表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラブルメイカー -To Love Maker-  作者: TAMA-RUN
86/167

#86 北へ・・・! その10

あれだけ賑やかだったこの場所も、月明りだけが静かにきらめいている

その光景の中に、溶け込むようにお湯に浸かる人影


「こんなトコにまで来て、温泉とは思えへんかったわ・・・」

愚痴なのか、感激なのか分からないつぶやき


「ま、せっかく来たんや堪能するとしよかぁ」

顎先まで浸かって、ぶくぶくと泡立たせる


「やっぱり、来てたんだね?」

そんな彼女に問いかける


「ウチ、仕事熱心やからな」

冗談半分に応える


『ゆうき』と『死神』

今の現状を知る者たちの邂逅である


「一応、伝えトコ思うてな」

両手で、お湯をすくいながら言う


「後、どれくらいなの?」

自分でも解かっていた


「この冬イッパイってトコや」

ゆうきを真っ直ぐに見つめる


「正直、まだわからない・・・」

寂しそうにつぶやく


「このままでいることが、正しいのかなんて・・・」

あの日、目覚めた時に私は知った


この『世界』は『嘘の世界』だということ

そして、私も『嘘』なんだということ


だけど、彼らはその『嘘』を受け入れてくれた

私が、自分で答えを出すことを信じて


だからなのだろう

『本当』の私が『嘘』の私を拒み始めているのは


でも、『本当』の私は弱い


自分で前に進むこともできない

自分で知ることもできない

自分で目覚めることもできない


心の奥底では解かっているはずなのに・・・


「私・・・失くしたくないよ・・・」

一筋の涙が頬を伝う


「大切なもの、いっぱい、いっぱい見つけたのに・・・!」

涙と共に感情があふれ出す


「このままじゃ、ダメなんだって解かってるのに!」

死神の小さな肩にしがみつく


「全部、もってこうなんてできるわけないんや」


彼女が、ここにいる記憶

彼女が、ここにいた記憶


どちらも相対する事であり、矛盾する事でもある


彼女がここにいる事は

本当の彼女の存在を否定する事


彼女がここにいた事は

この世界を否定する事


それは彼女にとって

『夢見ていた事』でしかないという事になる


この世界は、彼女の『嘘』

この世界は、彼女が存在しない『現実』


既に時間はない

彼女の意思にかかわらず

世界は答えを出そうとしている


その結果が『真実』であれ『嘘』であったとしても

世界はそれを飲み込んで『未来まえ』へと動き出す


「最後まで、悩んだらええねん」

ゆうきの頭を、優しくなでる


「悩んで、悩みぬいてそんでもって」

夜空に浮かぶ月を眺める


「また、歩き出せばええんや・・・」


慰めにもならないけれど

事実がどうこうよりも


自分が何をしたのか

自分が何をするのか


今は、見えないかもしれないけれど

きっとそれが答えの一つなんだ


だから、あがけばいい


最後に笑って『サヨナラ』を言える為に



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ