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トラブルメイカー -To Love Maker-  作者: TAMA-RUN
94/167

#94 番外編 SKY-そらへ- ⑦

『なぜ、あの子だけが・・・』

それは、悲しみのあまりに漏れた言葉


たった一人だけ

たった一人だけが、みんなと別れなければならないのなら


『あの時に全部無くしてしまえば良かったのよ!』


それは、私であればよかったのだと思う

そう、未来へ生きるために


一人だけが犠牲になるのなら、全てを守るために

母親である私が、犠牲になるべきだった・・・


そんな悲しみが、そんな思いが

あの子を傷付けてしまった


誰よりも優しいあの子は、自分の代わりに姉が

犠牲になったことが何よりも悲しかったことだろう


心の弱かった私は、あの人にすがるように叫んでいた

『私が、犠牲になるべきだった』と・・・


そんな私を、叱咤してくれたあのひとの言葉


『失って良いものなんて何もない!』

私の手を取って、力強く言ってくれた


それなのに、私たちはまた失おうとしている

何よりも大切な『家族』を


あの子は、自分が犠牲になることでやり直そうとしている

そんな事はもう、出来はしないというのに


風が吹いている

空には、大きな月がこうこうと輝いている


まるで、スポットライトのようにわたしを照らし出す


「・・・・・・」

そこから下を見下ろす


しかし、そこは暗闇にのまれていて何も見えない


学校の屋上に、一人駆け込んだわたし

よりによって、一番楽しかった場所に来てしまった


月乃ちゃん

真由美ちゃん

タケルさん


そして、優気さん


みんなと出会い、笑い

みんなと過ごした場所


『あなたは、何を望むの・・・?』

誰かの声がした


『あなたは、悲しいの?』

お姉ちゃんの声が聞こえた


「わたしはお姉ちゃんに、あやまりたい」

闇に向かってつぶやいた


「全部、やり直したいから・・・」

フェンスを乗り越え、端へと立つ


「蘭!」

月乃ちゃんが叫んでいる


「何処へ行くの・・・?」

真っ直ぐにわたしを見つめる


「わたし、お姉ちゃんのところにいくね」

怒ったように、口をつぐむ月乃ちゃんに言う


「私達を、置いていくの?」

「短い間だったけど、楽しかった」

精一杯の強がり


「ごめんね、月乃ちゃん」

フェンスの向こうで、月乃ちゃんが手を伸ばす


「待てよ!」

突然、割り込んできた声


「お前一人じゃ、また道に迷うだろ?」

こんな時に何を言うのか


「俺も、一緒に行ってやるよ」

言いながらフェンスを乗り越えてきた


「・・・え?」

思いがけない彼の行動に困惑する


「俺も行って、お前の姉ちゃんに文句を言ってやる」

言いながら、私を抱きかかえる


「ちょ・・・優気さん!?」

抵抗できないほどに強く、抱きしめてくる


「そんなワケだから月乃、またな!」

言うが否や彼は、そこから飛び降りた


ふわりとした感覚が、私を包む


「なんで!?」

「なんでですか!?」

腕の中で、わめき散らす


「決まってんだろ!」

更に私を抱きしめる


「友達だからだ・・・!」

その顔は、真剣だった


「だめぇぇぇぇ!!」

訳も判らずに叫んでいた



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