#39 番外編 雪月華 その1
俺は冬が嫌いだ。
何もかもが凍り付きそうな
そんな冷たさが嫌いだ。
「すんませ~ん・・・」
ちっとも、申し訳なさそうな口ぶりでその部屋に入った
とはいえ、このような結果になったのは
あくまでも『事故である』と、主張しておく。
初めてココに来たときのことを思い返す
いつものように親友たちと騒いだ挙句
力任せにツッこまれて吹き飛ばされた
その着弾(?)場所は見知らぬ部屋の一室
不幸にも(こちらからすればある意味幸運な)
部屋の主は着替え中だった
お互いに目を離せないまま
しばらくの沈黙
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!!」
なぜか、謝ってきたのは向こうの方だった
はたと、状況を理解した俺は
すぐさま背を向けしどろもどろに言葉を紡ぐ
「わ、悪い!わざとじゃないんだ!!」
言いながら、まぶたにはしっかりと
彼女の透き通るような白い肌が焼きついていた
「ごめんなさい」
未だに謝り続ける彼女に、わずかに苛立ちを覚え
「謝るなって!」
思わずそう口走っていた
「ご、ごめんなさい」
「と、とにかく悪いのはコッチなんだし!」
申し訳程度に、肌を隠した彼女の姿の目のやり場に困る。
「は、はい」
律儀に返事をしてくれる
「とりあえず、隠すなり叫ぶかしてくれ」
我ながら、妙なことを言う
「・・・・・!」
やっと自分の状況を理解し
顔を伏せベッドの脇に身を隠す
「~~~~!!」
「と、とにかく悪かったよ」
これ以上、事が騒がしくなる前に
さっさと消えることにする
「じ、じゃあな!」
片手を挙げて部屋を出た
視線の片隅で、彼女も片手を挙げていた気がしたが
その考えはすぐに忘れてしまった
「オマエ、サイテーだな」
戻るなり言われる
「ヒトとしてどうなの?」
心外だ
「なんで、被害者の俺がソコまで言われなきゃならんのだ!?」
元はといえば、コイツらのツッコミのせいなんだが
「後で、キチンと謝ってこないとダメだよ?」
すごく、まっとうな意見を
ぶっ飛ばした張本人が言う。
仲間たちとバカやって騒いで
毎日が過ぎていく
お互いに笑い合って
ふざけ合いながら
ずっと繰り返し続いていく
それは自分の未来から目を背け
何も知らない事に疑問を持たず
ただ、流されていくだけ




