閑話――ベノンの精霊講座
簡単にですが、精霊さんのアレコレを書いてみました!
閑話ですので、時間が違いますがアップしておきます。
「さて、アリスよ。わしに聞きたいことは無いかのう?」
寝起き早々ベノンから問われたアリスは、ぼーっとする頭で必死に今問われた内容を復唱していた。
ベノンさんに、聞きたい事? なんで、寝起き早々?
突然どうしたのかと聞きたいと言いかけ、期待する瞳を向けられていることに気付いたアリスは言葉をのみ込んだ。
なんとか、必死に考えて……その結果が「えっと、精霊さんには性別あるの?」だった。
「ふむ。わしら精霊に性別はないのう。一人称は、様々じゃが性別と言うくくりは無い」
「ほへー、なるほどー」
とりあえず、先に顔を洗って目を覚ましたいアリスはベットから起き出す。
すると手首にベノンが巻き付き、またも期待するような瞳がむけられる。
ぐっと、喉を鳴らしたアリスは、期待に応えるため必死に次の質問について悩んだ。
「じゃぁ、精霊は四属性だけなの?」
「ほう、いい質問じゃな!」
「ちょっとベノンさん、こっちにいて、顔洗うからー」
ベノンを洗面台の上の部分に移動させたアリスは、しゃばしゃばと顔を洗った。
すっきりして、顔をあげたアリスは結んだ髪を解きながら、窓辺においてある机へ向かう。
「さっきの質問じゃが、精霊は基本四属性だと言われておる。だがの、我ら精霊はいかような物にもなれるのう」
「それって……四属性だけじゃないってこと?」
ベノンは、少し考えるようなそぶりを見せると再び口を開いた。
生まれたばかりの精霊は、光の玉のような存在でユーランやフーマ、ベノンのような姿をしていない。
ではどうやって姿が変わるの? と聞くアリスにベノンは、言葉を選び教えてた。
精霊は生まれてから長い時間――約一〇〇年前後、個体により時間はかわるそうだが――をかけ、身に合う魔力を取り込んでいく。
魔力が溜まると同時に、好きな姿になるそうだ。
しかも、あとから姿を好きに変化できるらいし。
「なるほど……」
「面白いじゃろう?」
「確かにそうだね」
何度も頷きアリスは瞳を輝かせる。
ふと、迷子になった時の事を思い出しアリスはベノンに質問してみた。
「もしかして、実体のない風だったり、雲だったり、木や花になった精霊もいるの?」
「勿論おる」
なるほど~と、返事をしつつアリスは、心の中であの時の精霊に感謝する。
「他に聞きたいことはあるかの?」
「ベノンさん、ちょっと思ったんだけどこの世界に妖精っているの?」
「妖精はおらんが、幼精はおるぞ。さっきも言うたが、魔力を取り込んでいるものたちをそう呼ぶ」
なるほど、幼いと言う意味合いの幼精はいるんだ。
納得したアリスは、それぞれの性格について聞いてみようとワクワクする。
「ベノンさん、精霊さんって属性によって性格って違うの?」
「ふむ。良い質問じゃな」
頷いたベノンは、わしが思うにと付け加えてからそれぞれの属性の特徴を教えてくれる。
土の精霊は、基本のんびり屋が多く、何事にも身を任せる性質。
水の精霊は、基本穏やかで人懐っこい。けど、怒りに我を忘れて激流の如く襲うこともある。
風の精霊は、寂しがり屋な癖に、ひと所に留まれないと言う少し面倒な性質。
最後に火の精霊は、怖がりで臆病な性質故に、ひとの前には決して姿を見せない。
「へー。属性によっていろいろあるんだねー」
火属性の性質に驚きながら、アリスはノートにその性質を書き留める。
ふと思いついたかのようにベノンが、アリスを促して窓辺へ向かう。
そして、窓の外へ顔を向け「ほれ、見える花畑、あそこにも精霊がおるのう」と眼を細めた。
つられるように窓の外へ視線を向けたアリスは、快晴の空と色とりどりの可愛い小花が咲く花畑を見る。
どこに精霊がいるかなんてアリスには、見えないし、わからない。
けれど、精霊の事を知ったおかげか、心の中がぽっと温かくなるような気がした。
イイネ、ブックマーク、評価、誤字報告(←毎度すみません)ありがとうございます!!




