#95 番外編 SKY-そらへ- ⑧
『蘭・・・あなたは何を望むの・・・?』
懐かしい声が聞こえる
「わたしは、あやまりたい」
ずっと、心に引っかかっていたもの
『あなたは、悲しいの?』
声が問い掛ける
「わたしはお姉ちゃんに、あやまりたい」
でないと、ずっと泣いたままだ
「だから、わたしもソコに行くね」
その場所に手を伸ばす
『そんなんじゃ、ダメだ!』
また、誰かの声がする
『おまえまで、誰かを泣かせるつもりなのか!?』
怒っている
「だってわたしには何も、ないもん・・・」
辛いのはもういやだ
『何も無いなんてことない!』
今度は女の子の声
『ちゃんとその眼で見て!』
更に別の声
『あなたは、悲しいの?』
お姉ちゃんが再び問い掛けてきた
「わたしは・・・・・・」
目を伏せる
『悲しいわけないだろ!!』
力強い声
伸ばした手が引き寄せられる
『こいつには、俺達がいる!』
声の主は、彼だった
『だから、返してもらうぞ!!』
わたしを引き寄せ抱きしめる
『蘭・・・』
優しい声でつぶやく
『あなたは、悲しいの・・・・』
同じ問い掛け
「わたし・・・わたしは・・・」
心が揺れていた
「わたしは、みんなと一緒にいたい・・・」
本当にそう思っている
『そう・・・』
そっと微笑んだ気がした
風が吹いた
その風が一気に吹き上げていく
『強くなりなさい』
風の中に、翼が見えた気がした
『あなたは幸せ者ね・・・』
急速に、距離が開いていく
『この子をよろしくお願いします』
その笑顔は、幸せに包まれていた
瞬間、全身に衝撃が突き抜けた
「ななな・・・なんだぁぁぁぁ!!?」
突然の衝撃を受けて、車外へ転がり出す
「若様!?ご無事で!!?」
いち早く車外へ退避していた十六夜が様子を確認する
見事に天井を、へこませたその物体に見覚えがあった
「優ちゃぁぁぁん!?」
「蘭・・・!」
校舎の中から、人影が飛び出してきた
「痛ててててて・・・」
抱きかかえた蘭の無事を確認する
「・・・・・」
気を失っているようだが、体に異常は見られない
「てか、オマエらなにしてんだよ・・・?」
突然降ってきた優気に尋ねる
「ち、ちょっと、な・・・」
さすがに動けない
「この状況で生きているとは、さすが若のご友人です」
なんだかすごく、感服された
「きゃぁぁぁ!優ちゃぁぁぁぁん!?優ちゃぁぁぁん!!」
真由美が抱き付きながら叫ぶ
「蘭・・・無事?」
蘭を地面に下ろしながら訪ねる
「・・・・・・」
何も言えずにうつむく
「・・・・・心配した」
おもむろに抱きしめてつぶやいた
「蘭!」
「大丈夫なのか!?」
蘭の両親が、駆け寄ってくる
「ごめんね・・・!ごめんね・・・・」
彼女の母親が、泣きながら抱きしめる
「蘭・・・」
父親が、彼女を真っ直ぐに見つめる
一瞬、乾いた音が響いた
「!?」
自分の頬が、温かくしびれる
「私達には、お前が必要なんだ・・・!!」
お母さんも包み込んで抱きしめる
「失くしていいものなんて、何もない!」
「何もないんだ・・・!!」
力強く言い聞かせる
泣いていた
ずっと、ずっと我慢していた想いが溢れ出していく
わたしは、強くなりたいと思う
もう、一人でも泣かないように
もう、お姉ちゃんが手を引いてくれなくてもいいように
もう、私の大事な人たちを悲しませないように・・・!
「・・・・・・ずいぶん頑張ったなオマエ?」
さすがだと感心するしかない
「・・・・・・まぁな」
運ばれる車の中で、満足気に笑みをこぼす




