4話 決着
文字数が少ない?
うん僕もそう思う( ¯ω¯ )
ズドンッッ!!
凄まじい音が訓練場に響き渡ると同時に少しの発光と何かが焦げたような匂いが広がり、相対していた二人は土煙に包まれる。
ダンが開始早々魔術を発動したのだと理解した野次馬たちは土煙がはれるのを今か今かと待つ。
焦げた匂いと発光からダンが使ったのは火属性の魔術というのは魔術の使える一部の野次馬たちにはすぐに分かり、そしてこの決闘の結果も推測することが出来た。
つまりはダンの圧勝だ、と。
一般的に魔術の使用するにはいくつかの段階がある。
一つ目の段階は選択。どの魔術を使うのかを選択する。
二つ目の段階は構築。選択した魔術を構築する。
三つ目の段階は座標決定。その魔術の影響を与える座標を決定する。
そして最後の段階が発動。魔術を決定した座標に発動する。
この4つの段階を行うには魔術を使い始めたばかりの初心者であれば少なくとも数秒はかかるのが一般的である。
開始という言葉と同時にダンによって放たれた魔術の発動スピードは一瞬で、貴族として相当訓練したのだというのがわかる。
これを防ぐにはその貴族と少なくとも同等、もしくはそれ以上の実力がなければ防ぐことが出来ないであろう。
今日入学したばかりで、平民であるミツキには到底できる芸当ではない。
一部の野次馬はそう推測した。
そして、その推測は見事に打ち破られることになる。
土煙がはれたそこには武器を構えたまま驚きを隠せず目を見開き動かないダンと一番最初の姿勢から動かないミツキの姿があった。
魔術にまだあまり触れていない入学生達はおぉと歓声を上げ、魔術師達は驚いていた。
「…何をした」
再起動したダンが低い声で問いかける。少し声が硬いように感じるのは気のせいではないだろう。
「教える義務はないのでは」
「イカサマかもしれんだろ」
「なるほどね」
それは面倒だ、とミツキはおどけたように肩を竦めた。
「まぁ、答える気はないけどね」
「…」
その言葉にダンは無言で拳銃の引き金を引く。それは何度も繰り返され、先程よりも濃い土煙が広がった。
しかし、土煙がはれても結果は先ほどと同じ。ただひとつ違うとすればそれはダンが肩で息をしていることだろう。魔術の発動にはそれなりに精神力を使う。何度も発動したらそうなるのは当然の結果だろう。
「疲れているようだけど、降参でもしたら?」
「フン、寝言は寝てからいうんだな」
「そうかい、じゃあ次はこっちの番だ」
ダンはその言葉にすぐに構える。魔術師の防御とはすなわち相殺であり、相手の魔術にそれと同等もしくはそれ以上の威力がある魔術を当てるしかない。魔術の発動ができるように構えるまでの時間がコンマ1秒でも遅れれば死ぬことさえあるのだ。だから、魔術師の基本は構えとさえ言われる。
もはやダンはミツキを平民だからと侮っていなかった。自分の魔術を全て防いだのだ。ただの平民とは思えなかった。
ミツキはおどけた態度を取りながらも冷静に考えていた。
この大衆の中でどうすればあまり目立たずに終わらせることが出来るかを。勝つ方法を、ではない。それは最初から決まっている。まぁ、本当に目立ちたくないのなら適当に負けるべきだろう。
ちらりとセレナがいる方を見る。セレナはまるで何かに祈るかのように手を合わせていた。あんな姿を見せられてしまえば、勝つ以外の選択肢はない。
情報をあまり流さないようにするなら一撃で終わらせるべきである。そして、それは周りを巻き込まない程度の威力でないといけない。
さらに言えば誰もができる方法ならばあまり目立たないのではないだろうか。ならば、あれだろう。
考えをまとめたミツキはすぐに行動に移した。
それはただ手を前にあげるという動作。
しかし、それにだれも気づかない。
いや、気づいてはいるのだろう。だが、自然すぎて違和感を持つことが出来ないのだ。
これは魔術ではない。
ただの手品のようなものだ。
そして、その手で銃の形をとったあと、
「バン」
まるで銃を打つ真似をした子供のようにそういう。
ドサッ
だが、それだけで、あっさりと決着がつく。
ダンは倒れて、動かなくなった。
気絶したのだろう。
ミツキは催促するようにちらりと審判である教員を見る。
「しょ、勝者ミツキ!」
「「「うおぉぉぉぉォォォォォォォォ!!!!」」」
凄まじい歓声を全身に浴びながら俺はセレナの方へと足を進めた。
しばらく投稿できません。
受験勉強が忙しいのです。
12/26 訂正