#57 Summer Song Story その14
星の海に響き渡る歌声に
人々の歓声の渦が溢れ出していく
歌姫の頂点を求め
幾多ものライバルたちと競い、認め合ってきた
その頂点で今、私達は歌う。
眼下に広がる星の海
そして巨大な宝石『地球』が輝きを放つ
その宝石を繋ぎ留める『エンゲージ・リング』
輝く星のステージで歌うことを約束された証
私達は知らない
その『婚約指輪』に隠された本当の意味を
『絶対懐柔』という約束の証
私達の歌が刻み込まれる呪詛であることを
「本来、この建造物『エンゲージ・リング』を破棄するには一箇所ずつ切り離していく方法が用意されているわ」
『エンゲージ・リング』の全体図に映し出されるカーソルを動かしながら彼女は説明していく
「でも、そのやり方だと一方向に重量が集中するために全体のバランスが崩壊してしまうの」
画面にはパージされていく『リング』の欠片が落下していく様子がシミュレートされている
その結果には、絶望的被害が予測されている
『リング』の欠片の大きさはかなりのもので、その一つでひとつの大陸を巨大なクレーターに変える事が出来ると思われる。
「そこで、同時に切り離すことでその負担を最小限に抑えるわ」
モニターには、花びらが散るように『リング』が拡散していく様子が映し出されている
「だけど、ただ『切り離す』だけじゃ重力に引かれて地上に落ちてしまう」
「そこで、切り離すと同時に欠片を爆破することで重力の外に弾き出す!」
同時に切り離された欠片は、爆発の勢いによって外側へと弾き飛ばされていくことで欠片が地上に落ちることを防ぐという作戦
だが、それを行うには『タイミング』が最重要だ
「この『祭り』を成功させるには、みんなの協力が必要よ!」
「我ら、大和重工特務隊と奉仕隊の名誉にかけて成功させます!」
「直ちに、行動開始ですわ!!」
撫子の号令の元、十六夜たち『メイド隊』と撫子率いる『特務隊』が即座に散って行く
「さて、大和武よ」
「なんだってやってやるぜ?」
真理の含みに臆することなく応えるタケル
「君には直接、彼女の元へと乗り込んでもらう」
その表情はいつもの『悪だくみ』する時と同じ顔
「一体どうやって・・・?」
「おわぁぁ!!?」
タケルが質問する間もなく空中に舞う
「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!?」
よく見るとタケルを羽交い絞めにするダンボールが見える
ロケットのように凄まじい爆炎を発し
有無を言わさず上昇していく
「さて、私たち『花房組』も行かせてもらうとするわ」
言い終わるうちに、その姿は消えていた
「私は、今後の始末を付けるとしようか・・・」
めんどくさそうに頭を掻きながらその場を後にする真理
きらびやかな舞台を盛況のうちに終えるため
一世一代の祭り事が幕を上げた。




