#17 みあげる瞳
ひとしきり、遊び回って数時間
人混みの中から逃れるように、脇のベンチへと退避する。
「優ちゃん・・・?」
少し戸惑った顔で尋ねる真由美
「あん・・・?」
「どうしたの?」
真由美の言葉の意図がつかめない。
彼女が指さす方を見る
そこには、しっかりと俺の服の裾を掴んだ子供が居た。
「・・・・・ぱぱ」
俺を見上げてつぶやく
「・・・・はい?」
「・・・・・まま」
真由美を見て言う
「・・・・はぁい」
まんざらでもない様子の真由美
「って、待て待て待て」
両手を振って遮る
なおも裾を掴んで離さない子供
「おまえ、迷子なのか?」
言うまでもなくそうだろう
「パパさんとママさんは、どこなのかな?」
子供の高さに屈みこんで尋ねる
「・・・・・」
俺たちを交互に見る
「違ぁう!」
思わず叫ぶ
怯えるように真由美にしがみつく子供
「ダメだよ、優ちゃん驚かせちゃ!」
子供を抱き寄せて非難の目を向けてくる
「いや、せめて『お兄ちゃん』ぐらい・・・」
意味の無い望みを言い訳する
「ごめんねぇ、怖いパパですねぇ」
すっかり母親気分で和んでいる
そんな様子を眺めながら思う
「そんなに歳食って見えるのか、俺・・・?」
どうでも良いような思いだった・・・
「とりあえずは、コイツの親を探さなきゃな・・・」
すっかり真由美に懐いた子供を、見つめてつぶやく
「お前ら、はぐれるなよ?」
一応、念を押しておく
さて、どうしたもんかな・・・?
アテもなく歩き始める3人
周りからすればやっぱり親子に見えるのだろうか?
少し複雑な、照れくさい気持ちになる
「あいつら、何してるんだ・・・?」
物陰からこっそり覗いていたタケルがつぶやく
「イチャついてる・・・?」
「仲良しさんです」
一緒に眺めていた月乃と蘭
「あ〜キミ、キミ?」
不意にタケルの肩を叩く者がいる
「なんだよ?今、目が離せないんだよ!」
「ちょっといいかね?」
さらに問いかけてくる
「だから!!」
振り向きざまに言うと
そこにいたのは
いかつい格好の男性
俗に言う『警備員』であった。
「ちょっと来たまえ」
そのまま引き連れられていくタケル
「いっちゃったね・・・」
「彼のことは忘れない」
見送りながら合掌する月乃
日はすでに傾き始めていた




