#16 恋愛因果論
「なるほど・・・」
暗がりの一室で、声がする
「この因果、研究のしがいがある」
ここは学校の科学室
別名【絶対領域】
教師にして科学者
【先勝 真理】(さきかち まり)
彼女の根城である。
今回の騒動の首謀者
影の支配者
秘密結社の首領
など、など
いろいろ噂されているが
あながち、全て間違いではないのが
彼女の全てを表している。
今回の研究
【恋愛因果論】
「恋愛とは、それぞれの持つ縁の因子によって生まれる」
「故に、恋愛は無限の可能性を秘めている」
現在彼女の最大の関心事である。
その最も適任である存在
【月真優気】
彼のもつ特性
【トラブルメイカー】
それによって引き起こされている現在の事象
【因果を超えた存在】
「本来は、存在してはいけないもの」
「するはずのないもの」
ゆっくりと椅子をこちら側へと向けて言う
「それが、君だ」
その声をただ聴いている
「自分のことがわからない」
「当然だ」
「その存在そのものが、有り得ないものだからな」
相変わらずどこか掴みどころのない表情
「でも、原因は判ってる」
「アイツ・・・」
小さくつぶやく
「そう【優気-アイツ-】だ」
自信たっぷりに笑う
その顔は、子供のようだ
「彼の周りには、必ず何かしらの騒動がつきまとう」
「事が大きかれ小さかれ、な」
「もっとも、誰にだってその要因はある」
「それが世界というものだ」
「だが」
真っ直ぐに見つめる
「あなたは、違う」
いつの間にか誰かが其処に居た
純白のコートを羽織った一人の男
「世界は、無数に存在する」
ゆっくりと被っていた帽子を取る
「しかし、あなたの存在は何処にもない」
「先生、いらしていたのですか?」
急に真理の言葉が、かしこまる
どうやら彼女にとって、大きな存在らしい
「あなたは何処から来て」
「そして、何処に行くのか?」
眼鏡の奥の瞳が、突き刺すように見据える
「それを本当に知りたいか?」
確認するように真理が尋ねる
その問い掛けに頷くということは
何か大きな犠牲を伴う事になるかもしれない
それでも
それでも自分が何者であるのか
何をするためにここに居るのか
そして
自分の中のこの感情を
本当の自分だと確信したいから
力強くうなづいた
「アイツを好きでいたいから・・・」
その決意は間違いなく私自身の感情だ
たとえ、どんな結末になろうとも
『私はここに居る』
すべてを見届けるために。




