#55 Summer Song Story その12
「この計画を、止めることは何人にも許されない」
手にしたスイッチを構え、悠々と両手を広げる
「世界の意思は、一つにまとまる事によって『真の平和』となる!」
モニターに映し出されているのは『戦争』
「今の世界を見よ! あの世界大戦から80年以上余りなるというのに未だ争いは耐えないではないか!?」
世界は幾度となく混沌に包まれてきた。
その都度犠牲になるのは、力無き弱い者達
世界を良くする結論はただ一つ
『人類の統率』
平等とも言えるこの統率によって全ての争いは絶え、
人々は何も考えずに平穏を生きればいい。
たった一つの意思
『大いなる者への服従』
それは、我々人類をも平等に支配することの出来る意思
『守護者』
現在、そのプログラムは完成に近付きつつある
余計な感情など、一切持たない強固な意思
我々人類の介入すら許さない『完璧なる支配者』
その意志によって初めて人類は平等となる。
私たちは、長年かけてそれを実現させようと実験してきたのだ
「残念ながら、それは望まれることのない事ですわ」
撫子がハッキリと言う
「統率による平和・・・?」
鋭い眼光が主任に突き刺さる
「そんなものは平和にあらず!」
「人類が未来に進むことを抑止しようなど笑止千万!!」
撫子の言葉が空気を震わせる
「ならば『平和』とは、なんだというのかね?」
冷たい視線を投げつける
「争いが無い事が平和?
それこそ短絡的な考えではないか!?
誰もが同じ位置に付くことで、初めて『平等』と言える
それは誰かに従うことによって初めて実感できる
人類は『支配する』のでは無い『支配される』ことで
初めて自分の身分を知る事になる」
すでに自分が『神』にでもなったかのように陶酔している
「御高説どうも・・・」
気だるそうに、言葉を吐く
「おまえ・・・は!?」
「どんな理屈を並べたところで、キサマのやろうとしている事は『詭弁』だ」
いつの間に入り込んできたのか、そこにいたのは『真理』だった
「大いなる行いの前に、ささやかな犠牲は付き物だ」
主任が、ほくそ笑んでいう
「中途半端な意思で『善』や『悪』を語るなと言っているんだ!!」
真理の言葉に場が凍りつく
「全ての人類を犠牲にするくらいの度胸もない者が、言葉を並べても説得力など無いんだよ!!」
とんでもない言い草ではあるが、有無を言わせぬ迫力はある
「ならば、その言葉を後悔して嘆くが良い!!」
手にしたスイッチが押された瞬間、轟音と共に辺りの電源が落ちた
「な・・・なんだこれは!?」
自分の予想していない事態に困惑する
「今ですわ!」
大勢のスーツ男達がなだれ込んできた




