#93 番外編 SKY-そらへ- ⑥
「お父さん・・・お母さん・・・」
姉である『南雲鈴』の墓前に佇む二人
「・・・・・・・・」
何も言わず、私が行くのを待っている
「・・・・・・・・」
傍にいる優気さんも、何も言わず私を促している
「あの・・・わたし・・・」
優気さんにすがる
「お前が、自分で決めるんだ」
わたしの肩をそっと叩く
「蘭・・・」
お母さんが、わたしの名をつぶやく
「・・・来ないで!」
思わず叫んでいた
「・・・!」
そんなわたしを、驚きと悲しみの入り混じった様子で眺める
「わたしは・・・わたしは、要らない子なんでしょ!?」
「だったら、だったら、ほっといて!」
お母さんの差し出した手が、びくりと引っ込んだ
「蘭!何を言っているんだ!?」
お父さんが、たまらず口を挟む
「優気さんのところで、わたしずっと考えてた・・・」
今までとは違う、はっきりとした言葉
「わたし・・・お姉ちゃんじゃ、ないもの・・・」
『なぜ、あの子だけが・・・』
あの日、聴いてしまった言葉が心に響く
「わたしがお姉ちゃんじゃないから、二人は喧嘩ばかり・・・」
『あの時に全部無くしてしまえば良かったのよ!』
わたしの存在を否定する言葉
「!?」
見守っているみんなも、驚きを隠せない
「だったら、わたしはもう・・・」
涙があふれていた
どんなに自分が望んでも
どんなに自分で歩いても
必要とされていないのなら意味は無い
わたしは駆け出していた
もう、つかれた
「蘭!」
優気さんが、わたしの名を叫んでいるのが聞こえた
「ごめんなさい・・・」
小さくつぶやく
「わたし、お姉ちゃんのところにいきます・・・」
誰にも聴こえることのない声で別れを告げた
「どうして・・・どうしてなの?」
「とにかく、気をしっかり持つんだ」
蘭の両親もまた困惑していた
「・・・!」
その間を駆け抜ける影があった
「・・・・・・蘭!」
「月乃!俺もいく!!」
二人が蘭を追う
「優ちゃん!月乃ちゃん!」
蘭の両親とこちらを交互に見ながら、真由美が叫ぶ
「真由美!まかせた!!」
優気の言葉だけが残された
「いいんですか?このままで!?」
真っ直ぐに二人を見据える
「本当の気持ち、伝えてあげなくていいんですか!?」
いつもの真由美とは違う、荒げた声
「私たちは、あの子を傷付けてしまった・・・」
「また・・・また、失くしてしまうの・・?」
お互いに肩を支え合いながらつぶやいている
「行きましょう!」
二人に手を差し出して言う
「本当に無くなっちゃう前に・・・!」
差し出した手を握り返すのは、蘭のお母さん
「失くしたくない・・・」
真由美にすがるように言う
「まだ、間に合うだろうか・・・?」
二人も蘭ちゃんと同じだった
大事な人を亡くして
ずっとそれを悲しんで
答えの出ないまま
毎日をただ通り過ぎるのを待っていた
同じ想いなら
きっとまだ、間に合うはずだ
「大丈夫です!」
だから私は自信を持って言う
「優ちゃんが、月乃ちゃんがついているから!」




