#37 キラメキに、つつまれて その2
白い闇
そこには何もなく
ただ、白一色の空間。
わたしは夢を見る
覚めることのない
永遠の夢。
その夢は眩しくて
そして、あたたかい
「おはよう」
今日も眠る彼女に、声を掛ける
窓を開け放ち
空気を入れ替える
夏の日差しが
カーテン越しに、彼女を照らす。
定期的に音を刻む電子音が
時を刻むように静かに響く
「くるくる変わる 君の表情♪
甘くて酸っぱい ドロップみたい♪」
どこからか聴こえてくる歌を口ずさんでいた
「今日も来てくれたのか・・・・?」
いつの間に部屋に入ってきていたのか
ひとりの女性が声を掛けてきた。
「あ、センセイ・・・」
その女性は、ゆっくりと彼女の髪を撫でた
「この子は、夢を見ているのだろうな」
少し寂しげに見つめる
「そうですね・・・」
同じように見つめながら応える
彼女は夢を見る
覚めることのない永遠の夢
いつからだろう?
こんなトコロにずっと独り
過去に繋がれて
現在から瞳を背け
未来へ進むことをやめてしまった
それでも
それでもいつか
目を覚まし
お互いに微笑みを交わせる
そんな明日が戻ってくることを
ずっと、ずっと待っている
窓の向こうの景色には
はるか空を繋ぎ留める
一筋の塔
いくら時代が進歩しても
いくら幻想を実現しても
たった一つの願いは叶わない。
わたしは夢を見る
覚めることのない
永遠の夢。
その夢の中で
わたしはキラメキに包まれて
悲しみさえも消えてしまう
そんな楽しい夢の中
もしも願いが叶うなら
夢から覚めたその時に
そのキラメキだけでも
覚えていたい。
彼女の手を両手で包む
その手はまだ暖かく
確かに命の鼓動を刻んでいる
「・・・・・おねぇちゃん」
絞り出すように囁いた
我慢できずに、涙がこぼれ落ちて小さく消えた




