#49 Summre Song Story その6
我々『大和重工』が担う役目、それは『抑止力』である。
現在の世界情勢は、実に混沌としている
先の第二次世界大戦において、我が日本国が勝利を得たのも我らの
技術によるところが大きい
しかし世界は常に変化を繰り返す
今の世界を観よ!
世界は未だ混沌の中にある
我々は『抑止力』として役目を果たさねばならない。
その役目とは『全ての統率』である
現在、行われている『SSS』
今、最も世界の注目を浴びるイベントであり、もうひとつの計画
『PROJECT MOON』における要でもあるのだ。
ここまで読み進め、怒りを隠しきれずに思わずこの手紙を握り潰してしまった
なぜ、このような手紙が私の元に届けられたのか
簡単なことだ、私の『知識をよこせ』という意味だ。
『人の深層意識を紐解く』
これが私の研究の一つだ
そして、その実験は今『アイドルユニット』として実行中である
もう何年にも続けられてきた実験
『深層意識に刻み込まれた言葉を、原動力として意識を保ち続ける』
簡略的に言えば『洗脳』である。
だが、私が望む結果はそんなことではない
私が望む結果とは・・・
「作戦準備できました」
思考を妨げ、言葉が告げられる
「・・・・よろしいので?」
改めて訊かれる
「犠牲は少ないほうがよかろう」
モニターを観る
映し出されているのは『SSS本戦告知』
既に8組までに絞り込まれた候補者たちの顔ぶれの中に、知った顔も見えた
「トリニティ・・・」
歓声に包まれて、舞台を降りた私達
迎えるのは、次代を担う新たな歌姫たち
『フォーシーズン』
その歌声には、力がある
聴き手に希望と勇気
そして、盲目的な高欲感
だから、聴かずにはいられなくなる
もっと聴きたくなる
でも、その本質を知った時
あなた達はその重みに耐えられるかしら・・・?
いえ、あなた達ならば出来るはず
そのために、私達はまた此処まで来たのだから
「あなた達に、託すわ」
私を出迎えてくれたひとりの少女に告げる
「未来を変えて・・・!」
愛用してきたマイクを手渡す
彼女の驚く表情を横目に、会場を後にする
「その決断は正しいのですか?」
いつの間にか、少女がそこに居た
その姿は『異質』
この場処とは噛み合わないモノ
「あなたたちの探し物は、地下よ」
眼でその入口を促す
「ご親切にどうも・・・」
深々と頭を下げる
「若様にヨロシク」
振り返ることなく、その言葉だけを残す
「私の役目はもう終わったのだから」
後は裁かれるのを待つだけ
会場の大歓声がその言葉をかき消していった




