3話 決闘開始
いやはややはり文を書くのは難しいです。
学生+受験生というのもあって、なかなか書く時間が取れないので文が短いです。
3話 決闘開始
「ごめんなさい!」
セレナは深々と頭を下げてそういった。
「だから、何度も言ったと思うけどこれは完全な私怨だから。セレナが謝る必要は無いよ」
今、俺達はは先程は沢山あった椅子が片付けられていく訓練場の端でセレナに謝られていた。魔術決闘は魔術を使うので、広く、そして出来るだけ被害が出ない場所で行うのが普通であり、丁度いいと椅子を片付け、この訓練場で行うことになったのである。
先程のダンとのやり取りは意外と大きなものになっていたようで、訓練場の中は多くの生徒がおり、端を埋めるように屯している。
ちなみに生徒手帳の配布は先に終わらせており、当然の事ながら俺達やダン達はもう受け取っている。入学式に必ずあるはずのクラスの発表はこのシラエラ魔術学園では後日行われるようだ。何でも、生徒手帳に魔術的な細工がしてあり、それによって生徒の実力を図るらしい。で、実力の高い順にクラスが分けられるとか。
椅子を片付けるのを待っているあいだ、セレナは何度も謝ってきている。セレナは巻き込んだことに責任を感じているようだ。
「で、でも結果的には巻き込んだわけだし…。しかも魔術決闘になるなんて…魔術学園であるここに入学できたってことは魔術を使うことは出来るんだろうけど……はっきり言ってミツキって強いの?」
「…まあ、それなりにはね」
「でも、貴族は小さい頃から英才教育を受けるわけでしょ?しかも、ザイアス家といえば武力派で有名なわけだし…」
そう、腐っても貴族。しかも武力派なのだ。武力派とはその名のとおり武力、つまり魔術や兵器について大きな力を持っている貴族達のことである。
「……ミツキは強い。あんな貴族なんて一瞬」
今まで一言も言葉を話さなかったアリスが自信満々に言う。キッパリと言い切るその言い方にセレナは渋々という形で納得した様だ。
そんなやり取りをしているうちに椅子の片付けが終わったようだ。ダンは既に訓練場の真ん中へ歩き出している。
「ま、パパっと片付けてくるから、安心して見ててよ」
心配そうな顔をしているセレナに声をかけ、ダンのいる所へ歩き出す。ダンは静かにこちらを見据えている。その後ろの方では取り巻きーズが時折互いにしゃべりながらニヤニヤしている。
一応、この学園の教員が審判として参加する。つまり、学園側がこの決闘を認めたということである。これにより、こちらが勝てばダンは絶対にセレナへと干渉することは出来ないだろう。学園では貴族、平民は平等とされており、学園内で権力を振りかざすことは出来ないからである。まぁ、これは表向きの説明であり、実態はそうではないだろうが。
睨み合いながら向かい合う俺とダン。
ダンの手には拳銃のようなものが握られている。
これは魔術を使うのに必要な、魔術媒体というものだ。単に媒体と呼ばれたり、それが武器をかたどっていることが多いためか武器と呼ばれることが多い。
改めて魔術の説明をしようと思う。
魔術というものは人間が必ず持っている、魔力という、言うなれば生命力のようなものを大気にある属性力と混ぜ合わせ、それを放出することで発動すると言われている。
属性力は火、水、風、土、光、闇の六種類があり、それぞれがその名前に関する力を持っている。火属性であれば火をつけたり、水属性であれば綺麗な水を出したりなど、様々な用途に使うことが出来る。
また、魔力には属性との適合性があり、それが低いとその属性の魔術を使うことは出来ないと言われている。
俺達の先祖は魔術を作り出した時、龍の使うこの力なら龍立ち向かえると思ったようだが、人間と龍とでは基礎的な魔力量が違う。そのせいで龍と人間が同じ魔術を使っても圧倒的に龍の方が強いのだ。それを補うために作られたのが魔術媒体である。
当時の魔術媒体は簡単に言えば少ない魔力で強い魔術を使うことができるというものであった。
それは当時の人間は全員が魔術をつかえることができたからだ。今では使えないものも多くいて、そして使える人でも殆どが魔術媒体を通さないと使えなくなっている。人間の魔力量の低下が原因であると言われている。一部の天才は息をする様に魔術を使うようだが。
とまぁ長々と説明したが、要するにまとめると、
・魔術は、魔力と属性力を使う。
・属性には火、水、風、土、光、闇の六種類がある。
・魔術媒体は魔術を強化する武器であったが、今ではそれを使わないと魔術を発動する事ができない人が多い。
こんな感じだろう。
「では、決闘を始めます。」
思考に耽っていると審判の教員が声あげた。しかし、こちらがダンのように武器を持っていないことに気づいたのか、こちらを訝しげに見ている。
「あなたは武器を持っていないようですが、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
俺があっけらかんと答えると、審判からは呆れたような視線が、ダンからは鋭い視線が飛んできた。
「…貴様、舐めているのか。まさか武器を持っていないなどゆかすことは無いだろうな」
「いや、持ってるけどさ。お前に使う必要は無いかなって」
「……」
ダンはその言葉に思いっきり顔をしかめると無言で審判に進行を促した。
…どうやらキレられたらしい。
「では、改めまして決闘を始めます。初めに賞品の確認です。この決闘の勝者にはシラエラ魔術学園生徒1年セレナさんへの干渉権が与えられるでいいですね?」
両者とも無言で頷く。
「はい、では開始の合図で始めます。両者とも少し離れてください。」
言われたとおりに10メートルくらいまで離れ、向かい合う。
「いきます…始めッ!」
一応1週間たびに投稿予定です。