#24 ハルカ高く舞え!
『高度2000、維持』
レシーバーに報告が入る。
「ホントにこれで行くの・・・?」
心配そうに尋ねる
「こうでもしなきゃ、間に合わないもの!」
【アイドルと学業の両立】
これが私のモットーだ。
先日、とある場所で私たち【Forseason】(フォーシーズン)は
ライブツアーを敢行した。
そのせいもあって、今日は遅刻ギリギリである。
マネージャーである【Mr.T】(自称)の提案によって
上空から、一気に目的地を目指す
という、作戦に出た。
「まるで、映画みたいですぅ!」
人事のように、拍手喝采する。
「1日ぐらい、サボったっていいじゃないさ?」
半ば呆れたように言い放つ。
「ダメよ!」
だって、今日は掃除当番だってあるんだから!
「言っとくけど・・・」
開かれた、ドアからすごい勢いで風が流れていく
「あなたたちも、コレやるんだからね!!」
言い捨てるように、飛び降りた。
『Good.Luck! ハルカ!!』
ノイズ混じりに送り出された。
遥か上空からのダイビング
マネージャーの奇策によって、敢行された
打開策である。
「それを、普通にやってのける春香もアレだと思うけど・・・ね」
眼下に広がる街並みに、ポツンと咲いたパラシュート
それを見送って感慨深げに言う。
「次は、真夏ちゃんね?」
「・・・・・まぢで!?」
『次のエリアへ移動します』
彼女たちを載せたヘリは、悠々とその場を後にした。
「ん~・・・・っ!」
大きく伸びをして息を吐く。
「いい天気っ!」
空を見上げて、にこやかに言う
ここは、私の【秘密の場所】
と、いっても屋上の【貯水タンクのさらに上】なんだけどね。
ここなら誰も来ないから、ゆっくりできる
私は、なぜかここに来ることが多くなっていた
『自分のことが判らない』
前に、真理センセに言われたことだ。
でも、私はここに居る
何処から来て
何処へ行くの
考えても判りはしない。
だったら、今を
今、ここに居るということを
この世界に刻みつけよう!
それが、私が存在するという証拠だと思うから
いろいろ考えるのは性に合わない
笑えるうちは、笑っていよう
そう考えをまとめることにした
それが今の私らしい選択だ
「ふん♪ふ~ん♪」
空を眺めながら唄っていた
昨日テレビで観た
ド派手なライブで、彼女たちが唄っていた唄だ
「・・・て!・・・いて!」
微かになにか聞こえる
「・・・?」
辺りを見渡してみても誰も居ない
「退いて!退いて!退いて~!!」
声は、やがてはっきりと言葉になった
次の瞬間
周りが、真っ白い空間になる
「お~っ・・・」
動ずることもなく、つぶやくゆうき
それは、純白のシートが
上空から降ってきたのだった
「んきゃっ!!」
小さな叫びとともに、何かが降ってきた。
「んも~・・・」
「全然ダメじゃない、コレっ!!」
幸い、シーツがクッションになって
怪我一つない。
「てか、ちょっと!」
着地点に居た人影を思い出す。
「ねぇ!?大丈夫!!?」
焦りを隠せない。
無駄に、大きいパラシュートのシーツを掻き分けながら
中に居るだろう人影を探す
「だ、だいじょう、ぶ~っ」
言いながらVサインで応えた
「ご、ごめんなさい!」
「怪我、してない?」
誰かを巻き込んでしまった
「ビックリしただけ~」
改めて、向き合う
「よかった・・・」
安堵の吐息
「・・・あれ?」
「ハルカ・・・ちゃん?」
言われて、ハッと気づく
「フォーシーズンのハルカちゃん!?」
ゆうきにしては意外な反応だ
「・・・・げ!」
思わず声が出た
しまった・・・!
こっそりここから忍び込んで
着替えてから、校内に行く手筈だったのに
よりによって、巻き込んだ相手が
自分のクラスの生徒
しかも、一番知られてはいけない(と思う)人物の一人
「・・・えっと・・・」
おもわず視線を逸らす
どうしたものか・・・
沈黙が二人の時間を止めたように続く。




