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2話 貴族そして決闘

文字数が少なくて申し訳ございません。

如何せん文章を書くのが苦手ですので。



貴族


それは地上で暮らしていた頃、表の社会には出てこず、裏社会などで行動していたいわゆる金持ち達の総称である。


それは時にマフィアのボスであり、

時に石油王であったり、

時に有名企業の社長であったりもした。



龍が現れた当時、地下へと逃げた人類は統率者を殆ど失っており、となると当然、とても大きな混乱が起こっていた。勿論地下には食料などはほとんど無く、当然のように治安も悪くなっていた。


そこで名を挙げたのが貴族達である。


最初に声を上げたのは3人の貴族であった。彼らは地上でも発言力や権力が強い、者達であり、また相当な人格者でもあった。そのため、そんな彼らがやるからにはと次々と隠れていた貴族達が名乗りだした。


貴族達は自分が持っている物資を全ての人に均等に配り、地上で他の星へと移り住んだ時に食糧難への対策として開発を進めていた殆どの水や光を必要としない米、小麦、その他野菜の栽培方法と種を配り、家畜の養殖などを普通の人達と共同して行い、食糧難をあっという間に解決した。


そして、治安については貴族自身とその部下達によって警察隊が結成され、それらが巡回、捕縛を繰り返すことにより落ち着いていった。


そして混乱の原因である龍については魔術や、複合魔術を開発することにより対抗策を作り出し、人類の希望をも作り出した。


そんな貴族達は英雄視されており、普通の人間、いわゆる平民たちは当然のように従った。そして、最初に名乗りを上げた3人を国王とした国ができた。その国は古典ギリシア語で、希望という意味のエルピスと名付けられた。このようにしてエルピスという国は作られ何もかもが上手くいっていた。


しかし、人間とはやはり驕り高ぶるものなのだった。


最初にいた貴族達は奇跡的にも人格者であり、それが何十代の間続くわけではなかった。国が安定した幾らかあとの代では国王たちの見ていないところで貴族達の暴挙が始まっていた。


百年前の作戦でさえ、王族の三家以外の貴族の殆どが参加しなかったと言われている。


そんな貴族達をを今の平民たちはとても嫌っており、しかし魔術を作り出した人間の子孫であるためか魔術的な天才が生まれることも多いため革命が起こせなかった。




そして、今目の前に立つこの男と取り巻き達は恐らく嫌われ者の貴族達の典型的な例である。言動から平民への侮蔑が滲み出ているというか…


しかし、面倒事の匂いがぷんぷんするな。

わざわざ入学初日に面倒事を起こしたいとは思わない。ここは下からの態度で行こうか。


「…これはこれは、ダン様でしたか。申し訳ございません、どうぞお通り下さい」

「ふん」

「分かればいいのだよ」


こちらが道を開け、恭しい態度をとると、本人はこちらをちらりと一瞥しただけだが、取り巻きたちは偉そうにしている。しかし、取り巻き達の身なりと態度からするとあまり偉くない下級貴族みたいだな。こういうのを虎の威を借る狐というのだろう。


この1連の小さな騒動を見た、周りの生徒達の様子はおおよそ二つに分かれている。


一つはダンたちと同じで貴族なのだろう、こちらを見てうすら笑いをしている。


もう一つは平民たちで俺達のことを哀れそうに見るものやダンたちを睨みつけるものがいる。こういう人達は恐らく今までに同じような目にあったことがあったのだろう。


ボーッとまわりを見ながらそんなことを考え、ダンたちが通り過ぎるのを待った。


しかし、なかなか通り過ぎない。

道を開けたのに何かまだ行ってくるのかと思い、意識をダンに向けるとダンは口を開く。


「おい、そこの女」


俺でなくセレナに。

セレナは驚いたように目を見開き無言で自分を指す。そして首をかしげて私?と呟いた。


「そうだ、金髪のお前だ。お前、俺の嫁になれ」

「…は?」


思わず声を出すとダンはこちらをギロりと睨みつけ、無言で視線を戻す。

一番驚いているであろうセレナは先程の首を傾げる格好から動くことが出来ていない。


うん、改めてセレナを見てみると確かに美人と言っても過言では無い容姿をしている。


「おい、女!ダン様が言っているのだ固まっておらず喜びたまえ!」

「いや、喜びのあまり固まっておるのだろう。なにせあの武力派と有名なザイアス家のダン様が求婚なさったのだからな!」


セレナが固まっていることをいいことに取り巻きたちがおそらく間違っているであろう推測を大声でいう。


「あ、あの……ええっと…」


セレナは硬直状態から回復すると目を右往左往させてこちらを見た。そしていいことを思いついたと言うように、こちらに寄ってきて俺の腕に自分の腕を絡ませた。今度は俺が硬直する番だった。そしてセレナは覚悟を決めたように目を閉じ、頬を赤らめながら大きな声を上げた。


「わ、私は、この人と…け、結婚を前提にお付き合いしているので…も、申し訳ございません。」

「…は?」


急な展開に本日2度目の声を上げてしまう。ダンは先程よりも一層鋭い視線をこちらに向ける。


「ほぅ、つまり俺の方がこいつよりも劣るというのだな?」

「え、いやそういう訳じゃ…」

「ならばそいつとの交際を辞めて俺の嫁になれ」


セレナはダンの威圧的な態度に涙目になりながらこちらを見上げた。


はっきり言って俺達とセレナの関係はほとんど無い。面倒事に巻き込まれることだって嫌だ。だから別にここでダンに向かって違うといえばいい。それで全てが終わる。俺達は何事も無かったかのように静観すればいいのだ。このあとセレナが無理やり結婚させられても、不敬罪で殺されたとしても。俺達には関係ないのだから。


だから、


「セレナ、嘘は良くないよ俺たちは今日知り合ったばかりだろ?」

「…え?」


きっと助けてくれると思っていたのだろう。俺が絡まっていた腕を外しそう言うと先程とは違う感情がこもった目でこちらを見る。周りの生徒達の一部からも来る視線。


軽蔑、失望、諦め。

負の感情がこもった視線は俺の心へと直接突き刺った。


だが、俺はそれを無視して次の言葉を口から紡ぐ。


「でも、俺は昔から貴族が嫌いなんだ。」


そう、ただそれだけ。深い意味なんてない。


「だから、貴族の嫌がることをしようか。」


セレナは再び目を見開き驚きを顕にする。

俺は一歩ダンへと近づく。


体格差は歴然。俺は良くも悪くも中肉中背。ダンはプロレスラーと言っても頷いてしまうような巨体。もしも殴り合いでも起ころうものなら一瞬で潰されそうだ。


「俺、ミツキは貴族、ザイアス家のダン・ザイアスへと、魔術決闘を申し込む。」


魔術決闘


それは魔術が発明されてから作られた貴族同士の争いを解決する時に使われる、決闘の方式。細かなルールはない。魔術を使えば何をしてもいい。但し誇りを持って戦うように。そんな決闘。


「時刻はこれから。賞品はセレナへの干渉する権利」


「何を言っている!魔術決闘とは貴族だけが行える誇らしき決闘なのだぞ!平民風情にそれを行う権利などない!」


取り巻きが何かを言っているがそちらを一瞥もせず、視界の中心にダンを捉えたままいう。


「まさか貴族ともあろう高貴な方が誇り高き魔術決闘の申し込みを断らないよな?

……それともお前らがいつも見下している平民相手に尻尾を巻いて逃げるか?この貴族(クズ)が」


最後の言葉が効いたのか静観していたダンは視線で人を殺せるなら死んでいるであろう視線で睨みながら、


「いいだろう、証明してやる、平民(クズ)。どちらがクズかをな」


と宣言するのであった。

1週間たびに投稿予定です。

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