#91 番外編 SKY-そらへ- ④
お互いに怒鳴り合う声が聴こえてくる
「そんなこと言うもんじゃない!」
「こんな思いをするなら、何もかも無くした方が良かったのよ!」
「こんなに辛いなら・・・」
「・・・蘭!?」
二人が同時に気付く
わたしは、ただなにも言えずうつ向いていた
その日から
わたしは、一人ぼっちになった
笑うこともなく
何かを訴えることもなく
ただ、ただ、夜が過ぎていくことを
一日が過ぎていくことを
空を眺めて待っていた
そんな日を過ごしていたある日
わたしは彼に出逢い
そして、大切な友達に出会えたのだ
それなのに
わたしはまた、一人ぼっちにされてしまった
あの祭りの日から数日
夏休みという事もあって、外出を禁じられていた
そんなある日、庭先で何か動いているものを見つけた
「この子も独りなんだね・・・」
生い茂る木の下に一羽のヒナ鳥が鳴いていた
見上げるとツバメの巣がそこにあった
巣に戻そうと仰ぎ見てみるが、そこには何も残されていなかった
どうやらこの一羽だけが、取り残されたようだ
「わたしが、羽べるまで一緒にいてあげるね」
優しく手で包み、部屋へ連れて帰る
ぴぃぴぃと泣くその子に水を与えてみる
が、なかなかうまく飲んでくれない
「ん・・・美味しくないかもしれないけど飲まなきゃダメだよ」
ストローで、少しづつ飲ませているが、うまくいかない
「強くならないと、帰れないよ・・・?」
それは自分に言い聞かせるように見える。
弱い自分は、親からも拒絶されそこから逃げ出した
弱い自分は、みんなの優しさに溺れそのまま逃げ込んだ
テーブルに突っ伏して涙をぬぐう
「何やってるんだろう・・・わたし」
ある夜の事だった
「あの時に全部無くしてしまえば良かったのよ!」
「そんなことを言うもんじゃない!」
「なぜ、あの子だけが・・・」
お父さんとお母さんが、また言い合っている
わたしが、わたしだけが生きてしまったから・・・
悲しさが全てを変えていく
あの日には戻ることはできない
「わたしは、いらない子なんだね・・・」
いたたまれなくなった私は、小鳥を小さな箱に入れ
一人街へと抜け出していた
わたしは、どこへ行くのだろう
わたしは、帰る所が無くなった
いつの間にか降り出した雨が
わたしの涙を、流していく
橋の真ん中で、ただ暗く流れる河を眺めて
ただそこで時間が過ぎるのを待っていた
ふと、目の前が遮られる
振り向くとそこには、月乃ちゃんが傘を差し出して立っていた
「う・・・うぇぇぇ~ん」
そのまま彼女の胸に飛び込む
ただ泣きじゃくるわたしを
月乃ちゃんはなにも言わずただ抱き締めて頭を撫でてくれた




