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才能

作者: やきはた

書きたかったのは後半です。前半は時間制限してるので、感じだけ掴んでいただけると

「才能屋 診断など」

怪しげな看板が宙に揺れている。

私がそれを黙って眺めていると、1人の聡明そうな男が高貴なマントに身を包んで店の中へと入って行った。

15分ほどして男が出てくると、その男は前よりも遥か瞳に輝きが増している。


またしばらく見ていると、筋肉の付きがいい中年やクラスに1人いたら殺したくなるような美青年が入店していっては、満足しきった表情で出ていく。


私はそいつらとは違ってお金が無く今月の家賃を払うことすら怪しい社会のゴミで。そして手にはやっとの思いで稼いだ1万円が収まっていた。


やめればいいのに何かに縋って入店してしまった私は、調度1万円の診断コースを選び、そこの案内人と思われる背の高い男に案内され1番奥の扉を開いた。


そこにいたのは、まさしく「占い師」と言う名前が似合う老婆であった。私の思った通りの姿そのままで驚いてしまった。

どこのどんな怪しい物も中身はこう胡散臭い表面上の怪しさなのかもしれないな、などと思いながら。

氏名、手相、表情などを全て見られていく。


しばらく時間が経って結果が出た紙を渡されたが、そこには「回答不可」とだけハンコで押されてあった。


なんてインチキ野郎だ。私にだって一つや二つ才能と呼ばれる何かはあるだろう。そう一瞬は思ったが。この結果は、自分自身がずっと思ってきたことをここで他人に初めて明確にされただけのことだった。


涙が出ないうちに外へ出てしまおう。そう思って椅子を鳴らして立ち上がった時、

老婆は私に再度声をかけた。

「お前には才能と呼ばれる輝かしい何かはひとつもない。」

分かってる

「だが、ここまで才能の欠片もないことが才能のドス黒い才能は初めて見たぞ。」

うるせぇなババア才能がないという才能なんてあるわけねぇだろ殺すぞ

と思ったところで、言う勇気も伝える才もない。

「そこでだ、追加コンテンツの御提案。」

「お前のその無能の才、私に売らないか」

老婆とは思えぬハキハキとした喋りに怯んでしまう

「ど、え、ぁ....あぇ..」

「1000万。どうだ?」ニヤニヤと楽しげに笑っている。

脳が揺れるのを感じた。

これは私の才能の報いだ。この金の切符が幸福を連れてくるのだ。

「ぜ、是非!おねがいし!ます...........」

老婆が手を私にかざした次の時には、私の足元には札の小雨が降っていた。




その後、才能を持たない才能を無くした1000万円の女は人生をクソなりに全うし、クソのように死んだ。

そして、その頃に謎の女が才能の売買のビジネス会社「SAI」を始めた。

文才、努力癖、運動神経。あらゆる才能を錠剤として、人間がとり入れるという永久的に他人の売った才能を自分に留めるというものが流行りに流行った。

しかし、才能服用者の1部が何においても駄目な無能に侵されることがあり、無能の才は全ての才能に抗体を示した。

一瞬極少数に見られたかと思うと、その後爆発的に無能が急増した。

才能に依存した世界で無能の感染はもう止まる事はなかった。

根っからの天才集団だったSAIの連中は、メンバー一人一人の才能を惜しげなく行使した。

あるものは法律を整備し、あるものは才能のルートを潰し、あるものは才能の摂取を取り締まった。

そして消えた天才たちとともに才能薬は完璧に幽閉されて長い月日によって忘れ去られていった。

しかし才能は服用者と非服用者、服用無能患者の祖先に受け継がれ。

才能の時代は現代に至る。

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