#88 番外編 SKY-そらへ- ①
風が流れる野原を駆ける
その先に待つのは愛しき家族
お父さん
お母さん
そして、大事な姉
みんな、笑っている
家族という輪の中で
それは夢
過ぎ去った過去の幻影
独り暗がりの中でそれを写す画面をぼんやり眺める
独りで過ごすいつもの夜
夜は嫌いだ
過去しか思い出せないから
早く夜が終わればいいのに
夜が終われば私は、変われる
もうひとりのわたしが、笑える場所へ行けるから
そしてまた、新しい1日が過ぎていく
わたしに翼があるのなら
あの空の向こうにだって行けるのに
わたしはひとりぼっち
そして、そのまま消えていく
そんなことを思い過ごしてきた日々
わたしは出会った
「飛びたければ、夢を見ればいい」
「夢なら、自由だからな」
他愛ない言葉が心に刺さる
わたしは泣いていた
わたしも、まだ夢を見て良いんだと知った
差し伸べた手を掴んで立ち上がる
その日から、わたしの世界が生まれた
この人の側に、居たい
そうしたらきっと笑って居られるはずだから・・・
空を見て思う
この先、何があっても笑っていよう
大事な人達が笑って迎えてくれる、この世界で
「あれ?ここにも居ない・・・」
いつもなら、この場所で寝てるはずなんだけど・・・
あの日から、わたしは彼の姿を追い求めていた
独りぼっちのわたしに手を差し伸べてくれた人
彼の側でなら笑っていられる
「・・・誰か探してる?」
屋上にあるフェンスに腰掛け空を見ている
・・・あの人の知り合いかな?
「月真ならさっき、連れてかれた。」
「はえ??」
・・・よく判んない人だ
物静かな雰囲気が、どこか神秘的だ
「きっとまた、痴話喧嘩だね」
「ち、ちわ・・・!?」
「気になる?」
「はわはわはわ」
いきなり、突っ込まれて動揺する
「アイツに用?」
微かに笑った気がする
「あの、その・・・」
逢いたいだけで、特に考えてなかった・・・
「たぶん、すぐ戻るよ」
フェンスから軽やかに降りてくる
その姿に思わず見とれる
「あ、あの、あの・・・」
思考がパニクる
「・・・?」
静かに見つめてくる瞳に、吸い込まれそうだ
「わたしと、お友だちになってください!!」
つい、そう口走っていた
しまった・・・
変な子だと思われた・・・
どうしよう・・・
「いいよ」
返ってきたのは、意外な言葉
でも、すごく暖かく胸に響く
こうしてわたしは大事な人と、また出会えた




