はい、マイマスター《試03》
「しゃ――っ!」
奇声と供に気合いを入れ直したコーマックが鉄棒で地面を打つ。
にたりとカイルを睨みながら笑うと先程カイルに殴られ口の中を切ったために出ていた血を唾と吐き捨てる。両手で持ち直した鉄棒で吐いたばかりの血を中心に素早く陣を描く。
カイルも素早く気付いて行動に移したがそれよりも先に陣は完成してしまう。
「我が血と我が名に於いて地に眠る獣を呼び覚まさん!我が眼前の敵を食らえ、鎧蚯蚓!」
コーマックの叫び地面を再び打つとそれに応えるように地響きがカイルに向かう。コーマックに詰め寄ろうとしていたカイルだが地中を這う何物かの接近に横に飛び退く。
次の瞬間、つい先程までカイルがいた場所の地中から黒々とした長いものが突き出す。それは先端に牙を持ち身体全体が黒い甲殻に覆われた蚯蚓で、胴回りは大人が数人手を伸ばして漸く足りるほどの太さで遥か頭上まで伸びているはずなのに未だ尻尾は土中をうねっているのが地面の震動から思いの外長いことが感じ取れた。
その蚯蚓は空高く伸びた頭の向きを変えカイルに向かって重さに任せて迫ってくる。堪らず更に避けたがその衝撃で少し脚を取られてしまうほどだった。
2015年12月16日 pixiv投稿