして、まだ雑談する余裕があるのか?」
ジャクスは再びエネルギーを集め、幾何学模様の呪術陣が再び彼の前に展開された。やがて、耳をつんざくような爆発音が響き渡り、それに続いて巨大なビームが放たれた。
「くそっ!この状況で情報収集しろってのか!」
サイバスは光線を避けるために慌てて飛び込みながら、俺に文句を言った。
「攻撃を無視したら、命を落とすことになるぞ」
俺はそう返答しつつ、光線の軸線上から身をかわした。戦闘装の補助のおかげで多少楽ではあるが、このままではサイバスが先に撃ち抜かれる可能性がある。何か手を打たねば。
「おい!テメェ、よく聞け!」
「はぁ?」
ジャクスは侮蔑の表情で俺を見下した。
「俺がテメェに勝てねぇとでも思ってんのか?ナメてんじゃねぇぞ、このデカブツが」
「ハッ!笑わせんな。できるなら、口だけじゃなくて見せてみよ!」
この時、彼の装甲の翼部分から数枚の金属片が飛び出し、肉眼では追えない速度で私の周囲を飛び交いながら風を切る音を響かせた。間もなく、システムの警告が鳴り響く。
「やっぱり、この装備でもキツいか...」
「ハマったな、バカめ!これでお前は終わりだ!」
ジャクスは再びエネルギーを収束させ、私に向かって砲撃を放とうとしていた。
「グダス!!」
轟音とともに強烈な振動と閃光が走り、地面にはまた一つ破壊の痕跡が残された。
「ハハハハハ!邪魔者が一人減ったことで、ようやくお前をじっくり料理できるぞ、タ~ス~ト〜」
その時、結界の周囲を守っていた騎士たちが次々と倒れ、結界は瞬く間に崩壊した。
「これは一体……まさか!?」
ジャクスは凶悪な光を宿した目で周囲を見回し、ついに最後の騎士を倒した俺の姿に気付いた。
「お前がそんなに手強いなら、正面からぶつかる必要はない。まずはこいつらを片付けるのが最善だ。サイバス、ずらかるぞ!」
「逃がしゃしね!」
彼は再び金属の飛片を放ち、私たちの動きを封じようとした。
「さっきので俺はすでに解析済みだ。同じ手は通用しないぞ。」
俺は銃を構え、軌道補助システムを利用してさっきの動きの軌跡を分析した。結局、単純な動きのパターンだった。
「なにっ!? 落とされただと!?」
ジャクスの顔には信じられないという表情が浮かぶと同時に、悔しさと怒りが入り混じり、逆に彼を刺激してしまった。
「誰であろうと同じだ!俺を見下しやがって!消え失せろ!!」
マイナスの感情が爆発するかのように、彼の装甲の前に無数の術式が展開された。
「どうやら彼の痛いところを突いてしまったようだな…」
「今はそんなこと言ってる場合か?!」
サイバスと俺は何とかしてそのヤバそうの術式を回避しようとしていた。
すると、突如として謎の巨大な影がジャクスに飛びかかり、彼の攻撃は空振りに終わった。
「どうゆうこと?」
俺とサイバスに顔を見合わせた後、舞い上がる粉塵の方向を見た。しばらくして、ジャクスの怒りに満ちた声が響いた。
「誰だ!?俺の邪魔をする奴は!」
煙幕の中から赤い光が閃き、鋭い牙を持つ巨大な口がジャクスの装甲へと襲いかかった。
「ドラゴンだと!? なぜ竜族がここにいるんだ!」
私は、ジャクスに噛みついているドラゴンをじっと見で……
「まさか!? ヤグナ、またドラゴンの姿に戻ってるのが!?」
しかし、目の前のドラゴンは私をまるで知らないかのように無視し、ジャクスの装甲を噛み砕こうとし続けていた。
「おい!お前の言う通りなら、ライラの方がヤバいんじゃないか?」
サイバスはそう言い放った。
「ライラの方は君に頼む。こっちは私に任せ」
「分かった、気をつけでな」
「そちも」
「さて、この二体の巨獣の戦いにどうやって介入するか…」
巨大な龍の体に絡みつかれたジャクスは、こちらの様子を気にする余裕すらなさそうだ。
やはり、龍化したヤグナは手強い。しかし、彼女を好き勝手るとう。もし油断して逆にジャクスに殺されでもしたら、それこそまずい。何とかしなげれは...
「ヤグナ、大人しくしてろ。もう一度その角を切り落としてやるから」
まあ、本人には聞こえていないだろうが……
「くそが!!」
ジャクスは装甲の機械の尻尾を操り、ヤグナに鞭打ちを加えたが、ドラゴン族にとっては痛くもかゆくもないようだった。
むしろ、それが逆効果となり、ヤグナはさらに激昂し、より強い力でジャクスの装甲の一部を噛みちぎった。
「ぐうーーーーが!!!」
ドラゴンは低く唸り声を上げ、まるで自分の勝利を宣言するかのようだった。
ジャクスの装甲前肢はヤグナを押しのけると、金属の破片を放ち、空中に飛べ、私の動きを妨害しようとした。その瞬間、彼の目の前には再び術式が展開され、砲撃で決着をつけようとしていた。
「クソトカゲめ、俺たち使徒の怒りを阻むとはな…これで終わりだ!」
ジャクスが奥の手を使おうとしているのを見て、私はすぐにAIを呼び出し、倉庫モードへと戻すよう指示した。
「AI、倉庫番号05、取り出せ!」
次の瞬間、歪んだ空間から突如現れた巨大な柄を持つ高出力ビームソードを取り出した。
「音声認証起動、使用者確認、グダス・ラシン、制限解除」
機械の音声がヘッドアーマーから耳に届く。元々ロックされていたトリガーのカバーが解除され、引き金を引くと、ビームソードが幅広の刀の形状で現れた。
「こら!他人の仲間に何をしようってんだ!?」
高出力のビームソードが延び、ジャクスの胴体装甲幅と同じ長さになり、そしで、術式を展開していた装甲の前端を一閃。
刃が触れた瞬間、それは真っ二つに断ち切られ、同時に術式も途絶えた。
「クソッ!? そんなバカな!それは一体何なんだ!!」
竜化したヤグナは脅威が消えたのを見て、再びジャクスに飛びかかった。
今度は殺気に満ちた咬みつきで彼の装甲を引き剥がそうとする。
しかし、思わぬ妨害に激怒したジャクスは......
「俺は絶対に……貴様らを殺してやる!!!!」
彼の装甲が多くの部品を剥がされた、突如として黒いの何かが装甲を包み込み、しかもあれが、地面から伸びにして装甲へと絡め込んだ。
その後、力に与えるそうにで、姿が変わりました。そう...あれは、まるで竜の姿、しかも、真黒の竜。その怪物口に呟くでいた...
「こ、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!!」
狂乱の魔竜のごとく、それは術式なしで、極めて強力な砲撃を放った。一瞬にして、その砲撃が着弾した地点は激しい爆発を引き起こした。
本来無機質であるはずの装甲から、頭部に四つの目が現れ、不気味な動きで周囲を見渡しながらヤグナをロックした。
「うううが...」
目の前の存在が生物とも無生物ともつかない不吉な気配を不安を覚えたのか、じっとそれを見据えた後、竜巻を吐き出し、黒竜の周囲を取り囲むようにして渦巻かせ、そのまま締め上げようとした。
黒き魔竜は気になさずで尻尾を振りうと、すべてを一掃払う。まるで存在しないかのように、黒き魔竜は鋭い爪を振りかざし、ヤグナへと襲いかかった。
「俺の仲間に手を出すなて言ってるだろう!?」
なのに、それは容易くビームソードを噛みつき、俺を振り回した。その瞬間、私は気付いた、私とヤグナを同じ射線軸に並べたこと。同時に、その口元には漆黒の球体が集まり始めていた。
私は銃を構え、黒い球体に向かって撃つした。
しかし、その黒球はまるでブラックホールのように、ビームまでも吸収してしまった。
「こいつはマズい…」
私はAIから道具を取り出そうとした時、竜はまるで覚悟を決めたかのように、捨て身の覚悟で動き出した。
すると、周りにも術式が浮かび上がり、眼前に強烈な光を集める。そして、四肢でしっかりと地面を掴んだ。次の瞬間、黒竜は暗くの紫色砲を放ち、同時にヤグナも強烈な衝撃力を伴う光波砲を発射した。
暗くの紫と白の衝突は巨大な衝撃波を引き起こし、私は地面を何度も転がった末にようやく体勢を立て直した。
ヤグナが変化した竜は、先ほどの一撃でかなりの力を消耗したのか、動きに疲れが見えた。
なのに、ジャクスが乗る甲冑魔竜は気にしないように、地面に伸びだの黒い糸が引き続き力を供給し続けてそうだ。
それを見計らい、魔竜はヤグナの首に噛みつき、苦痛の声を上げさせ、その場に崩れ落とした。
「ヤグナ!!!! このクソ野郎!」
今は宇宙の法律を気にしている場合じゃない。このままじゃ俺も死ぬかもしれない。
「AI、倉庫番号02、取り出せ!」
倉庫空間から物体を転送し、その中から特殊な構造を持つ長砲身の武器を取り出した。
これは、小形なブラックホール現象を引き起こすことができる「ブラックホール砲」だ。
短時間に空間を歪めることで、一時的なブラックホール現象を発生させる。
この武器は本来、採掘時に異常に硬い岩層に対して使用されの器具、ブラックホールの侵食によって掘削作業を行うためのものだ。
同時に、武器として使用すれば極めて脅威となる存在でもある。
そのため、宇宙法では明確に規定されており、特殊作業員のみが申請許可を得た場合に限り携帯、使用が認められている。これは、悪用される可能性を防ぐための措置である。
「ブラックホール砲、広範囲モード起動」
「これを受けてみろ!」
砲口の近くに景色が歪む現象が発生し、その後に中心点が光を一切通さない黒い球体へと変化した。
引き金が引かれると同時に、ブラックホールは加速され、装甲魔竜へと向かっていった。
しかし、それはブラックホールの存在をまるで意に介さなかったようで、逆に、自分の爪にブラックホール叩き込む、打ち払うそうと、当たり前に奴の前肢を飲み込ん、すると、さっぱり消えました。
「がああああああ!!!」
生物ではないはずなのに、生物のような痛みの反応を示したで。
もしかして、操作者の感覚と連結されなのか?
先ほどのダメージを受け、装甲魔竜は俺に警戒し始めた。だが、警戒されでも、俺の攻撃は外さない!
「これで勝負は決まった。大人しく降参するんだ。それは警告だ、悪く思うな。」
「が.......こ......ころ...殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!」
獣の唸り声が混じった咆哮。その中にはまだわずかに人間の理性が残っているようにも思えたが、あの狂暴な状態はもはや正常な理性を持つ者の反応ではなかった。
ならば、俺も自分の身を守るためにお前を倒すしかないな。その時来ては、この理由をもって宇宙法廷で正当防衛を主張すればいいだろう…
そう考えている間に、向こうは俺に休む暇を与えるつもりはないようだ。再び金属の破片を展開して、私の動きを妨害しつつ、あの強力なビーム砲を放ってつもりだ。
「ブラックホール砲、広範囲モード」
私の言葉に応じて、砲身の構造を展開し、砲口前方を付近でさらに大きな空間の歪みを発生させ始めた。歪んだ空間は、周囲で私の防護シールドを攻撃していた金属片を次々と異空間へと吸い込み、時間が経つにつれてブラックホールの大きさが徐々に増していった。
「発射!」
「殺す------!!!!!」
双方はそれぞれの切り札を相手に向けて放った。しかし、結果は一方的だった。黒い球体がその不吉な紫の光をすべて吸収してしまったのだ。
そして、そのまま何の抵抗もなく敵へと直撃した。特別な効果もなく、ただ黒い球体に呑み込まれるだけだった。次の瞬間、まるで何事もなかったかのように、すべてが消え去った。
武器によって発生した時空の歪みによるブラックホールは時間制限があり、宇宙空間に長時間存在するブラックホールとは異なる。
成形条件がまったく異なるため、掘削作業などの短時間使用が可能となっている。当然、このツールを操作するには専門的な訓練を受け、ライセンスを取得する必要がある。
目の前に危機解除し、私は再びブラックホール砲を倉庫に戻る。そしで、ヤグナの様子を見だ、ただ、彼女は力尽きよそだ、既に竜の姿を人間に戻る。だがな...
「AI、彼女の服の修復を行ってくれ」
「了解」
ただ、彼女がドラゴンの姿に変化すると服が破れてしまうのは、本当に不便だな。
「サイバスの方はどうなっているだろうか…」
「修復完了。他に実行することはありますか?」
「これでいい」
「了解」
AIはそう返答すると、再びウエストバッグに偽装して戻った。
私はまだ昏睡しているヤグナを背負い、キャンプ地へと向かう。
元のキャンプ地に到着したが、そこには誰の姿もなかった。
残されていたのは、荒れ果てたキャンプと乱れた地面だけだった。
「AI、生体探査を実行」
間もなくして、ヘルメット中のディスプレイに二つの人影が表示された。
私はヤグナを背負ったまま、彼らのいる場所へ向かった。
傷だらけの二人を見つげた時、彼らの前には無表情の眼鏡の男が立っていた。
彼は私の気配に気づいたのか、すぐにこちらへ視線を向けた。
「君がジャクスを倒したの?」
「まさか見つかるとは……俺が倒したのは間違いない。それで、復讐しに来たのか?」
「グダス、この男は第三序位の使徒だ!油断するな!」
「天使様、ご無事で何よりです。」
眼鏡男はライラの言葉を聞くと、じっくりと俺の全身を観察し、「なるほど」と呟いた後——
「君はこの世界の住人ではないな?主神様から聞いたことがある。この世界の外にも別の世界の住人がいると」
「確かにその通りだ。君たちの視点では異世界人ということになるだろう。実際には、私は遥か遠い星から来た異星人だ。それで、君はどうするつもりだ?」
「では、ひとまず我々の天域へ来てもらおうか。異界人よ、主神様が君の来意を判断する」
そして、去る前に眼鏡男はそう言うと同時に手を振り、一番最初にジャクスたちが現れたときと同じような転送光輪を出現させた。
彼は去る前に、サイバス向かで言いた。
「今回は見逃してやろう、タスト。異界人を案內の責任がお前に託す、帰還許可を下す」
そう言い残し、男は光の輪の向こうへと消えていった。ていだいな表情のまま、私たちはその場に取り残された。
「こんなにあっさりと見逃されるなんて…」
ホットしたサイバスは、思わずその場にへたり込み、息を切らしていた。
「相手がわざわざ招待状を送ってきたんだ、行くしかないな」
「天使様、ご無事で嬉しく思えできた」
「うん…心配してくれてありがとう。ライラ、君は大丈夫か?」
「掠り傷程度だから大丈夫。でも、それよりヤグナの様子が気になる。敵に呪術をかけられた後、突然狂ったように暴れてドラゴンに変身してしまったんだ…」
それを聞いた私は、背負っていたヤグナをそっと地面に降ろしながら続け言った。
「今のところ大丈夫そうだ。さっき力を使い果たしたことで元に戻ったんだ」
ライラはぐっすり眠っているヤグナの姿を見て、安心したようにほっと息をついた。
「それじゃあ、向こうから招待してきたんだ。こっちもサプライズを用意してやろうじゃないか」
「まずは、あまり派手にしすぎないよう頼んでもいいか?第三序位の者が主神様に会わせると言っていたんだ。私は本物の反逆者だと誤解されたくないんでね…」
「心配しないで。私が言ってる『サプライズ』ってのは、俺たちが直接飛んで行くってことさ」
邪魔者は片付いた以上、鉱坑は私は好きに採掘できるってわけだ。領主が奴らと繋がっていた可能性は十分に考えられるが、だったらこの貸しを存分に利用させてもらうとしよう。
「とにかく、まずは相棒を元の姿が戻さないとな」
AIは偽装を解除し、その柔軟な体を活かして、崩れた鉱坑の中へと潜り込んだ。
そしで、AIが十分な鉱石を集めるまでの間、私たちは外で野炊をしながら休息を取ることにした。
およそ、私たちを食事済み、片付け終わりの時、AIが鉱坑から戻ってきたころには、見た目にも体積がかなり増えているのがわかった。
「素材の収集が完了しました。船体形態に変換しますか?」
この問いかけを聞いて、私は立ち上がった。
「うん、頼む」
「了解、修復指令を実行します」
AIが光を放ち、修復作業を開始した。私は周囲を見回し、サイバスと交代するつもりで近づいた。
「お疲れ~その後、私を任せ」
「大丈夫、俺もこの不思議現象を気になる。このままでいい」
彼がAIの船体修復作業を真剣に見つめているのを見て、私は気にだ場所に座り込み、宇宙船の修復を眺めていた。
「ね、サイバス」
「ん?どうかしたのか?」
「もし、私たちが苦労してたどり着いた末に、結局敵と見なされたら、お前はどうするつもりだ?」
サイバスはただ静かにAIの作業を見つめた後、口を開いた。
「正直に言うと、そのことは考えてなかった。でも、本当にそうなったとしたら……」
沈黙がしばらく続いた後、サイバスは立ち上がった。
「やっぱりやめておこう、考えすぎて疲れた、ここは君に任せよ」
そう言いながら、彼はゆっくりとキャンプの近くにある簡易な草むしろの上に横になった。
「まあいいさ、もしそうなったら、その時にどうにかするしかない。たとえ彼が寝返ったとしても、俺は恨まないさ……」
そして、時が過ぎ、ついに朝を迎えた。長い夜を経て、AIはようやく船体の修復を完了した。さすがは最先端の技術だ。液体金属だけでこんなことができるとは、以前は考えもしなかった。
「わぁ~~! これが私たちを空へ連れて行ってくれる船なの!?」
ライラは昂りを隠しきれずに言った。
一方、ヤグナは目を大きく見開きながら宇宙船の外観をじっくりと観察し、あちこちを歩き回っていた。
「ヤグナ、体に異常は感じないか?」
彼女はまず自分の体を探るように触れた後、その場で数回跳んでみせた。
「妾は特に異常は感じぬ」
「そ、そうか。じゃあ、ついでに君たちに宇宙船の内部を案内しよう。あとは、ヤグナに詳しい検査もしておくか」
「本当に中を見てもいいのですか?天使様のご恩に感謝いたします」
ライラは異常なほど興奮しているようだった。一方、サイバスは宇宙船をじっくりと観察しながら、こう言います。
「これは本当にすごいな。一晩で完成できるなんて」
私は彼らを船内へと案内した。シューッという排気音とともに、船体の扉が開く。ライラとヤグナは好奇心いっぱいに辺りを見回した。
同時に、船内のライトが自動的に点灯し、金属質感のある内装が照らし出された。未来的なテクノロジーを感じさせる設備が次々と姿を現し、皆の目に映る。
この時...
「ようこそ、ご来訪の皆様」
雪のように白い肌を持つ女性が、未来的な光沢のあるボディスーツに身を包んでいた。
スーツには白いラインと淡い青色のアクセントが施されており、その腰まで届く水色の長髪が美しく揺れるの彼女は、綺麗の顔に持つ、親切丁寧の口調を挨拶しだ。
「お、お前は何者だ!?」
サイバスは警戒ままで問い詰めた。
「落ち着け、サイバス。正確に言うと、彼女は人ではなく、AIが変化した人工補助コントロールだ」
「元はスライムみたいだったものが、こんな姿になったの、そゆことか?」
信じられないといった表情で目の前のAIを指さすサイバス。
それを聞いたライラとヤグナは、興味津々にAIの周りをぐるりと回って観察し始めた。
「はい、私は番号MR-X201、環境探査専用船のAIです。皆様のご来訪を歓迎いたします」
「こ、これが本当にお前が言っていたAIなのか?言動がまるで人族と変わらないじゃないか…」
「なぜこうなったのか、私もAIに聞いた。AIの説明によると、鉱石を吸収している際に奇妙な箱を拾い、それを再構築している最中にシステムが侵入され、気がついたらこの姿になっていたそうだ」
ただ見ると、サイバスはまるでコンピューターがフリーズしたかのように固まり、私の説明についていけていないようだった。
「とにかく、突然起こった奇跡的な変化だと思えばいいさ」
「それで大丈夫なのか……」
その後、私たちは出発の準備を整え、そして……
「まだお手数ですが、皆様、所定の座席にお座りください。これより出航します」
船の操縦室で、私は船長席に座り、さっきまで周囲を興味深そうに見回していたサイバスたちに向かって話しかけた。
「本当に緊張するな……」
ライラは期待に満ちた表情でそう言い、ヤグナは窓に顔を押し付けて外の景色を眺めていた。
私はサイバスを覗た。彼は平静を格好つけているものの、窓の外をじっと見つめる様子からして、多分彼も相当興味を持っているのだろう。
「AI、出航だ」
「了解、離陸プロセスを開始します」
AIは専用の操作台に立ち、手をコントローラーに差し込むと、宇宙船の推進システムを起動させた。すると、私たちはゆっくりと浮かび上がっていった。
「出発!」
私の合図とともに、宇宙船は加速し、宇宙へ向かって突き進んでいった。
重力離脱のため、船は強く揺れでのうちに、その三人も悲鳴を絶讃中。こうして、一気に大気圏を突破する、宇宙に向う。