#111 特別篇 クリスマスラブソング 15
「唄が・・・きこえる・・・」
どこか遠くから聴こえてくるその唄は
心地よくて、温かい
母親が、自分の子供に聴かせるために
子供が、母親を喜ばせるために
歌い手が、自らの想いを届けるために
「もういいだろう?」
『ブルー』と名乗る男が、再び問う
「まだ、成されてはいない!」
叫ぶように、真理が応える
「独りでやるには、限界があるって解かったろ?」
ゆっくりと、真理の銃を押し下げる
「それでも・・・それでもやらないといけないんだ・・・!」
ブルーを睨む
「なんで『独り』に、こだわる?」
「他の者などに、何が出来る!?」
はたから見ると『痴話喧嘩』に見えないこともない
「少なくても、心の重荷を軽くは出来るさ!」
掴んだ手を引き寄せて言う
「ここでのお前は、独りじゃないだろう?」
言葉に怒気が含まれる
「・・・今更、今更そんなことを言うな」
掴まれた手を振り払う
「お前に、それを言う資格など有りはしない!」
いつの間にか、場の空気は二人の見解へと変わっていた
「そうだな」
バツが悪そうに、つぶやく
「だから俺は、ここに来たんだよ」
頭を掻きながら言葉を続ける
「俺に、この世界は変えられない」
「・・・・・」
「変えられるのは、この世界の担い手だ」
言いながらタケルを見る
「しかし、それでは・・・!?」
募りを露にする真理
「世界は、変わらない・・・か?」
見透かすような答え
「変えられないなら、意味など無い!」
だから私は『彼女』を利用した
シリンダーの中の『彼女』は、まだ夢を見るように眠り続ける
自らの作り出した『嘘の世界』に縛られたまま
「この世界はもう、彼女のモノじゃない」
彼女が出逢い、共に過ごし、笑い合い、築き上げた『絆』
彼女はそれを見つけたときに、気付いたんだ
『本当に在るべき場所』に
その瞬間、この世界は『また』生まれたんだ
『一つの未来への可能性』を抱いて
「なら、私はどうすれば良いと言うんだ・・・」
そう、答えは出ていたのだ
ただ、私はそれを認めたくなかったのだろう
それを認めてしまえば『意味が消える』
私が、探していた
『鍵』―『恋愛因果論』
人の想いの繋がりは、世界を超える
私は身を持って、それを見つけていたのだ
だが、それを認めれば
これまで重ねてきた『罪』が『行為』が『無意味』になる
私は、欲しかったのだろう
自分を咎め、それを許してくれる存在を・・・
力無くうなだれる私を、そっと背中から抱きしめる
「もう、泣いても良いのですよ・・・」
自らの瞳にも、涙をためながら言い聴かせる
自らも同じように『罪』を『咎め』
『許す』者の存在を探していた
十六夜―
彼女も私と同じ、迷い子なのだ
私は、彼女の胸に抱かれながら
あふれだす涙を止められなかった
唄が、聴こえた気がした




