#103 特別篇 クリスマスラブソング 7
その光景は悪夢
天への楔は、人々を焼き尽くす雷を放つ魔法の杖となった
『守護者』と呼ばれるそのプログラムの存在意義は
『人類の守護』だった
しかし、突如として『彼女』は人類に牙を剥いた―
そして世界は、混沌の時代を経て黄昏の時を紡ぐ
その時間を遡り、語られるのは
その始まりと、そこに残されたかすかな希望
12月24日 21時09分
『クリスマスライブ』
会場は熱気に包まれて、響き渡る唄声に全ての想いが重なる
「みんなぁー!キラメキを受け取ってー!!」
汗をきらめかせながらハルカが叫ぶ
「「----!!!」」
その声に応えるように、会場全体が震える
声援を、体全体で受け止める彼女達
これこそ、彼女たちにとって最高の瞬間である
全てとの一体感
それによる高揚感は何物にも代えがたい
その様子を見守るのは、彼女達の面倒を一手に引き受ける二人
伝説の歌姫『トリニティー』
アフロな迷エンターティナ―『Mr.T』
「この日がついに来ましたね?」
感慨深くつぶやく
「でも、この日を乗り越えないとこの先は無いわ―」
光が反射するアフロが揺れる
「彼女の容態は?」
「まだ覚醒はしていません」
「そう・・・」
『全てはこの日の為に』
あの日から、始まっていた
小さな試験管の中から生み出された『希望』
それは、やがて世界を騒がせるほどの『輝き』となる
その裏側で課せられたのは『絶対なる世界』
全ての意思を統括し支配する『世界統一思考』
その目的を達成する為の『核心』
それが、彼女の本当の役割
しかし、その役割は失われつつあった
あの夏の日
その全てを覆した一人の青年『大和武』
彼が求めるのは『自由』
何事にも捕らわれず、雲のように流れていく
それでいて、皆をひきつけてやまない
彼の周りにはいつでも『笑顔』が溢れている
彼は、人知れず自らの存在の重荷に立ち向かう
『全てを導く強き者』
それ故に『孤独』でもある
その本心を見せることなく
その本質を煙に巻く
誰知れず、全てをかけて奔る
知られることのない『英雄譚』
「これは・・・・・!」
その眼前にあるのは、ありえないもの
巨大なシリンダーの中に『それ』は存在した
「やっぱり、終わってなかったんだな」
ゆっくりとそれに手を伸ばす
「お前は、どんな夢を見ているんだ・・・」
その視線の先には、一人の少女の姿
「また、嘘を重ねるっていうのか?」
思い出すのは大事な仲間たち
「お前の本当は、もう此処には無いのに」
無機質な空間の中で、凍り付いた時間を眠る彼女
その彼女に何をさせるというのか・・・




