#108 特別篇 クリスマスラブソング 12
「君は、何を望む?」
真理が問いかける
「未来か?それとも破滅か?」
彼女―『ハルカ』は、未来への鍵である
しかしそれは、いずれ来るだろう黄昏の未来の始まり
そして、彼女の存在を消し去ることこそが
『未来を変えること』となる
そして、もうひとつ
今『バベルのコア』として眠る彼女―
彼女が望み、生み出したのが『今の世界』
だが、それは『嘘の世界』
彼女が目覚める時、この世界は『消える』
ならば、残されるのは何だというのだろう
以前、ハルカをコアにする事を失敗した時『破綻』をきたした
その犠牲は、彼女の『記憶』となるはずだった
しかし、一人の少女の想いがそれを変えた
その想いが、また一つ『嘘』を生み出したのだ
だが、それは単に『先送り』されたに過ぎない事だ
「私は、この人を救いたい」
シリンダーで眠る彼女を『この人』と呼ぶ
「君は、彼女を救いたいのだろう?」
モニターには、ここへと向かうハルカの姿
「ならば、方法は一つだ」
再び、銃をタケルへと定める
「例え『悪』と呼ばれる事になろうとも私は、手段を択ばない」
深呼吸をするように瞳を伏せる
「命を懸けて、奪い取って見せろ」
トリガーに、ゆっくりと力を込める
瞬間、光が走った
膝を付いたのは、真理の方だった
「若様を、やらせはしません」
そこに居たのは『十六夜』だった
大和重工に、代々仕えてきた『奉仕隊』の隊長である
その任務は『次期頭首の護衛』
「十六夜!?」
なぜ彼女が、ここに来た?
俺は、ここに来る前に『オヤジ』に告げた
『大事なものを護る』と
それは『大和重工を敵にする』ということ
オヤジとの『決別』
そして、十六夜達『奉仕隊』との『敵対』する事でもあるのだ
「おまえ・・・?」
困惑しながら訪ねようとする
「お忘れですか若様?」
少し怒ったように、視線を投げかける
「わたくしは、若様に仕える身」
「それは、例え大和重工の総帥である大旦那様と志を違ったとしてもです」
彼女の意思による決断であった
そしてそれは、彼女が彼女で要る為の遺志である
「何より貴方様を討つのは、このわたくしなのですから!」




