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トラブルメイカー -To Love Maker-  作者: TAMA-RUN
75/167

#75 本当の嘘 その2


 私は自分を知らない。

いや、正確には『覚えていない』というべきだろう


 目覚めた時には『彼』が居た

その瞳は不思議な輝きを持っていた


全てを包み込む優しい瞳


 そして私は望んだ。


『この世界が自分にとって本当になる事』を


「この世界は嘘なんや」

死神の少女が言う


「全ては、このゆうきが創り出した世界や」

彼女を見つめながら言葉を続ける


「だから不安定で脆い」


「ちょっと待てよ!」

優気が言葉を遮る


「じゃあ、俺達はなんだってんだよ!?」

「俺達は確かに存在するし、今まで過ごしてきた記憶も在る!」


 確かに今まで起きた出来事は、つじつまが合わない

でも、俺達にはこれまで過ごしてきた『過去』という記憶が在るんだ

アイツに出会う以前の『過去』という記憶が


「せやな、その記憶は確かに『本当のモノ』や」

真っ直ぐに優気を見つめる


「それがアンタらの『世界』や」

「でも、このゆうきが現れたせいで不安定なものとなってもうた」


「彼女が望んだ『世界』」

白衣の女性が言葉を繋ぐ


「それを実現してしまった切っ掛けはなんだというのだ・・・?」


 信じたくはなかった

信じることなど出来はしない

信じてしまえば彼女は全てを失うことになるのだから

そう、その『存在』でさえ・・・


彼女が選んだ『現実』

眠り続ける本当の自分から逃げ出して

自分を忘れて手に入れたもの


それが『この世界』だというのだろうか・・・


「違う・・・違うよ・・・」

真由美が呟いていた

瞳には、いっぱいの涙が溢れていた


「そんなの、ゆうきちゃんは望んでなんかいないよ」

眠る彼女の手を取って、言葉を投げかける


「ゆうきちゃんが本当に欲しかったのは『この世界』なんかじゃないよ」

「真由美、おまえ・・・」

思わず手を差し伸べる


「ゆうきちゃんが欲しかったのは『本当の嘘』なんだよ」

「本当の・・・嘘やて?」

呆気にとられながら、その言葉を口にする


「自分の思うままに、自分の好きな処へ」

言いながら彼女を抱きしめる


「ただ『そうしたかっただけ』なんだよね?」

「大丈夫だよ・・・」

眠る彼女に囁く


「ちょっとだけ勇気を出せれば、その嘘は本当になるんだよ」

「だって『此処に居た』という事は『本当』なんだから」


「受け入れるというんか?この偽りの世界を!?」

思わぬ言葉に、驚きを隠せない


「受け入れる?それは違うな」

優気が代わりに応えた


「どういうことや?」

死神の少女の最もな疑問


「コイツ(真由美)の言う通りだよ」

「これまでも、そしてこれからも何も変わらない」

「アイツ(ゆうき)も含めて全部本当なんだからな」

きっぱりと言い切る


「だから後は・・・」

ゆうきを見つめる


「コイツが『どうしたいか』だ」


そう、目を覚まして

また、いつもみたいに笑えば良いだけのことだ


「選ぶ権利は、コイツにあるんだからな」


その結果、全部が失われることになっても

俺達の、現実は変わるはずがない


『俺達は、出逢ったんだから・・・!』



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