#112 特別篇 クリスマスラブソング 16
私は、世界の均衡を護るもの
それ故に、全ての力を手中に収めねばならない
そして、その力で世界を導くのだ
我等はそうすることで日本を、世界を『管理』していく
例えその行為が『傲慢』な事だとしても
「ようこそ、世界の守護者となる者よ」
「あなたは・・・?」
ハルカが目覚めた時、そこに居たのは『彼』ではなかった
しかし、その人物にはどこか『彼』の面影がある
「君の事は、よく知っている」
その眼は、彼と同じようにどこか優しさを持っている
「君の唄は、世界を救うに相応しい」
「世界を・・・救う?」
―同時刻 クリスマスライブ会場―
相変わらず、闇に呑まれたライブ会場
しかし、そこに『恐怖』『不安』といった感情はなかった
空を見上げ、思う事は一つ
『ハルカが唄い続けること』
彼女は今、初めて自分の為に歩き始めた
『想いを寄せる者の元へ』
彼女を慕う者は知っている
彼女を慕う者は待っている
『彼女の笑顔が再びキラメク事』を
♪遠い鈴の音 聴こえた放課後
クリスマスには ちょっぴり早い
待ち合わせてた きみに手を引かれて
駆け込む 噂のドーナツ・ショップ
ふわりほどける グレーズド
恋が溶かした 心みたいに
はんぶんこして 照れくさいね
はじける笑顔 カラフルチョコスプレー
きみと頬張る ポップな◎(リング)
天使がくれた 宝物だね♪
―◎SWEET RING CORECTION◎―
♪SONGWARD BY HARUKA・T♪
いつの間にか、唄いだしていた
彼女の、想いと希望が込められた『ラブソング』
その唄には
『これまでの思い出と未来への希望』
彼女が望む全てが、籠っている
「きっと、あの子も唄っている・・・」
空を見上げて、雪乃がつぶやいた
「あの子にも、届いているでしょうか?」
ステージの袖口で、涙をためてトリニティが尋ねる
「もちろんよ・・・」
アフロを揺らしながら涙をぬぐう
「あの子の決意が、新たな未来へ届くように・・・」
それは、彼女を想う全ての者の願い
そして、彼女が担うこれからの使命
―とある場所で―
「私が、未来を・・・?」
「そのとおりだ」
ゆっくりと言葉を紡ぐ
「君は、その為に『造られた』のだよ」
「造られた・・・」
モニターには階下の様子が映し出されていた
そこには見知った顔達
「私は、どうすればいい?」
タケルに質問を投げかける
「先生には『未来』を護ってほしい」
「若様・・・」
タケルは覚悟を決めていた
自分が、しなくてはならない事
例え、その行いが『悪』となろうとも
それをしなくては、何も守れない
唄が聞こえる―
「この唄は・・・?」
みんなして空を見上げる
「彼女が唄っているのか!?」
叫ぶように真理が言う
「聴こえるだろう?」
モニターが切り替わると、一人の男が映し出される
「大旦那様・・・!」
十六夜が驚きの声を漏らす
「てめぇ・・・!」
タケルの表情が変わる
そこに映し出されたのは
『大和重工 現総帥』
そして、タケルの実父
『大和建造』
一連の計画の決定者であり
全てを掌握してきた人物
「彼女の唄が、世界を救うのだよ」
瞬間、暗かった世界が一斉に光に呑まれていった




