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異世界コンニビ1号店  作者: 音音
第1部 世界は飢えている

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4/5

痺れ芋②

 

 鳥系男子がピー。

 爬虫類系男子がヤーモ。

二人はミサキに、そう自己紹介をすると、村へ帰る途中に女神の箱庭に迷い込んだことを謝罪した。

ミサキは女神じゃないと否定しようとして…… 否定したら、二人に見られたポーズをつけて米俵にしていた行為が、かなり痛いものではないかということに気がついて否定の言葉を飲み込んだ。


 顔はヤーモが顎のあたりにうっすらと鱗が見えるのと、二人とも黒目の部分がピーが大きく、ヤーモが縦長に細いぐらいで、ワンゾウと同じように皮膚も顔立ちも人間と変わらない。

ピーもヤーモも尻尾は無い。

 ワンゾウは頭の上に耳があって、そのぶん顔の横に人間の耳がなかったが、ピーとヤーモには人間の耳が顔の横についていて、もちろん頭の上に耳はない。

鳥と爬虫類だから、頭の上に獣耳が無いのだろう。


 ワンゾウの弟のワンタが二足歩行の犬と表現するのがしっくりしたように、そのまま鳥と爬虫類が二足歩行している個体もいるのかもしれないとミサキは思ったが、その姿がいまいち想像がつかなかった。

 爬虫類の方はファンタジーものに出てくるリザードマンみたいな感じだとして、鳥は? と疑問に思ったのである。

 それを考え始めると、そのままの姿の個体と魔物との違いはだとか、食材としての鳥との見分け方はとか思いつくことは限りなく、ミサキはそのことに対して考えることを止めた。

 まずは目の前の二人のことだ。


「えーっと…… 二人のご関係は?」

 ミサキは自分で聞いておいて、なんていう質問の仕方だろうと思ったが「友人ですか?」と聞いて「いいえ、捕食者と被食者の関係です」と返ってきたときの心に負うダメージを減らすための自己防衛の結果である。


「関係……ですか?」

戸惑ったように。ピーとヤーモが顔を見る。

「同じ村の出身で幼馴染みです」

「仕事は、だいたいピーと一緒にすることが多いから、仕事仲間でもあります」

 捕食者と非捕食者の関係ではなかったことにミサキは胸をなで下ろした。


 二人の種族は、船員として重宝される一族で、そのこともあって一緒に村を作って生活しているらしい。

 昼間なら遠くまで見ることができ、頑張れば空も飛べるピーの種族。

 夜目が利き、嗅覚の鋭いヤーモの種族。

 二人の種族の若い者は船員として出稼ぎをして村に残る家族たちを養って暮らしていることをミサキに説明してくれる。


 ワンゾウたちのときもだけど、やっぱり食料が不足しているらしく、今回の船員としての出稼ぎの報酬として渡されたのが、食べることができない(いも)

 食べられないのに捨てられずに持ってきていたが、村の近くまで来て食べられない芋を出稼ぎの結果だと村人には見せられない上、食料を持ち帰ることなく村には戻れない。

 芋を村に持ち込むことを躊躇った二人は相談の結果、魔の森に芋を捨てていこうと森の中に足を踏み入れた。

 すると、麦の穂が風に揺れる時に似た音や果物の匂いが微かにしたので、今まで魔の森で木の実やキノコなどの森の恵みを得られたことはないが、もしかするとと願って更に魔の森の奥へと足を踏み入れたらここに居たそうである。


(魔の森近くの村。飢えてるところが多いな……)



「それにしても食べられない芋を報酬として渡すなんてひどいね。腐ってたり、カビが生えていたりするの?」


「女神様。腐っても、カビが生えていたりもしないです」

 ピーがヤーモを見ると、ヤーモは足下に置いていた麻袋の口を広げた。

「おれたちが渡されたのは、痺れ芋なんです」

「船に乗っている間に出した飯代を考えると、報酬として渡せるのはこれぐらいだって」

 見えた芋は両手で抱えるぐらいの大きさで、ランドセルぐらいに大きな芋だ。

「今回の航路が、あんまり利益が出なかったのは知ってるんで、おれたちも強く言えなかった。それに……」

 ためらうように、ピーとヤーモが、言っていいのだろうかと顔を見合わせる。

「持って行くとこに、持ってけば高く買ってもらえるんです」


 気まずそうな二人の様子に、雇い主意外にいい人? などとミサキが思っていたらーー


「毒として高く売れるんです」


(わぁ…… え? なに、雇い主、犯罪組織? 密輸船とか??)


 ミサキの顔が引きつったことに気がついた二人が慌てて口を開く。


「船主は持っていていいんです。船を作るときに水が入ってこないようにウーシ液と一緒に使うんで、船に関わる仕事をしてるのが持ってる分にはお咎めないんです」

 必死に、ヤーモさんが雇い主を庇う。

「それに毒として売れますが、口に入れたらすぐにヒリヒリして痛くなるので毒だってのはすぐにわかるんで。1口囓れば吐き出します」

「王都と港を持たない領都に痺れ芋を持ち込むのが禁止されてます」


 二人の言葉に、ミサキは首を傾げた。

「なんで、それで高く売れるの?」

 口に含んだらすぐに旅立つようなものでもないのにという疑問。


「痺れ芋を、干して粉にしたものが毒として高値で売れます」

ピーの言葉を肯定するようにヤーモが頷く。

「臭いがないので粉にしたものをお貴族様たちは毒殺だとか拷問とかに使います」

「小さく固めたものを薬として飲ませると、食事とかができなくなるので病死を装ったり」

「たいてい苦い粉薬を一緒に飲ませて、違和感をなくすのが一般的です」

「水に溶かしたものをかけて、皮膚がただれるようにして拷問したり」

「拷問じゃないけど、愛人に腹を立てた正妻が顔にかけたって話は有名です」


(え? もしかして売ったことあるの?? 使ったことはないよね??)


 ミサキの口元がひくりと引きつった。















プロローグは意図的に一人称でしたが……

前話、1話と書き方そろえたつもりが、なぜか一人称で書いていたので、この話から三人称(になってます?)にして1話と書き方をそろえました。

よろしくお願いいたします。


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