#72 夏のおわりに その4
『人の意思を乗っ取り、世界を操る』
今、開催されている『SSS』
またの名を『PROJECT・MOON』
だが、その本当の目的は
『統一思考世界』と名付けられた計画
ハルカを、はじめとする特殊な素質を持った者たちを選別し
その能力によって人の意思をコントロールする
その場所に選ばれたのが『バベル』であり
それを、世界中に拡散するための増幅施設が『エンゲージ・リング』という訳だ。
簡略的な説明を受けて、事の事態を知った俺達
が、俺達が知りたいのはアイツ『ゆうき』の事だ。
『アイツを目覚めさせるにはどうすればいいのか?』
確かに、今起きている事態は大変なことではある
でも、俺達に『出来る事はない』ときっぱり告げた真理センセイ
彼女は俺達にどうしろというのか・・・?
「センセイ、俺たちが聞きたいのは・・・!」
問い詰めようとした優気の前に立ち塞がる者がいた
漆黒のフードを目深に被り、その小さな体躯には不釣合いな『大鎌』を携えている『異質な存在』
「こっからはウチが教えたる」
特徴的な言葉遣いで優気達の間に入ってきた
「久しぶりやな」
フードを下ろし現れた素顔は、幼さの残る少女の顔
言われてみれば確かに、その言葉遣いには覚えがあった
「お前、確か・・・」
「死神・・・さん?」
口にするより先に真由美が言葉を告げる
「ご名答や」
子供らしい無邪気な笑顔
「なんで、お前がココに・・・!?」
『死神』という彼女に、ふと寒気が走る
「仕事や、仕事」
気だるそうに口を尖らせる
「彼女を迎えに来たんや」
言いながら、担いだ大鎌をひと振りする
その仕草は『刈り取る』という行為のそれであった
「アイツを『連れて行く』ってのか!?」
以前、この『死神』を名乗る彼女の使命は『死んだ者の魂を導く事』だった
今回の目的も『それ』なんだとすればその対象は『アイツ』なのだろう
「あの子は本来、ココに居るべきじゃないんや」
死神を名乗る少女の表情が、真剣になる
「それなのに、ココに居てるせいで魂と身体の一体性が薄れてもうた」
眼差しが優気を突き刺す
「俺の、せいなのか・・・?」
「優ちゃん・・・」
以前の女の子の件でもそうだった
なぜか、優気に引き寄せられて
行き場もなく彷徨っていた女の子の魂を連れてきてしまった事がある
今回も、そうしたことが原因なのだろうか
「あんたらは、この世界が現実だと思うか?」
突然、突拍子もない質問をされた




