#50 Summre Song Story その7
「これが、真相なのか・・・?」
ゆっくりと手にしたファイルをめくっていく
『PROJECT MOON』と記された一冊のファイル
その中には、知った名前がいくつもあった。
この島に集められた多数の被験者達
彼らの持つ特殊な資質を採取することで
完全なる素体を創り出す
完全なる者によってこそ、世界は一つの意志によって統率される
そのものに選ばれた者達もまた、全てを統率し
いずれは、選ばれし者によって創られる新たなる世界
その一環として行われている
『SSS』
以前行った実験は失敗に終わったものの、副産物も得られた
『田村 春香』
この被検体の持つ『歌』という資質
それを用いれば、この計画は遥かに向上する事になるであろう。
「冗談じゃねぇ!!」
怒りが込み上げてくる
「こんな『くだらない事』の為なんかに、アイツの夢を壊されてたまるか!!」
「如何なさいますか、若様?」
ファイルを持ってきた一人のメイドが尋ねる
「させるわけ無いだろ!こんな事!!」
言い終わる表に飛び出そうとする
「なら、やることは一つでございますわね?」
意味有り気に微笑む
「いくぞ!十六夜!!」
「仰せのままに」
意気込むタケルが廊下に出ると、そこには知った顔ぶれが並んでいた
「・・・お前、ナニやってんの?」
不意に声をかけられた
「お・・・わたしは『タケル』ではないですよ・・・!?」
どう見てもメイド服に身を包んだ『タケル』でしかないのだが
「そ、それでは、御機嫌よう・・・!」
あくまで『タケル』であることを否定して、その場を去る
「一体、何をやろうってんですか?」
優が『十六夜』と呼ばれた女性に尋ねてきた
「せっかくですので、ワタクシ達も参加させていただきますわ」
ニッコリと微笑む十六夜
瞬間、凄まじい爆音と共に何かが飛んできた
舞台袖に飛び込んできたのは、ボロ雑巾
いや、ボロ雑巾のようにボロボロになったタケルだった
「これが、お前の役割なんだな・・・」
優が哀れみの言葉をかける
「若様、獲物が網にかかりましたわ」
痙攣するタケルに耳打ちをする
「ワタクシたちは、本来の任務に戻りますので・・・」
タケルを担ぎ上げながら優たちに言う
「後のことは、お任せいたしますわ」
あくまで笑顔を絶やさぬまま、その場を後にした
「結局何がしたかったんだ・・・?」
嵐のように起こった一瞬の出来事に、困惑するしかない
トラブルメイカーの面々だった。




