#102 特別篇 クリスマスラブソング 6
12月 24日 20時00分
『クリスマスステージ』開幕
その会場には、多くのファンたちが訪れている
『Forseason』が主催の一大イベントだ
この夏も、盛況のうちに幕を下ろした
『SSS』
その中で、最も輝いていたアーティストグループに選ばれた
名実共に世界が認める『アイドル』である
『クリスマスライブ』は、そんな彼女たちが行う
年に一度のイベントの一つで
応援してくれたファンへの感謝として
無償で行われるイベントである(無論、収益金は大和重工の管理下にあるが)
「みんな!今日は、燃え尽きるまで唄うからね!!」
いつになくテンションの高いリーダーの『ハルカ』の檄が飛ぶ
「まかせとけ!」
メンバーで最もボーイッシュな『真夏』
もちろん、女性ファンの多さはメンバーでトップだ
「今日の為に、練習してきたんです!」
ムードメーカーで、その見た目からか変わったファンの多い『秋乘』
しかしその実は、かなりの毒舌家でもある
「みんな、がんばってね~っ」
他人事のように両手を振って応援する『美冬』
メンバー最年長らしい、おっとりとした物腰で天然のボケを見せる
まさに『四季』のように多彩なメンバーである
一見バラバラのように見えて、その団結力は強い
「それじゃ『いつもの』いくわよ!!」
ハルカを中心に円陣を組む
「キラメキを、みんなに届けよう!!」
「「届けよう!!」」
デビューの頃に、お互いが夢見た想い
『キラメキを見つける』
今では、その想いは『みんな(ファン)』へと共有するものとなっている
応援してくれる人たちへの、決意表明ともいえる『誓い』
そして何よりも、自分たちを支える『糧』なのだ
その『糧』を、その身に宿らせ
彼女たちは、今宵も輝きを放つのだ
「始まったか・・・」
そのキラメキを受ける『天への楔』を見下ろして、男はつぶやいた
「守護者よ、目覚めの時だ・・・!」
水晶のように、光を屈折させて輝くシリンダーケース
その中には、一人の少女の姿が見える
まるで、最初からそうであったかのようなその姿は
世界の全てを刻み込む
「お前の唄を聴かせてくれ・・・!」
男は、静かにシリンダーを撫で下す
同時刻―
「『バベル』のメインシステムに侵入-」
軽やかな手さばきで、端末のキーボードを叩いていく
「制限時間は、一時間です」
「それだけあれば十分だ」
その身を漆黒のスーツに包み、開かれた扉をくぐる
「若様、お気をつけて」
言葉とは裏腹に、心配の様子は見られない
「さっさと終わらせて、コンサートを楽しむさ」
言いながらバベル内部に踏み込んでいく
不気味な機械音のノイズに飲み込まれるように
彼の姿は溶け込んでいった




