#117 ボーイ・ミーツ・ガール 1
冬にしては、風もなく
空を見上げれば、こうこうと輝く月
それを見上げ思う
「いつか、終わる時が来るのかな・・・?」
小さい頃から一緒だった
どんな時でも傍にいて
どんな時でも手を引いてくれた
「誰にも渡したくないよ・・・」
空に伸ばした手を握り締める
「優ちゃん・・・」
これからの日々が、変わってしまう事を思うと
胸が苦しくなって、泣きたくなる
『この想いが届くことがなくても、絶対に後悔しない』
あの時、彼が好きだというみんなと誓った想い
だけど、それを彼は受け入れてくれるのだろうか・・・?
彼が好きなのは・・・
いつまでも、エンドレスに考えてしまうそんな考えが
更に不安を掻き立てる
「ダメ、ダメ、ダメ!」
頭を振って、不安を振り払う
「決めたんだから!」
心を、奮い立たせる
『自分の言葉で、想いを伝えるって・・・』
「真由美っ、ファイ・おーっ!!」
一人で、気合を入れる
窓から見える月を眺めて思う
「私は、優気が好き・・・」
でも、それは届くことの無い想い
「ここは、私の本当の居場所じゃないもの・・・」
あの日、私は夢を見た
いっぱいの笑顔と、いっぱいのキラメキ
みんなで、学校に行って
みんなで、街に繰り出して
みんなで、騒いで楽しんで
でも、その中に私はいなかった・・・
それは、私が望んだ夢
本当の私は、独りぼっち
ずっと、ずっと、眠ったままの私
現実から逃げ出した私
そんな私の観てる夢
私は知った
ここは、私の本当の『居場所』じゃないと
「死神ちゃん・・・?」
「呼んだか?」
どこからともなく現れた、漆黒の存在
見た目は小さな女の子
だけど、怪しく光るその瞳と
肩に担いだ大きな鎌が、この世の存在ではないことを知らしめている
「お願いしていいかな・・・?」
全てを見下ろすように
空には、こうこうと月が輝いていた
「だぁぁぁあ!?」
新しい朝の一声は、優気の絶叫だった
「なんで、誰も起こしてくれねぇんだよ!?」
慌てて着替えながら、誰にでもなく叫ぶ
いつもなら、真由美が起こしに来てくれる筈なのに・・・!
そのままの勢いで、駆け出す優気の前に一人の影が立ち塞がる
「・・・!?」
硬直したように動きが止まる優気
「久しぶり・・・元気してたかしら?」
深紅のスーツを華麗に着こなす、才女
そんな表現が、ぴったりの一人の女性がそこにいた
「か・・・母さん・・・!?」
精一杯絞り出した声は、その一言を告げる事しかできなかった




