表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンニビ1号店  作者: 音音
プロローグ
1/2

ここはどこ?

 小学2年生に上がる前、私はお母さんと離れて離島に住むおばあちゃんと一緒に住むことになった。

 お母さんに手を引かれ、おばあちゃんの家に向かいながら、お母さんの説明を聞く。

 おばあちゃんは離島で日用品や、ちょっとした食品を取り扱っているのだという。

 お店の前で待っていてくれたおばあちゃんは、よく来たねと歓迎してくれて、楽しそうに言った。

「どうだいミサキ。おばあちゃんちはコンニビなんだよ。すごいだろう」

 おばあちゃん。コンニビ(・・)じゃなくてコンビニ(・・)ね。そして、このお店はコンビニじゃないからね。

 あの時、心の中で思ったことを、ひと月も経たずに面と向かって突っ込めるほどに、おばあちゃんとはすぐに仲良くなれた。


 外に出て庭からお店を眺めながら、島に来た時のことを、ほんの少し前の事のように鮮明に思い出してしまったのは、感傷に浸っていたからかもしれない。

 なぜなら、来週には本土にある高校に通う為、島を出て、寮に入るのが決まっていたから。

 長期の休みには帰ってくるとはいえ、長く離れてしまうことから、私は何となく庭に出てお店を、おばあちゃんと一緒に暮らした家を眺めていたのだ。

 

 大事なことだからもう一度言いたい。

 来週には本土にある高校に通う為、寮に入るのが決まっていた。

 そう…… 決まっていたのだ。

 そして、私は島の中にある店舗兼住居のおばあちゃんの家を眺めていたのだ。

 それなのに……

 前を見れば鬱蒼うっそうと茂る森。

 後ろを見れば見慣れた、おばあちゃんと一緒に住んでいた住居兼店舗。

 左を見れば家庭菜園。

 右を見れば庭におばあちゃんが趣味で植えていた梅の木や柿の木。スモモにミカンに栗に桃にリンゴの木。そして森の木に蔦を枝を絡ませながら、ブドウやキュウイが育っている。

 あれ? 一昨年にキュウイとブドウは世話をしきれないと切ってしまった気がする。

 ちがうちがう。問題はそこじゃない。

「あ… ザクロもある」

 ってそうじゃなくて。

「なんで、全部実がなっているの??」

 本来なら、同時期に実をつけることなどないものが、一緒に食べ頃というように実っている。

 おばあちゃんと育てていた時に実をつけたことなどないものさえも実っている。

 梅に柿にスモモにミカン。栗に桃にリンゴにブドウにキュウイにザクロ。奥に行けば、面白がって植えてみた果物の木が、まだまだありそうな予感もするけど…… 

 それよりもだ……

「―― ここ…… どこ??」


 安勝あんしょうミサキ、15歳 今人生で一番困惑しています。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ