#116 特別篇 クリスマスラブソング 20
漆黒の夜が終わりをつげ、新たなる陽が昇る
陽の光が大地を照らし、光に照らされた大地から
新たなる息吹が芽生える
「我々は現状の世界に対し、異を唱える!」
全世界に向けて放たれたその宣言は、瞬く間に世界を塗り替えていく
「人は、何かに縋るだけでは前に進むことはできない!」
「だが、縋るもの失くして歩くこともできない」
世界中に訴えるその姿は、凛として美しく
何者も、妨げることを許さない
「私、大和撫子は、ここに宣言する!!」
力強く拳を振り上げて言い放つ
「我々、大和重工が世界を導くことを!!」
その宣言に、誰もが押し黙る
それは言うなれば『宣戦布告』とも取れる
しかし世界は知っている
『大和重工』失くして、統制は無いという事を
クリスマスの熱狂から数日、突如として宣言された今回の事象
あのバベルへと消えた『ハルカ』の存在
それは、姿だけでなくその記憶をも消えてしまっていた
それと引き換えに手に入れたのは『平穏』
誰もが、一律に手にしたもの
だが、真実は違う
与えられし平穏は、薄れるその夢を移ろわせていく
誰もが同じ、誰もが気づかぬ
誰もが知ることのない、意識の統一
『世界統一思考』
それによって、いずれ迎える黄昏は回避されたはずだった・・・
とある場所で―
この惑星にある人の情報
この惑星にある人の行為
この惑星にある人の罪
その全てを、見つめ
その全てを、背負い
その全てを、罰する
守護者―
彼女は待ち続ける
あの日に交わした約束を糧に
あの日に知った想いを信じて
「彼は?」
片付けの進む会場を眺め尋ねる
「行ってしまったよ」
空を見上げながら応えた
「我々も、行かねばならないな・・・」
トレードマークのように着ていた白衣を脱ぎ去る
「未来は、変わるのか?」
おもむろに尋ねてみた
「望みは託したさ」
その手には一枚の写真
あの日まで、確かに存在していた『ふたり』
一方は、想いを胸に待つ事を選び
一方は、想いを胸に向かう事を選んだ
いずれ来るであろう『約束の日』
そこに待つのは『黄昏』か?
それとも『光明』なのか・・・?
時を、世界を、巡る者
『蒼き旅人』
名前を受け継いだ時から、その旅は始まる
終わりのない永遠の旅
彼らの名は『ブルー』
蒼き惑星の名を紡ぐ者
始まりから終焉へ向かい
終焉から始まりを紡ぐ
雲が風に乗って流れていく
荒れ果てたその場所で
かつて栄えたその場所で
風に身を任せ、彼はそこに居た
「諦めるなよ・・・」
そして、黄昏のあの場所で再び・・・




